VHS
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/10 22:21 UTC 版)
概要
VHSの特徴として、ビデオの規格を原則として変えないことがあり、発売当初録画されたテープは現在流通している最新機種でも再生できる。テープは幅が1/2インチのカセットタイプで、標準録画時間が2時間だった。この形は現在では当たり前となったが、開発当時のVTRにはテープのリールが1つだけのカートリッジタイプがあったり、テープ幅やカセットのサイズもさまざまだったり、と互換性のない規格が氾濫していた。
技術の進歩によりテープの長尺化が進んだ結果、DF480を利用したときの現在は240分が最長となった。また、規格の範囲を大きく逸脱しないかたちでの改良を続けており、高画質化技術のHQ(High Quality)やHi-Fiオーディオ対応、ビデオカメラ規格のVHS-C、水平解像度400本以上の高画質機種S-VHSとそのビデオカメラ規格S-VHS-C、衛星放送などのPCMデジタルオーディオを劣化なく記録できるS-VHS DA(DigitalAudio)、アナログハイビジョン対応のW-VHS、デジタル放送対応のD-VHSなど幅広く展開している。全ての規格においてVHSテープの再生は基本的には対応している。なお、S-VHSの登場後は従来のVHSを識別のため「ノーマルVHS」または「コンベンショナルVHS」と呼ぶ場合がある。なお、上位規格であるデジタル記録のD-VHSでは地上デジタル放送・BSデジタル放送・CSデジタル放送などの無劣化記録が可能となっている。
ベータ、8ミリ、LD、VHDなどさまざまなメディアとの競争の結果、家庭用ビデオ方式としてデファクトスタンダードとなった。特に、DVD-Videoの普及以前は単に「ビデオ」といえば通常はVHSのことを指すものであり、関連企業も商品説明等でVHSの意でビデオという単語を用いていた(「ビデオ版とDVD版の内容は同一です」という表記や、VHSデッキを指して「ビデオデッキ」と称するなど)。
VHSのハードの普及台数は全世界で約9億台以上、テープに至っては推定300億巻以上といわれている。このことを称え、VHS規格発表から30周年の2006年(平成18年)にはIEEEによってVHSの開発が「電気電子技術分野の発展に貢献した歴史的業績」として『IEEEマイルストーン』に認定された[1]。
注釈
- ^ 他社も、同じ商標を登録されている。
- ^ ただし、一部の高価格帯の機種に関しては標準モード・3倍モードにかかわらず、実際の再生可聴周波数帯域が最高で22,000Hz(DATレコーダーの48kHz/16bitによる標準モードと同等)まで達していたものも存在していた。
- ^ その後VHSでも、1980年代末期に入ると、中級以上の機種ではリニアタイムカウンターの搭載や操作性の改善のため、Uローディングに準じた方式が採用され、停止状態から再生開始時の出画時間の高速化を各社が競うようになった。
- ^ このため、ベータでも低価格機種ではMローディングが使われた事例がある。
- ^ D-VHSではハイビジョン記録に対応したが、こちらも2008年までに全メーカーが生産を終了している。
- ^ 正確には30/1.001Hz
出典
- ^ 権威ある「IEEEマイルストーン」に認定 日本ビクター 2006年(平成18年)10月11日
- ^ 日経新聞 1978, p. 159.
- ^ 2000年4月4日放送 『窓際族が世界規格を作った VHS・執念の逆転劇』。さらに、2021年6月1日 プロジェクトX 4Kリストア版として放送された。
- ^ さよならベータ!日本の黒物家電を変えたVHSとの「ビデオ戦争」の顛末
- ^ “日経Bizアカデミー 第23回 VHS対ベータ 規格統一思惑外れる 録音時間の短さもハンディ”. 2018年5月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年6月12日閲覧。
- ^ 「どん底事業部、世界一を生み出す」日本経済新聞2014年11月13日夕刊14面
- ^ 日経新聞 1978, p. 85.
- ^ a b c “国内勢のVHSデッキ生産終了 最後の船井電機、時代に幕”. 産経新聞. (2016年7月26日)
- ^ a b “VHSのビデオデッキ、ついに生産終了…「続けて」とファンの声殺到、大切に撮りためた思い出ビデオはどうする?”. 産経新聞. (2016年8月17日)
- ^ “今後5年をかけて新“VHSデッキ”を開発…どんな需要を想定しているのか開発企業に聞いた”. FNNプライムオンライン. (2021年8月11日) 2021年8月14日閲覧。
- ^ a b c d e Sony History 第2部 第2章 規格戦争に巻き込まれた秘蔵っ子、ソニー
- ^ [1] オタリ株式会社 製品情報
- ^ 日経新聞 1978, p. 64.
- ^ 日経新聞 1978, pp. 180–184.
- ^ 2007年度業績見直しについて (PDF) 日本ビクター 2007年5月30日
- ^ S-VHSビデオデッキ販売終了のご案内 日本ビクター 2008年1月15日
- ^ 日本ビクター、ビデオデッキの生産終了 NIKKEI NET・日経産業新聞 2008年10月27日
ビクター、単体VHSビデオデッキの生産を終了 -DVD/VHS複合機などを継続展開 AV Watch 2008年10月27日 - ^ “VHS録再機の国内向け生産終了 パナソニック”. 日本経済新聞. (2012年2月10日) 2014年1月14日閲覧。
- ^ “テレビは16型、ビデオは家庭用 友寄塁審「確認できないので判定通り」”. スポーツニッポン. (2012年5月20日) 2012年5月20日閲覧。
- ^ RVP-100の公式発表リリースPDF
- ^ VHSビデオ機生産に幕 国内勢最後の船井電機、7月末で 日本経済新聞 2016年7月14日
- ^ 『ビデオテープレコーダー [A-900PCM]』(プレスリリース)公益財団法人日本デザイン振興会 。2019年9月29日閲覧。
V/H/S シンドローム
(VHS から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/18 23:55 UTC 版)
『V/H/S シンドローム』(ブイ・エイチ・エス シンドローム、原題:V/H/S)は、2012年制作のアメリカ合衆国のホラー映画。
- ^ “失神者続出の問題作『V/H/S シンドローム』公開決定、新世代ホラー監督6人集結”. エキサイトニュース. (2013年5月20日) 2022年7月31日閲覧。
- ^ a b V/H/S - Box Office Mojo
- ^ Smith, Nigel M. (2012年1月22日). “Bloody Disgusting Founder and 'V/H/S' Producer Brad Miska On Why the Found-Footage Movie Is Here To Stay”. IndieWire. Penske Business Media. 2015年9月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年3月6日閲覧。
- ^ Breznican, Anthony (December 1, 2011). “Sundance 2012: Midnight Movies highlight the horrible and hilarious”. Entertainment Weekly (Time). オリジナルのDecember 29, 2015時点におけるアーカイブ。 2012年3月12日閲覧。.
- ^ Schulz, Chris (2012年8月3日). “'Chilling' horror film comes with a warning”. New Zealand Herald (NZME Publishing). オリジナルの2012年8月7日時点におけるアーカイブ。 2012年8月7日閲覧。
- 1 V/H/S シンドロームとは
- 2 V/H/S シンドロームの概要
- 3 続編
- VHSのページへのリンク