ウイングカー
ベンチュリーカー、グラウンドエフェクトカーと同意。これらが登場した1960年代半ば、その原理を取り違えて、車体両わきに装備したウイングがダウンフォースを発生しているとした結果、生まれた呼称。現在でも採用例はもっとも多い。
グラウンド・エフェクト・カー
(ウイングカー から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/16 10:10 UTC 版)
グラウンド・エフェクト・カー (ground effect car) とはレーシングカーの一種であり、車体下面と地面の間を流れる空気流を利用してダウンフォース(下向きの力)を獲得することを目的に設計された車をさす。名称は航空工学用語の「グラウンド・エフェクト(地面効果)」に由来する[1]。その性質上、公道上を走る車にはその性能の一部しか用いられていない。近年の日本のレース雑誌などは「グラウンドエフェクトカー」という名称を使っているが、以前は「グランドエフェクトカー」や「ウイングカー」と呼ぶのが一般的だった。
- ^ いわゆるコーナリングフォースが低下し遠心力に抗しきれないため。
- ^ ロータス陣営はウイングの秘密を隠すため、ドライバーに敢えてペースを抑えて走行するよう指示したほどだった。
- ^ 可動式サイドスカートを初採用したのはウルフ・WR5(ハーベイ・ポスルスウェイト設計)で、ロータス・79もこの方式を採用した。
- ^ 1980年にアルファロメオのパトリック・デパイユがテスト中に事故死した[10]際には、ウイング構造のトラブルが事故原因と噂された。
- ^ F1ではアロウズ・A2がリアセクションを斜めに10 cm跳ね上げた。2010年のフェラーリ・F10も似た手法でマルチディフューザーを設計した。
- ^ 最初のグラウンド・エフェクト・カーであるロータス78では、コースごとの環境や絶え間のない変化を吸収する方法としてブラシを用いて遮断を行っていたが十分ではなく、隙間のない、硬質のスカートが採用されることになった[21]。
- ^ Racing on 2016, p. 11.
- ^ a b c Racing on 2016, p. 9.
- ^ ゆらたく屋 モータースポーツ塾第2回 魔法の力・ダウンフォース
- ^ Charles Armstrong-Wilson著 大谷達也/Littele Wing訳 「グラウンド・エフェクトの隠された歴史」『カーグラフィック 2012年4月号』 カーグラフィック、2012年、p.167。
- ^ a b Charles Armstrong-Wilson著 大谷達也/Littele Wing訳 「グラウンド・エフェクトの隠された歴史」、p.171。
- ^ Golden Era of Grand Prix - BERND ROSEMEYER
- ^ Racing on 2016, pp. 50–51.
- ^ Racing on 2016, pp. 32–34.
- ^ Racing on 2016, 1978-1982 翼断面マジック盛衰史; Racing on 2016, TEAM LOTUS 先駆者の栄光と蹉跌.
- ^ Racing on 2016, p. 13.
- ^ a b c Racing on 2016, p. 18.
- ^ a b Racing on 2016, p. 20.
- ^ Racing on 2016, p. 21.
- ^ Racing on 2016, p. 12.
- ^ “2022版F1マシンはすべてがガラリと変わった。噂の「グラウンドエフェクトカー」のメリット、デメリットとは?”. 集英社Sportiva (2022年3月7日). 2022年4月24日閲覧。
- ^ “メルセデス、依然ポーパシングに苦しむ。ウルフ代表「普通ならドライブできない状況」”. motorsport.com (2022年4月23日). 2022年4月24日閲覧。
- ^ “メルセデスW13は失敗作か? 今後大幅モデファイで 速さを取り戻すことができるのか検証した”. ベストカーweb (2022年5月5日). 2022年5月6日閲覧。
- ^ “根深いメルセデスW13の問題……解決と思ったら再発続きに開発側も「心底ガッカリ」”. motorsport.com (2022年10月12日). 2022年11月26日閲覧。
- ^ 『レーシングオン・アーカイブス Vol.08』三栄書房、2014年2月21日。
- ^ a b https://web.archive.org/web/20160529043150/https://sites.google.com/site/fnarchive2010/2010fn/round3fuji/kikaku/6-suu-ifutokara-no-tegami---u-ingukano-anzen-sei 6)スウィフトからの手紙--ウィングカーの安全性(6/25更新)] - RACING VIEWS 2010年6月25日
- ^ Racing on 2016, p. 14.
- ^ Racing on 2016, p. 19.
- 1 グラウンド・エフェクト・カーとは
- 2 グラウンド・エフェクト・カーの概要
- 3 概要
- 4 基本構造
- 5 出典
ウイングカー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/03/10 16:20 UTC 版)
グラウンド・エフェクト・カー (ground effect car) と呼ぶこともある。 飛行機が空を飛ぶために持っている翼は、前方から空気が流れてくると上面を流れる空気の速度が、下面を流れる空気の速度よりも速くなるようになっている。ベルヌーイの定理により、上面を流れる空気は下面を流れる空気よりも圧力が小さくなり、これが飛行機を宙に引き上げるエネルギー(揚力)となっている。 これに着目したF1チーム・ロータスのコーリン・チャップマンは、ダウンフォースの発生源をウイングだけに頼るのではなく、F1車両を前から後ろへ切った断面を、この翼を上下逆にしたものと同じようにすれば効率的にダウンフォースを得られることに気が付いた。F1車両の幅は2メートルにも満たなかったが、サイドスカートと呼ばれる、外気が車体下面に流れ込むのを防ぐ壁を作ることで、ダウンフォースを得るに十分な車体下面の空気流速を確保することができた。これをグラウンド・エフェクトと呼ぶ。そのアイディアは1977年にロータス78で実現された。 初期のサイドスカートはブラシ状のものであったが、すぐにサイドスカートはベニヤ板になりローラーないしスプリングで地面に押し付けられ、効果的に車体下部の空気を閉じ込めた。1981年にローラー可動スカートは禁止されたが、何度か別の方法でサイドスカートは取り付けられた。 このウイングカーは車体下部が曲面で構成されており、車体中央がもっとも地面に近く、車体後部下面はせりあがっており、サイドスカートで閉じられた空間はベンチュリー状になっていた。ベルヌーイの定理により、流速が大きくなる車体下部では空気圧が大きく下がり、下向きの揚力が発生し、これがダウンフォースとなった。上面は平面部分が大きく空気抵抗を低減し、ラジエターに空気が入りやすくなっている。 ウイングカーは、丘状の地形を走行するときなどにボディ下面に一気に空気が入り込むと、舞い上がってしまう。これによる事故が起きたことから、1983年にはF1でフラットボトム規定が適用され、車体下部の大部分は地面に平行な平面で構成されなければならなくなった。F1におけるウイングカー自体はこれで消滅したが、平面で構成されなければならないのは前後輪の間だけであったため、これ以後も各車とも後輪軸より後ろはせりあがり形状を形成している。これをディフューザー (diffuser/拡散器) と呼ぶ。ディフューザーは、車体底面と路面との間で加速し圧力の下がった空気を、スムーズに拡散し大気圧へと戻すための装置である。ディフューザーの容積が大きいほど大量で高速の気流を車体底面に流すことができるため、ダウンフォースの獲得には最も重要なエリアである。ディフューザーの効果が顕著に表れた例として、2009年のF1が挙げられる。大容量のディフューザーを備えたブラウンGPのBGP001が開幕から勝利を重ね、ドライバー・コンストラクターのダブルタイトルを獲得する一因となった。
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