4ストローク機関 概要

4ストローク機関

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/23 08:48 UTC 版)

概要

4ストローク機関は、空気燃料の混合気を燃焼室へ取り込み燃焼して燃焼ガスを排出するまでの一連の動作(サイクル)が、ピストンの上昇と下降が2回ずつの合わせて「4回の工程」で行われる、容積型内燃機関である。1サイクルの間には、ピストンがシリンダー内を2往復してクランク軸は2回転する。

自動車やディーゼルエンジンを動力源とする鉄道車両通常動力型潜水艦などで用られているほか、比較的小型の航空機でも用いられる。また、定置型の動力源、農林業で用いられる可搬型の作業機械としても広く用いられている。なお、大型船舶のディーゼルエンジンは2ストロークが多い。

ホンダ・カブ(スーパーカブ)では4ストロークエンジンが採用され、低燃費(50スーパーカスタムでは180km/L)と高寿命高耐久性[1]により、日本国外にも多く知られている[2]

工程

ガソリンエンジンとして広く普及しているものはドイツニコラス・オットーによって発明されたオットーサイクルで、燃焼のきっかけとして電気火花を利用することから火花点火機関と呼ばれることもある。ロータリーエンジン(バンケルエンジン)はピストンを使わないが基本原理は同様で、オットーサイクルのひとつとして分類される。1サイクル中の4つ工程は以下の通りである。

  1. 吸入工程 : ピストンが下がり混合気(燃料を含んだ空気)をシリンダ内に吸い込む工程。
  2. 圧縮工程 : ピストンが上死点まで上がり混合気を圧縮する工程。
  3. 燃焼工程 : 点火プラグにより点火された混合気が燃焼し、燃焼ガスが膨張してピストンが下死点まで押し下げられる工程。以前は爆発工程と言った。
  4. 排気工程 : 慣性によりピストンが上がり燃焼ガスをシリンダ外に押し出す工程。

軽油などの自己着火性の高い燃料を用いるエンジンとして普及しているものは、ルドルフ・ディーゼルが発明したディーゼルサイクルである。ディーゼルサイクルを利用したエンジンはディーゼルエンジンと呼ばれる。ディーゼルサイクルは次の4工程で構成される。

  1. 吸入工程 : ピストンが下がり、空気のみをシリンダ内に吸い込む工程。
  2. 圧縮工程 : ピストンが上死点まで上がり空気のみを圧縮する工程。
  3. 燃焼工程 : 圧縮により高温になった空気に燃料が噴射され、熱により燃料が自己着火して燃焼し、燃焼ガスの膨張力によりピストンを下死点まで押し下げる工程。
  4. 排気工程 : 慣性によりピストンが上がり、燃焼ガスをシリンダ外に押し出す工程。

工夫

自動車や航空機用のエンジンの多くは点火プラグをシリンダーあたり2本持つ。

メカニズムを簡素化するために、点火プラグは、掃気の工程であるピストンが上死点に近づく位置でも火花をとばす。


  1. ^ 夏目幸明 『ニッポン「もの物語」』 講談社 2009年6月 ISBN 978-4-06-215315-7 その15 スーパーカブ(p.150)
  2. ^ DISCOVERY Chanel 「Legend of motorcycle」
  3. ^ Hondaの挑戦が生んだ、トライアル世界チャンピオンの系譜:第3期 「4ストローク、第二世代(水冷/プロリンク)他の追随を許さない、4ストロークの技術革新」






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