IPアドレス スコープ

IPアドレス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/30 04:42 UTC 版)

スコープ

通信可能な範囲のことをスコープという。IPアドレスは、それぞれにスコープが決められている。(→一覧

グローバルIPアドレス

後述するプライベートIPアドレス、リンクローカルアドレス、特殊用途のIPアドレスなどを除いたIPアドレスは「グローバルIPアドレス」と呼び、インターネットの接続用に利用され、重複が発生しないように管理される。そのため、ICANNを頂点とした階層的な委譲関係によって、世界的な管理が行われている。

通常、パソコンやルーターなどをインターネットに接続すると、ISPに割り振られているグローバルIPアドレスの中の1つがパソコンなどに割り当てられる。

プライベートIPアドレス

プライベートIPアドレス(ローカルIPアドレス)は、プライベートネットワーク(外部から利用できない社内LANなど)のアドレスとして使うことができる。異なるプライベートネットワークを相互接続してルーティングすることも可能である。

プライベートIPアドレスとして、次のアドレス空間が予約されている。ネットワークの規模に応じて、使い分ける必要がある。

クラス 範囲 サブネットマスク アドレス数
クラスA 10.0.0.0 - 10.255.255.255 255.0.0.0 16,777,216(16,777,216 × 1 サブネット)
クラスB × 16 172.16.0.0 - 172.31.255.255 255.240.0.0 1,048,576(65,536 × 16 サブネット)
クラスC × 256 192.168.0.0 - 192.168.255.255 255.255.0.0 65,536(256 × 256 サブネット)

リンクローカルアドレス

WindowsなどではIPアドレスが設定されておらず、DHCPサーバも見付からない場合には自動的に169.254で始まるクラスBのIPアドレスが振られる(APIPAという機能)。これはリンクローカルアドレスと呼ばれ単一のLAN内での通信に使うことができるが、ルーティングができないなどプライベートアドレスとは異なるものである。

プライベートIPアドレスとインターネット

プライベートIPアドレスとグローバルIPアドレスを相互変換することにより、インターネットに接続することができる。その方法として、NAPT(実装としてはIPマスカレードやipfwなど)やプロキシサーバがある。

インターネット接続サービスによってはインターネットに接続する機器にグローバルIPアドレスではなく、このプライベートIPアドレスを割り当てることもある[5]

プライベートIPアドレスとこれに関する仕組みによって、グローバルIPアドレスを多量に消費することなくインターネットに接続できる機器を増やすことができる。

ISP Shared Address

2012年4月にRFC 6598として発行したインターネットサービスプロバイダ(ISP)が契約者に貸し出すIPアドレスで、範囲は100.64.0.0/10。

ISP Shared Addressは、個々のISPのネットワーク内でのみ使用可能なIPアドレスで、キャリアグレードNAT(CGN)によりISP Shared AddressとグローバルIPアドレスを相互変換することにより、インターネットに接続することができる。

IPアドレス枯渇問題により、契約者が増加しても、ISPが契約者に貸し出すグローバルIPアドレスを新規に獲得できなくなった。

しかし、ISPが契約者にプライベートIPアドレスを割り当てると、該当するIPアドレスを契約者のローカルネットワーク内で使用できなくなる。例えば、NTTが提供するフレッツの地域IP網においてプライベートIPアドレス(10.0.0.0/8)を使用しているため、フレッツの利用者がプライベートIPアドレス(10.0.0.0/8)をローカルネットワーク内で使用できない。

そこで、ISP Shared Addressの導入により、ISPはISP Shared Addressを使用し、ISPの契約者は、任意のプライベートIPアドレスが使用できるようになる。

なお、/10というアドレス範囲は、東京地域を網羅するISPがISP Shared Addressを導入するには、/10程度のアドレス範囲が必要であるという、日本からの提案がベースになっている。


注釈

  1. ^ : dotted decimal notation
  2. ^ : dot address
  3. ^ このアドレスブロックは、RFC 5737で例示用アドレスとして予約されている。

出典

  1. ^ TR X 0055:2002 インターネット利用者のための用語
  2. ^ IPアドレス』 - コトバンク
  3. ^ WHATWG (2017年7月30日). “URL Standard 3.5. Host parsing” (英語). 2017年7月30日閲覧。
  4. ^ 26431 – Define IPv4 parsing” (英語). W3C (2015年7月1日). 2017年7月30日閲覧。
  5. ^ 日本ケーブルラボ事務局山下良蔵 (2009年10月21日). “IPv4アドレス在庫枯渇対応に関する広報戦略ワーキンググループ(第4回)配布資料 資料WG広4-2 ケーブルテレビ業界のIPv4アドレス枯渇対応とIPv6化” (PDF). 総務省. p. 15. 2017年11月26日閲覧。
  6. ^ インターネット用語1分解説 - 割り振り (Allocation)、割り当て (Assignment) とは」『JPNIC News & Views』8巻(2002年1月15日)、日本ネットワークインフォメーションセンター。
  7. ^ LACNIC Announces the Start of the Final Phase of IPv4 Exhaustion”. LACNIC (2017年2月15日). 2017年11月19日閲覧。






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