アナトリア象形文字とは? わかりやすく解説

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アナトリア象形文字

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/14 22:48 UTC 版)

アナトリア象形文字(アナトリアしょうけいもじ、Anatolian hieroglyphs)とは、アナトリア中部に起源を持つ、約500文字から構成された表語文字である。かつてはヒッタイト象形文字と呼ぶのが普通であったものの、この文字で表される言語がルウィ語であってヒッタイト語ではないことが明らかになったため、ルウィ象形文字(Luwian hieroglyphs)という用語も英語の出版物で用いられる。さらにフルリ語[1]を書き表すためにも用いられていたことから、最終的には使用地域名[1]を冠して呼ばれるようになった。類型的にエジプトのヒエログリフに類似しているが、ヒエログリフに由来するわけではないし、エジプトにおけるヒエログリフと同等の神聖な役割を果たしたかどうかはわかっていない。ヒッタイト楔形文字との明白な関連性も存在しない[2][3][4]


  1. ^ a b c d 「図説 古代文字入門」大城道則編集、髙橋秀樹著、pp.27-32
  2. ^ Payne, A. (2004). Hieroglyphic Luwian. Wiesbaden: Harrassowitz. p. 1. ISBN 3-447-05026-8 
  3. ^ Melchert, H. Craig (2004). "Luvian". In Woodard, Roger D. (ed.). The Cambridge Encyclopedia of the World's Ancient Languages. Cambridge: Cambridge University Press. ISBN 0-521-56256-2
  4. ^ Melchert, H. Craig (1996). “Anatolian Hieroglyphs”. In Daniels, Peter T.; Bright, William. The World's Writing Systems. New York and Oxford: Oxford University Press. ISBN 0-19-507993-0 
  5. ^ アナトリア象形文字でフルリ語を記したテクストについては:Hawkins, J.D. (2003). “Scripts and Texts”. In Melchert, H.C.. The Luwians. Brill. p. 141  鉄器時代の異なる言語からの借用語については:Giusfredi, F. (2012). “Note sui prestiti accadici e urartei in luvio-geroglifico di età del Ferro”. In P. Cotticelli Kurras et al.. Interferenze linguistiche e contatti culturali in Anatolia tra II e I millennio a.C. Studi in onore di Onofrio Carruba in occasione del suo 80° compleanno. pp. 153-171 
  6. ^ Plöchl, R. (2003) (ドイツ語). Einführung ins Hieroglyphen-Luwische. Dresden: Verlag der TU Dresden. p. 12. ISBN 3-86005-351-5 
  7. ^ Yakubovich, I. (2008). “Hittite-Luvian Bilingualism and the Origin of Anatolian Hieroglyphs”. Acta Linguistica Petropolitana 4 (1): 9–36. https://www.academia.edu/464165/Hittite-Luvian_Bilingualism_and_the_Development_of_Anatolian_Hieroglyphs. 
  8. ^ かつて、プルタルコスアントニウス伝に登場する上キリキア王の名によって「タルコンデーモス(Ταρκόνδημος)印章」と呼ばれていたが、正しくない。関根正雄高津春繁『古代文字の解読』岩波書店、1964年、155-156頁および180-180頁
  9. ^ a b Pope, Maurice (1999). The Story of Decipherment: From Egyptian Hieroglyphs to Mayan Script (rev. ed.). New York: Thames & Hudson. ISBN 0-500-28105-X 
  10. ^ 吉田和彦「象形文字ルウィ語解読の歴史と現状」『ユーラシア古語文献の文献学的研究ニューズレター』第6巻、2004年、2-6頁。 
  11. ^ Luwian Hieroglyphics”. 2006年7月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2009年8月4日閲覧。
  12. ^ Rieken, E. (2008): "Die Zeichen <ta>, <tá> und <tà> in den hieroglyphen-luwischen Inschriften der Nachgroßreichszeit." In: Archi, A.; Francia, R. (eds.): VI Congresso Internazionale die Ittitilogia, Roma, 5.-9. Settembre 2005. Roma: CNR, 637-647.
  13. ^ Simon, Zsolt (2013). “Once again on the Hieroglyphic Luwian sign *19 〈á〉”. Indogermanische Forschungen 118: 1–22. http://www.degruyter.com/view/j/indo.2013.118.issue-2013/indo.2013.118.2013.1/indo.2013.118.2013.1.xml. 
  14. ^ Official Anatolian Hieroglyphs, Unicode, Inc, http://www.unicode.org/charts/PDF/U14400.pdf Official 


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アナトリア象形文字

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頭音法」の記事における「アナトリア象形文字」の解説

子音のみを表すエジプトヒエログリフ異なり、アナトリア象形文字の表音要素音節文字であるが、やはり絵によって描かれる物の最初の1音節表している場合多く見られる

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アナトリア象形文字

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アーチボルド・セイス」の記事における「アナトリア象形文字」の解説

セイスシリアハマト碑文ボアズキョイヤズルカヤヤジリカヤ碑文スミルナ碑文などがすべて同じ文字書いてあることを認め、これが『旧約聖書』にいうヒッタイト文字であることをはじめて指摘し、また接尾辞限定符指摘した(なお、現在ではこの文字ヒッタイト語に近いが同じではないルヴィ語表していると考えられている)。 ウィリアム・ライトハマト碑文入手した宣教師)の著書ヒッタイト帝国』(1884年)の中で、セイスヒッタイトアナトリアからシリアに来たことを指摘し象形文字中にある主格対格接尾辞や、新たな限定符発見加えたWright, William (1886) [1884]. The Empire of the Hittites, with Decipherment of Hittite Inscriptions by Prof. A. H. Sayce, LL.D (2nd ed.). London: James Nisbet & co. https://archive.org/details/empireofhittites00wrig 1887年にはエジプトアマルナから大量粘土板発見されたことをセイス報告した。この報告をもとにフリンダーズ・ピートリーによるアマルナ発掘が行われ、アッカド語記されヒッタイト王からの書簡や、未知言語ヒッタイト語)で記され粘土板発見された。ところが、同じ言語書かれ粘土板ボアズキョイでも発見されたため、セイスボアズキョイ発掘計画立てたが、計画ドイツ横取りされてしまった。 セイス自身はアナトリア象形文字を解読するための十分な資料入手できなかった。解読1928年以降、イタリア・ドイツ・アメリカの学者によって徐々に進められ1939年には大部分音節文字解読された。

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アナトリア象形文字

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ヤズルカヤ」の記事における「アナトリア象形文字」の解説

ヤズルカヤまた、アナトリア象形文字の初期解読において重要な役割果たした1834年フランス旅行家シャルル・テクシエ(英語版)がヤズルカヤ訪れて小アジア旅行記』(全3巻、1839-1848)において挿絵入り紹介しヨーロッパヤズルカヤ知られるようになったアーチボルド・セイス神々行列刻文がしばしば特定の文字からはじまっていることに注目し、これが神を意味する限定符であることを指摘した。 アナトリア象形文字は原則としてルウィ語を書くのに用いられるが、ヤズルカヤ刻文ではフルリ語神々の名を表記している点で例外的である。

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