邪魔者は殺せ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/03/16 08:30 UTC 版)
邪魔者は殺せ | |
---|---|
Odd Man Out | |
キャスリーン・ライアン | |
監督 | キャロル・リード |
脚本 |
F・L・グリーン ロバート・C・シェリフ |
原作 | F・L・グリーン |
製作 | キャロル・リード |
出演者 |
ジェームズ・メイソン キャスリーン・ライアン ロバート・ニュートン |
音楽 | ウィリアム・オルウィン |
撮影 | ロバート・クラスカー |
編集 | ファーガス・マクドネル |
製作会社 | トゥー・シティーズ・フィルム |
配給 |
(ジェネラル・フィルム・ディストリビューターズ) ニッポンシネマコーポレーション |
公開 |
1947年2月1日 1951年8月28日 |
上映時間 | 116分 |
製作国 | イギリス |
言語 | 英語 |
概要
本作は、この映画の舞台であるベルファストに1カ月以上も滞在してロケーション撮影したアイルランド革命家の話であり、ドキュメンタリー調の作品の中にスリラー活劇的な場面を盛り込み、リード作品の傑作の一つと言える名作となっている。リードは本作で撮影の的確で大胆な構図、さらに、テンポの速い編集の巧みさと言った映画技術の粋を、キャロル・リードは完全に自分のものにしており、そのためには長い間あらゆる実験を重ね、映画青年とも言える映画に対する情熱と野心を傾けてきた[3]。本作でリードの名声は、一挙に世界中に広まった[4]。
植草甚一によれば、原作の小説と映画を比べてみると、キャロル・リードという監督が実に細かい点まで神経を働かせていることが分かる。リードは頭が下がるほどの映画的想像力を持っている。小説の中のほとんどあらゆる箇所が作家によって文章で書かれた感じそのままにスクリーンでは映画的イメージに置き換えられているのである[5]。F・L・グリーンの文章からはグレアム・グリーンのように映画的イメージを喚起されない。ところが、全く驚くことに、キャロル・リードは何でもないような一節一節をそのままイメージの中で生かしてしまっているのである。-中略-キャロル・リードの演出における最も注目すべき点は映画作家としてのこの想像力であり、彼独自の技巧といい、雰囲気の出し方といい、カッティングやカメラの位置などの妙味といい、すべてはここから出発している[6]。
登場人物
人物名 | 原語 | 配役 | 役柄 |
---|---|---|---|
ジョニー・マックィーン | Johnny McQueen | ジェームズ・メイソン | 組織の地区リーダー |
キャスリーン・サリヴァン | Kathleen Sullivan | キャスリーン・ライアン | ジョニーを家にかくまっている女性 |
ルーキー | Lukey | ロバート・ニュートン | 売れない画家 |
デニス | Dennis | ロバート・ビーティ | ジョニーの腹心の部下 |
パット | Pat | シリル・キューザック | 強奪計画の運転手 |
ノーラン | Nolan | ダン・オハーリー | 強奪計画のメンバー |
マーフィー | Murphy | ロイ・アーヴィング | 強奪計画のメンバー |
警部 | Inspector | デニス・オディア | 警察官 |
トム神父 | Father Tom | W・G・フェイ | ジョニーの師 |
トーバー | Tober |
エルウィン・ブルック=ジョーンズ | 医師くずれの男 |
テレサ・オブライエン | Theresa O’Brien | モーリーン・デラニー | 貸金業の女 |
モーリーン | Maureen | アン・クレリー | ジョニーらの仲間の女性 |
ロージー | Rosie | フェイ・コンプトン | 看護師の女性 |
モーディー | Maudie | ベリル・メザー | 看護師の女性 |
フェンシー | Fencie the barman | ウィリアム・ハートネル | 酒場の店主 |
トム | Tom | アーサー・ハンブリング | ロージーの夫 |
シェル | Shell | F・J・マコーミック | 鳥を飼う初老の男 |
グラニー | Grannie | キティ・カーワン | キャスリーンの祖母 |
ジン・ジミー | Gin' Jimmy, the cabbie | ジョセフ・トメルティ | 辻馬車の御者 |
日本語吹替
役名 | 俳優 | 日本語吹替 | ||
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NHK総合版 | 東京12ch版 | フジテレビ版 | ||
ジョニー | ジェームズ・メイソン | 春日章良 | 納谷悟朗 | 浦野光 |
キャスリーン | キャスリーン・ライアン | 来宮良子 | 鈴木弘子 | |
ルーキー | ロバート・ニュートン | 南原宏治 | 羽佐間道夫 |
注釈
- ^ 英語で odd man out は、コイン投げなどによりグループから1人だけを選ぶことやその選ばれた者、あるいは仲間はずれ、のけ者を意味する[1]。
- ^ 会話中にジョニーが靴の紐を結ぼうとすると、紐が切れるという不吉な兆候が見える。
- ^ ジョニーは職務上から簡単にはキャスリーンの愛情には応えられないと示唆しているかのように見える。
- ^ 運転席で待機中のパットがリヤカーで道が塞がれそうになり、イライラしている様子が描かれ、臆病な人間がストレスのもとで失態を演じる際の伏線が提示されている。
- ^ ジョニーが眩暈で開いたドアからスムーズに入れず、もう一方のドアを開けて入らざるを得なくなるというもう一つの失敗の原因が伏線として提示される。
- ^ このあたりは息もつがせぬショットの積み重ねで処理されている[8]。
出典
- ^ “odd man outの意味 - 英和辞典 - コトバンク”. 2022年4月6日閲覧。
- ^ ロバート・モスP 146
- ^ 『ミステリーサスペンス洋画ベスト150』P 415
- ^ 『ミステリーサスペンス洋画ベスト150』P 414
- ^ 植草甚一P 15
- ^ 植草甚一P 17
- ^ “劇映画「邪魔者は殺せ」キャロル・リード監督 イギリス映画―1947年制作―”. NHKクロニクル. 2022年6月20日閲覧。
- ^ 植草甚一P 18
- 1 邪魔者は殺せとは
- 2 邪魔者は殺せの概要
- 3 ストーリー
- 4 音楽
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