サッカー部内における体罰
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/11 18:11 UTC 版)
「秀岳館高等学校」の記事における「サッカー部内における体罰」の解説
2022年4月21日、サッカー部寮内で30代男性のコーチが学生に対して暴力をふるう動画がSNSを通じて拡散。学校側は「事実関係を確認次第、対応したい」とした。4月26日までに、このコーチが暴行の疑いで、熊本県警八代署から熊本地検八代区検察庁に書類送検された。 その後、サッカー部の公式Twitterに、部員11人が顔や名前を明かして今回の騒動について謝罪する動画を投稿した。この動画内では暴力動画を拡散させたとされる部員2人を加害者扱いする段原一詞サッカー部監督と思われる音声が混入しており、再生回数100万回を超えたが、被害者である部員を問題の矢面に立たせる対応はさらなる批判を呼び、謝罪動画はその後削除された。この事態を受けて段原監督は、4月25日に日本テレビ系『スッキリ』に生出演し、騒動を謝罪したうえで謝罪動画については自身の指示を否定した。 5月5日に学校側が開いた経緯説明の記者会見では、この事態を受けての全校生徒対象の調査の結果、過去2年間で当該コーチによる部員への暴力行為を他に24件、別の職員による暴力行為を1件、同部員同士の暴力行為を13件確認し、生徒5人が打撲などのけがをしたことを明らかにした。さらに部員による謝罪動画については、段原監督の指示により行っていたことが発覚した。段原も謝罪動画について「(マスクを外して)顔を出して、名乗るように」と部員に撮り直しの指示を出した事で自身の関与を認めた一方で、隠蔽の事実は否定した。また、会見では段原自身の進退については明言しなかった。しかし、段原についても同校の卒業生から「何人も監督に暴行を受けていた」との証言が一部メディアの取材で伝えられている。 段原監督と当該コーチは事態を受けて自宅謹慎となっていたが、その後、秀岳館高校は段原と当該コーチをチーム登録から外し、別のコーチが監督に就く事実上の更迭となる変更届を熊本県サッカー協会に提出し、5月13日付で日本サッカー協会に受理された。 熊本県は5月11日、私立学校法に基づき文書で報告書の提出を要請し、同月13日に秀岳館側が提出したが、謝罪動画の経緯や段原前監督の不適切行為などの言及がなかったため、同月17日に同県私学振興課は報告書は受理したものの、「不十分」として秀岳館側に追加報告を求めたことを明らかにした。 その後、秀岳館高校は5月17日付で段原前監督の退職願を受理したこととともに、当該コーチについては「生徒への暴行を複数回繰り返し、信頼を著しく損ねたため」懲戒免職処分としたことを公表した。 部内で体罰が蔓延っていたことや段原前監督の対応などに対して、世論からは厳しい批判が出ている。 京都産業大学現代社会学部教授の西川信広は、今回の背景について、「スポーツエリート校の勝利至上主義が根底にあると思います。結果を残すことが監督やコーチの評価につながり、部活動が学校教育の一環という理念を超えてしまっている。寮生活も含めた部活が閉鎖された社会になってしまうことで、指導者から部員への暴力が日常的で黙認される体質があったのではないでしょうか。部活の本来の姿ではなくなっている」と指摘した。 4月25日に段原前監督が出演した日本テレビ『スッキリ』のMCである加藤浩次は同校の記者会見後となった5月6日の放送で、段原の同番組の生出演について、同校を取材したレポーターの阿部祐二とともに「段原監督の方から生放送で謝罪させてくれといわれたのは間違いない」と明らかにし、段原の生放送での発言が結果的に虚偽となったことについて「生放送でうそを何個もついている。その時点で教育者としてダメ。会見うんぬんじゃない、話にならない」と厳しく糾弾した。 5月8日のフジテレビ系『ワイドナショー』にコメンテーターとして出演したタレントの眞鍋かをりは「令和のこの時代に、いろんなことがアップデートされてなさすぎて。感覚が昔のまま、よく生き残っていたなっていう感じですね」とコメントした。
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