「山椒魚」の発表と受容とは? わかりやすく解説

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「山椒魚」の発表と受容

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/12 15:29 UTC 版)

山椒魚 (小説)」の記事における「「山椒魚」の発表と受容」の解説

山椒魚悲しんだ。彼は彼の棲家である岩屋から外へ出てようとしたのであるが、頭が出口につかへて外に出ることができなかつたのである今は最早彼にとつては永遠棲家である岩屋は、出入口のところがそんなに狭かつた。そして、ほの暗かつた。・・・ 「山椒魚書き出し それから6年後の1929年昭和4年5月、すでに新進作家として活動していた井伏は「幽閉」を全面改稿し、同人雑誌文芸都市』に「山椒魚童話-」として掲載した。「幽閉」とこの「山椒魚」は、山椒魚岩屋閉じ込められ出られなくなるという、基本的なプロット道具立てはほぼ共通しており、長さとしてもさほどの違いはないが、後に見るように文体大きく変えられており、冒頭一文以外ほとんど共通する文章はない。またとの対話付け加えられたのもこの改稿の際であり、結果として山椒魚」は「幽閉」とはほとんど別の作品と言いうるものになっている。この「山椒魚」は1930年4月、井伏の最初作品集である『夜ふけ梅の花』(《新興芸術派叢書》、新潮社)に「山椒魚」として収録された。以後井伏の著作集繰り返し再録されながら作者代表作として認められるようになり、高校国語教科書にも採用され広く親しまれる作品となっていった。 井伏自身は「山椒魚幽閉)」について、もともと試作のうちの一つとして書いた経緯から、「最初に発表した作品」ではあるが「処女作」ではないとしている。しかし『夜ふけ梅の花以後自分作品集に「山椒魚」が収録されときには必ず巻頭据えており、作家として自身出発点見なしていたことが伺える。井伏は単行本収録されるたびに「山椒魚」を改訂したが、それらは主として文章表現上の訂正に留まっており、のちに述べ自選全集までは作品構成関わる大きな変更は行わなかった。 批評・研究においては、この「山椒魚」も発表時には特に注目浴びたわけではなかった。当時の井伏はむしろその前後発表された「朽助のゐる谷間」「」などによって評価受けており、以後しばらく「山椒魚」は井伏の作家論のなかで言及されることはあったものの、長く独立した作品論対象にはならなかった。本格的な作品論書かれはじめるのは昭和30年代中村光夫が「井伏鱒二(一)自然と人生」において、井伏の「厖大著作に冠せられた序文」として「山椒魚」を取り上げどうにも動かしやうのない人生現実にたいして、虚勢張りながら無力自認せざるを得ない自己の精神戯画」として論じてからであり、以後幽閉原文発掘比較研究教材としての国語教育分野での研究などを含め盛んに論じられるようになった

※この「「山椒魚」の発表と受容」の解説は、「山椒魚 (小説)」の解説の一部です。
「「山椒魚」の発表と受容」を含む「山椒魚 (小説)」の記事については、「山椒魚 (小説)」の概要を参照ください。

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