EACH TIME
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解説
当初はLP盤とカセットテープのみの発売だったが、1984年6月1日にCD化。CDの発売翌週に、邦人アーティストとしては初のオリコンCDチャートで3週連続1位を記録。大滝詠一としては唯一の1位獲得作品である。
本作からはシングル盤が一切カットされなかった(その代わり全曲を12インチ・シングルにしたBOXが発売された[注釈 1] )[book 2]。これは「シングル・ヒットが無ければアルバムは売れない」という当時のまことしやかな業界の定説に挑戦してやろう、と思ったからだという[book 2]。結果的に60万枚を売り上げ、前作『A LONG VACATION』に続いて大ヒットを記録した。
1989年6月1日ボーナス・トラックを追加した20周年記念盤CD、さらに10年後には純カラオケを加えた2枚組CDの30周年記念盤がそれぞれ発売された。
には、収録曲と曲順を変更したリマスター盤を発売。1991年 には、元の曲順でCD選書で再発された。1997年 には、MD選書でMD化もされている。また、発売から20年経過した2004年3月21日 には、再発盤以降は長らく全ての盤で「レイクサイド ストーリー」のエンディングがカットされたヴァージョンとなっていた。これに関しては現在でも賛否があるが、「大滝自身がソロ活動に終止符を打つ」「松本との決裂を意味するものであった」などの理由から刻まれていたフィナーレのために、現在はカットされていると言われる[book 3]。このエンディング付きバージョン(大エンディング・バージョン)の収録されたCDは、初発時の品番35DH 78である。その後、2015年3月21日 に発売された『NIAGARA CD BOOK II』でエンディング付きバージョンが収録され、2021年4月24日には『夢で逢えたらEP』の収録曲としてエンディング付きバージョンのサブスクリプションサービスでの配信も開始された。
一般に前作『A LONG VACATION』の続篇と捉えられる作品ではあるが、大滝自身はこのアルバムを一つのストーリーとして制作していた為に、世間での受け入れ方にはやや難色を示す(ただし、発売前には「『A LONG VACATION』の続編の様なアルバム」、また発売されて暫く経ってからは「『A LONG〜』がA面で『EACH TIME』がB面の様」といずれも大瀧自身がラジオで語っており、真意は不明)。[要出典]
ジャケットのイラストは河田久雄によるもの。
タイトルの由来は、大滝がラジオDJ等で自分のことを「イーチ・オータキ」と名乗っていたことに由来する。[要出典]
大滝は本作発売後に、音楽活動を休止することを宣言した。そのため、収録曲をライブで披露したことは一度もなく、そのままコンサート活動が再開されないまま大滝が2013年に死去したことで、本人が携わったオリジナル・アルバムとしては最後の作品になった。
発売までの経緯
元々1年前の1983年7月28日に発売するはずであったが、制作過程で不満が生じ、レコーディングを全て破棄したために発売が延期されたという経緯がある。大滝曰く「レコードの発売日を誕生日に設定すると発売延期になるので誕生日は鬼門」。[ 、大滝の誕生日である要出典]
お詫びの意味を込めて、その年の「西武球場スーパーフェス '83(ALL NIGHT NIPPON SUPER FES. '83 ASAHI BEER LIVE JAM)」にレコーディングメンバー全員で出演した。本来『EACH TIME』のお披露目ライブだったとも言われる上記のライブへの出演が、大滝詠一名義としては結果的に最後のものとなった(1985年に行われたはっぴいえんどのライブには参加)。このライブでは『A LONG VACATION』や『NIAGARA TRIANGLE Vol.2』の楽曲を中心に演奏しつつ、当時薬師丸ひろ子に提供し大ヒットを記録した「探偵物語」、「すこしだけやさしく」や森進一に提供した「冬のリヴィエラ」の大滝版「夏のリビエラ」を演奏した。[要出典]
この頃のライブでは自身が提供した曲がヒットし始めたこともあり、セルフカヴァーを多く披露していた。西武球場ライブの1年半前に行われたヘッドフォン・コンサートでは松田聖子に提供した「風立ちぬ」をセルフ・カヴァーしている。発売前はこれらの動きから「風立ちぬ」や「探偵物語」がニュー・アルバムの収録曲かとも言われていたが、結局ライブのみでの披露となった。このうち「夏のリビエラ」は後に『SNOW TIME』で、「探偵物語」「すこしだけやさしく」が死後にマスターテープが発見され『DEBUT AGAIN』においてスタジオ・レコーディングされたヴァージョンが聴ける。[要出典]
また、発売の2か月前にNHK-FMにて発売前インタビューと共に放送された『EACH TIME』アウトテイク音源は、未CD化となっている。[要出典]
注釈
- ^ a b c 『EACH TIME SINGLE VOX』 1984年4月1日 発売 NIAGARA ⁄ CBS/SONY 5×12inch:50AH 1706~10
- ^ 『Complete EACH TIME』 1986年6月1日 発売 NIAGARA ⁄ CBS/SONY LP:28AH 2011(NGLP-539,540-OT), CT:28KH 2001(NGCA-123,124-OT), CD:32HD 555(NGCD-5-OT)
出典
- ^ a b 『オリコン・チャートブック LP編 昭和45年 - 平成1年』オリジナル・コンフィデンス、1990年、98頁。ISBN 4871310256。
- ^ a b 大瀧詠一 (1991年). "ナイアガラ・マニアの方々のための(曲目解説)" [CD]. 大瀧詠一 『EIICHI OHTAKI Song Book I 大瀧詠一作品集 (1980-1985)』のアルバム・ノーツ CBS/SONY (CSCL 1667).
- ^ 文藝別冊(2005年、河出書房新社刊)の「総特集 大滝詠一」に大滝と内田樹の対談「ナイアガラ・ライフ30年!」が掲載されている。対談は同年8月16日に山の上ホテルで行われた。その対談で大滝はエンディングの編集について言及している。曰く「『レイクサイド・ストーリー』というのはフェイド・アウトする曲なんだけれども、エンディングが二つ作ってあって、オリジナル・イシューでは大エンディングのものを作りたいと最後のところで心変わりをしまして、今日工場に行かないと発売日に間に合わないというので階下に車が待っているという状況で『じゃあ行ってきます』という段階になって、『待て』とテープをつなぎ換えた」。大滝は本作の制作中に「曲が出なくなる」状態に陥ったが、彼はその際に「(やることを全てやり)満ちたことを知った」と述べている。大滝はエンディング編集時の心境を振り返り、「(『EACH TIME』は)結果的に最後のアルバムになりましたから、多分自分で(音楽活動に関して)終わろうとしたんだと思う」と述懐している。
- ^ “"大滝 詠一「EACH TIME」” (日本語). www.apple.com. Apple. (2014年3月19日). 2018年3月7日閲覧。
- ^ “大滝 詠一「EACH TIME」”. music.jp. 株式会社エムティーアイ (2014年3月19日). 2018年3月7日閲覧。
- ^ “EACH TIME” (日本語). Amazon.co.jp.. Amazon.com, Inc. (2014年3月19日). 2018年3月7日閲覧。
- ^ “EACH TIME/大滝 詠一”. mora. 株式会社レーベルゲート (2014年3月19日). 2018年3月7日閲覧。
- ^ “『EACH TIME』大滝 詠一”. レコチョク. 株式会社レコチョク (2014年4月1日). 2018年3月7日閲覧。
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