風速計 その他の風速計

風速計

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/30 06:38 UTC 版)

その他の風速計

風の動圧を利用するものとしては、ピトー管を感部とするものがある。これは航空機の速度計と同じ原理によるもので、古くは静圧と総圧との差を液槽内の水位の変化として検出し、ここに浮かべた浮子の上下動で記録ペンを駆動して、ゼンマイなどの動力で回転するドラムに巻かれた記録紙に風速の時系列を自動的に記録する、自記式のダインス式風速計と呼ばれるものが気象観測に用いられていたことがある。しかし、ピトー管は機構が繊細で、野外ではゴミ詰まりによる故障を生じやすいことから、現在では風洞の運転管理や、他の風速計の検定・校正に用いられることが多い。

熱線式風速計は、電熱線を環境中に露出させて通電し、その発熱と風による冷却とが平衡したときの温度から風速を求めるものである。風向に依存しない精密な測定が可能ではあるが、長時間の連続測定に耐えられず、また大気中の塵の衝突で簡単にセンサー部が破損することから、近年は主に屋内用として用いられ、気象観測に使用されることはほとんどない。

さらに簡易なものとしては、長方形のベーンの上辺に軸を設けておき、これが風圧によって傾く角度から風速を求める方式のものが、理科の教材等として用いられることがある。

また、風速を数値として求めるものではないが、吹流しの流される方向及び傾きから風向とおおよその風速を測ることも、漁船や航空機の運航、スポーツ競技会の運営といった場面ではよく行われている。

このほか、風を観測する方法としては、風景を風力階級表に照らして観察する、気球(ラジオゾンデ等)が風に流される動きを追跡する、ドップラー・レーダーを用いて降水粒子等の動きを把握する、ウインドプロファイラを用いるなどといったものがある。


  1. ^ 谷村康行著、『超音波技術 基礎のきそ』、日刊工業新聞社、2007年11月29日初版1刷発行、ISBN 9784526059629
  2. ^ 堤之智. (2018). 気象学と気象予報の発達史 風力計・風速計. 丸善出版. ISBN 978-4-621-30335-1. OCLC 1061226259. https://www.maruzen-publishing.co.jp/item/b302957.html 
  3. ^ a b c The History of Meteorology to 1800. American Meteorological Society. (1977) 
  4. ^ a b c Invention of the Meteorological Instruments. The Johns Hopkins Press. (1969) 
  5. ^ 竹内清秀ほか (1982). “気象観測と測器”. 天気 29: 7-33. 
  6. ^ 気象学と気象予報の発達史: ウィリアム・ダインス(3)風速計の調査 (William Dines 3: Investigation for anemometer)”. 気象学と気象予報の発達史 (2019年4月4日). 2020年9月25日閲覧。






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