高度情報処理技術者試験
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/08 08:46 UTC 版)
概要
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)IT人材育成センター国家資格・試験部は、情報処理技術者試験制度においてスキルレベルを1~4に設定しているが、この中でスキルレベル4に相当するものを高度試験と規定[1]している。また、旧制度から運営されている、スキルレベル5に該当する試験も2009年の制度改正を目処にスキルレベル4に統合されている。どの時期においても、情報処理技術者試験の中で難易度・専門性・対外的評価の高い区分を指すという点は変わらず、試験で計ることのできる能力としては最高のスキルレベルであることから、いずれの試験区分も各技術分野において事実上の国内最難関の試験にあたる。
これらに合格することはITエンジニア、広義のシステムエンジニアの能力認定に有効な手段となる。そのため、省庁・官庁・民間企業では合格者への報奨一時金、昇格・昇給、採用条件の基準として扱われることが多い。また、官公庁や民間企業のシステム開発案件への入札条件として、高度情報処理技術者の保有人数を指定されることがあり、大手ITベンダーでは、技術者への資格取得奨励を経営上の戦略目標に設定している例も見られる。
現在では一般的に応用情報技術者試験(スキルレベル3)に合格した者が次に目指すべき段階として認知されており、応用情報技術者試験がIT全般に関する幅広い知識が必要とされるゼネラリスト的な試験の側面を持つ一方、高度情報処理技術者試験は各分野(情報セキュリティ、データベース、ネットワーク、プロジェクトマネジメントなど)のスペシャリスト試験的な試験として認知されている。
沿革
- 1994年(平成6年) 試験制度改正後、情報処理技術者試験センターが合格発表等を行う時に一部の区分を指して「高度試験」の語の使用を開始した。
- 2001年(平成13年)試験制度改正後は、情報処理技術者試験センターは「高度試験」の語を用いなくなった。
- 経済産業省の資料[2][3]においても(ソフトウェア開発技術者試験を含むか否か)バラツキが見られる。但し、一般的には初級システムアドミニストレータ試験、基本情報技術者試験、ソフトウェア開発技術者試験を除いた区分と説明されることが多かった。
- 2009年(平成21年)試験制度が改訂されたITスキル標準に対応するよう改正され、スキルレベル4相当が「高度試験」と規定された。
- 2017年(平成29年)「情報処理安全確保支援士(RISS)」制度の創設に伴い、「高度試験」であった情報セキュリティスペシャリスト試験が情報処理安全確保支援士試験へ移行した[4]。
注釈
- ^ 最初の区分である特種情報処理技術者試験(現・システムアーキテクト試験)が開始された時点。
- ^ 現在、厳密には情報処理技術者試験制度には含まれていないが、出題内容としては前身の情報セキュリティスペシャリスト試験で扱っていた領域を踏襲しているため、参考として記載する。
- ^ 2006年度(平成18年度)春期より追加。
出典
- ^ a b 情報処理技術者試験 情報処理安全確保支援士試験 試験要綱 Ver.5.3 (PDF) (情報処理推進機構(IPA)IT人材育成センター国家資格・試験部 - 2023年12月25日改訂)
- ^ “情報処理技術者試験センター(JITEC)の概要 p.6下段を参照” (pdf). www.meti.go.jp. 経済産業省 (2003年8月1日). 2006年2月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年1月8日閲覧。
- ^ “情報処理技術者試験とITスキル標準 p.4欄外を参照” (pdf). www.meti.go.jp. 経済産業省. 2004年12月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年1月8日閲覧。
- ^ a b “プレス発表 “情報処理安全確保支援士”と現行の情報セキュリティスペシャリスト試験の位置付けについて”. www.ipa.go.jp. IPA 独立行政法人 情報処理推進機構 (2016年6月27日). 2016年7月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年1月8日閲覧。
- ^ a b c “情報処理安全確保支援士試験及び情報処理技術者試験(高度試験の組込み分野)における出題構成等の変更について | 試験情報”. www.ipa.go.jp. IPA 独立行政法人 情報処理推進機構 (2022年12月20日). 2024年1月8日閲覧。
- ^ “情報処理技術者試験:令和3年度春期試験の実施予定について”. www.jitec.ipa.go.jp. IPA 独立行政法人 情報処理推進機構 (2020年12月7日). 2021年1月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年1月8日閲覧。
- ^ “情報セキュリティマネジメント試験・高度試験・情報処理安全確保支援士試験における人材像・出題範囲・シラバス等の改訂について(新技術への対応、セキュリティ強化など)”. IPA 独立行政法人 情報処理推進機構 (2019年11月5日). 2021年1月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年1月8日閲覧。
- ^ 情報処理技術者試験・情報処理安全確保支援士試験「試験要綱」Ver.4.4(変更箇所表示版)
- ^ “情報処理技術者試験及び情報処理安全確保支援士試験における出題範囲・シラバスの一部改訂について(近年の技術動向・環境変化などを踏まえた改訂) | 試験情報”. www.ipa.go.jp. IPA 独立行政法人 情報処理推進機構 (2023年12月25日). 2024年1月8日閲覧。
- ^ 情報処理技術者試験:出題範囲 (平成13年度春期~平成20年度秋期)
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