エティバ
アルパージュ?聞きなれない言葉かもしれませんが、これは、アルプスの放牧地のことを指すことば。また、牛がアルプスで過ごす夏の期間のことも言います。
名前に「アルパージュ」がつくチーズは、夏の期間、高地で放牧した牛のミルクで作ったチーズ、ということになります。
どうしてわざわざ「夏の放牧作り」が強調されるのかというと、この時期のミルクはとても質が良く、できあがるチーズも格別素晴らしいからなんです。寒い間、牧舎の中でワラを食べている牛のミルクと、アルプスの放牧地で涼しく快適な気候の中、気分よく青草やハーブを食べた牛のミルクとでは、やっぱり味が違います。
このエティバは、そんなアルパージュチーズ。
大きくはグリエールの仲間ですが、その味わいは感動ものです。 ほっくりとした甘みや木の実のような風味があり、しっかりした旨みの中にどこか花を思わせる香りがあります。濃厚で豊かな味わいが鼻の奥でふくらみ、さすがアルパージュ!の素晴らしさ。 色鮮やかな草花を食べるせいか、生地の黄色みが強め。切りたてのチーズからは驚くほど豊かな香りがします。ふくよかなアロマは夏の牧草やハーブの花から、少しスモーキーな風味は、チーズ作りで使う薪のためだとか。
エティバを作る酪農家はわずか80軒。130ほどの山小屋(シャレー)がアルプスに点在し、ここを拠点に放牧とチーズ作りが行われます。放牧されるのはアルプスの標高1000m~2000mの高地。エティバ作りは5月10日から10月10日までと限られています。製造工程は全て手作業。昔ながらに銅鍋を使い、薪を燃やして加熱するという手間のかかる方法を守り続けています。このため、エティバは100年以上も昔の元祖グリエールに最も近い味と言われるのだとか。EUに加盟していないスイスでは、独自のAOC制度がありますが、その栄えある第1号チーズでもあるんです。世界中に輸出されているグリエールと比べ、製造量は圧倒的に少なく、年間生産量わずか320トン。(グリエールは27,000トン)。日本に輸入される数もごく僅かです。
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