電力
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歴史
- 電力利用の歴史
初期の電力の装置として摩擦電気を集める静電発電機があり、電圧は高かったものの、容量的には極めて小さいものだった[33]。19世紀中頃には電池が発明され放電灯に利用された[33]。さらに電磁気学の進展により、1870年頃から直流発電機、1880年頃から交流発電機が実用化された[33]。
最初の電力会社、トーマス・エジソンの会社が設立したPearl Street Stationは直流方式で送電し一時期はそれが標準となっていたが、ニコラ・テスラやジョージ・ウェスティングハウスは交流送電を推し、両陣営間で激しい対立が起き、結果として交流送電方式が普及し(そのいきさつや理由については「電流戦争」の記事で詳説)、現代の電力会社は一般的には電力を三相交流で供給しており、電圧としては高圧電力・低圧電力の両方を販売している。電力会社の業界を電力業界という。
電気エネルギーシステム
電気エネルギーの発電、送電、配電さらに最終需要家までの設備と運用制御を総称して電気エネルギーシステムという[34]。
1990年代から、欧米を中心として、世界中の多くの国や地域において、電力の自由化が積極的に進められている[35]。
欧州の各国の電力事業は、各国それぞれの歴史を持っている[36]。かつてはひとつの国にひとつの電力事業業者、という形が一般的であったが[36]、1999年に欧州電力市場では市場の自由化が導入され、各国でいくつもの電力事業業者が活動するようになった[36]。欧州のなかでも、いちはやく自由化された電力市場を整備したのは英国であった[36]。
英国ではかつて英国電力公社が英国全体に電力を供給しており、発電も送電も全て行っていた[36]。1990年にその英国電力公社が民営化され、その時に、同時に発電事業と送電事業の分離が行われ、消費者に電力を供給する配電事業にはいくつもの電力供給事業者が参加できるようになった[36]。消費者は、(ちょうど、携帯電話の通信サービスを比較して決められるように)電力の価格などを比較して、自分が利用する電力供給事業者を選択できるようになった[36](なお送電に関しては、英国ではもともとひとつの電気事業者が全国の電力供給を管理していたため、結果として、高圧送電系統はナショナルグリッド1社が送電系統管理事業者として運用する方式を採用した[36]。)。このようにして英国では、発電・送電・配電が完全に分離された[36]。
現在、欧州各国で行われている電力事業の形態というのは、上記の英国の形態と似たものになっている[36]。つまり、発電と送電が分離されており、送電に関しては送電系統管理事業者が行っている[36]。そして欧州の各国はそれぞれ隣接する国々と高圧電線で結ばれ、日々、電力の輸出・輸入が行われている[36]。
グリーン電力とは、風力発電や太陽光発電、バイオマス発電、小規模水力発電 等々、温室効果ガスの排出が少なくて環境への負荷が小さい自然エネルギーや再生可能エネルギーによって発電された電力のことである[37]。
2000年代に入り、欧州で風力発電の導入がかなり進みはじめてから、発電出力の変動に伴う供給の不安定化の問題への対応策が打たれるようになっており、EUレベルでスマートグリッド化が検討されるようになった[36]。
日本では第二次世界大戦前に、電力の供給を独占する体制(電力独占体制)が形成された[38]。日本においても、1995年の電気事業法の改正により、電力自由化に向けての様々な動きが始まった[35]。1995年に制度化されたのはIPP(Independent Power Producer 卸供給事業者)で、IPPが発電した電力を既存の10電力会社が買い取るという仕組みで、IPPが需要家に直接販売するわけではない。だから、電力料金に直接影響を与えるものではなかった[39]。
定義と公式
電気回路において電力を供給する装置を電源 (electric source)、電力を消費する装置を負荷 (electrical load)と呼ぶ。
定常電流の電力
直流回路の中でも特に電圧や電流が時間的に変化しない定常電流の回路[注 6]においては、電力は時間にかかわらず
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