その他の赤血球抗原による血液型
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/06 04:56 UTC 版)
「血液型」の記事における「その他の赤血球抗原による血液型」の解説
(本節で特筆ない場合の出典は、松尾友香『最新 血液型の基本と仕組み』の血液型一覧より) Yt/Cartwight式血液型 1956年発見。対立抗原YtaやYtbが存在。 表現型はYt(a+b−), Yt(a+b+), Yt(a−b+)。 Xg式血液型 1962年発見。因子はXga抗原とCD99だが、後者もXga抗原と関係するタンパク質のため、血液型はXga遺伝子の有無のみで決まる(Xg(a+)かXg(a−))になる。 X染色体上に遺伝子があるため、遺伝子型は女性が「XgaXga、XgaXg、XgXg」、男性が「Xga(Y染色体)、Xg(Y染色体)」になり、「XgaXga、XgaXg、Xga(Y染色体)」がXg(a+)型、「XgXg、Xg(Y染色体)」がXg(a−)になる。 このためXg(a+)型は女性に多く、日本人の場合「Xg(a+)型:男69.4%、女88.8%」、「Xg(a−):男30.6%・女11.2%」となる。 自然抗体と思われるものが多いが、輸血や新生児溶血症の原因になりにくい。 Scianna式血液型 1962年発見。大半の人は対立抗原Sc1かSc2を持つ、これ以外に大半の人にある(高頻度抗原)Sc3と逆に少数派(低頻度抗原)のSc4がある。 Sc2抗原を持つ人は日本人の0.1%程度だが、抗Sc1と抗Sc2は免疫抗体。 Dombrock式血液型 1965年発見。対立抗原DoaとDobがあり、これらの抗体は免疫抗体だが溶血性副作用あり。 日本ではDo(a+b−)1.5%、Do(a+b+)22%、Do(a−b+)76.5%、Do(a−b−)ごく稀。 Colton式血液型 1967年発見。抗原は大半の人は対立抗原CoaとCob。溶血性輸血副作用や新生児溶血の原因となる。 日本ではCo(a+b+)0.6%、Co(a+b−)99.4%、Co(a−b+)稀、Co(a−b−)稀、Co(a−b−)は水透過性が80%減少するが2009年現在健康問題は報告されていない。 LW (Landsteiner-Wiener) 式血液型 1961年に発見、大半の人は対立抗原LwaやLwbが存在。抗体は免疫抗体。 表現型はLw(a+b−), LW(a+b+), Lw(a−b+), Lw(a−b−)、D抗原と類似した反応を示すが特異性が異なり関係ない。 人種を問わずLwa抗原が多くてLwbが少なく、日本人の場合LW(a+b−)がほぼ100%。 2006年時点で、抗Lwa抗体による輸血副作用や新生児溶血疾患の報告はない3。 Chido/Rodgers式血液型 1967年発見。別系統の2種類の抗原の組み合わせのため抗原の種類がかなり多く「Chの1~6」、「WH」、「Rg1、Rg2」の9種類。抗体は免疫抗体 日本人はChの分類だと「Ch1,2,3型が75%、Ch1,−2,3型が27%、Ch1,2,−3型が0%、Ch−1,−2,−3型が1%。」、Rgの分類では「Rg,1,2が99.7%、Rg,1,−2が0%、Rg,−1,2が0.3%」 Cromer式血液型 1965年発見。対立抗原「Tca、Tcb、Tcc」と「WESa、WESb」の5種類があるが、輸血における稀血はこれではなく大半の人が持つ抗原(高頻度抗原)がないケース(参照)。 Knop式血液型 1970年発見。対立抗原「Kna、Knb」「McCa、McCb」「SlaとVii」 Slaがない型はマラリア抵抗性があるため西アフリカの黒人では70%がSl(a−)。 Indian式血液型 1973年発見、対立抗原InaとInbがあるが、名前の通りインドで研究が進んだ型で他の地域ではほとんど調査されていない。インド人の大半 (97.08%) はIn(a−b+) Ok式血液型 1979年発見。抗原はOkaのみでこれがないOk(a−)は稀血。ただし2009年時点で新生児溶血の報告なし。 RAPH式血液型 1987年発見。抗原はMER2 (CD151) のみで、この抗体の本来の役目が腎臓の糸球体の構築や分化に関わるタンパク質のため、これを持たないMER2は幼児期に腎不全を起こす。 JMH式血液型 1978年発見。抗原はCDw108のみで、JMH−型は稀血だが後天的に60歳以上の高齢者がこれに変わる場合がある。 また抗JMH抗体を持つ人にJMH+の血液を輸血したが問題が起きなかった例もある。 Ii式血液型 1956年発見、抗原はIのみ(小文字i抗原が合成されて大文字I抗原になる)。i型は先天性白内障を伴うことがある。 GIL式血液型 1981年発見。抗原はAQP3のみ。
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