裁判 日本における裁判

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裁判

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/31 13:38 UTC 版)

日本における裁判

形式的意義の裁判

日本の法令上の用語では、裁判とは、裁判所または裁判官がその権限行使として法定の形式で行う判断を「裁判」とよび、これを形式的意義の裁判[6][注釈 2]という。民事訴訟事件・刑事訴訟事件に限らず、民事執行民事保全破産等の非訟事件においても、裁判所の判断は裁判という形式で表示される。

形式的意義の裁判は、裁判所の権限で行う判断を全て含むため、非訟事件における裁判のように実質上は行政処分に当たるようなものもある。

裁判の形式

裁判の形式には、「判決」「決定」「命令」の3種類がある。ある内容の裁判について、どの主体がどのような形式で行わなければならないかは、民事訴訟法刑事訴訟法などの各手続法で決められている。

判決は、民事訴訟事件や刑事訴訟事件において、裁判所が口頭弁論という厳重な手続保障を経た上で判断を示すものである。ここにいう裁判所とは、官署としての裁判所ではなく、裁判機関としての裁判所をいい、複数(地方裁判所では原則として3人)の裁判官で構成される合議制の場合はその合議体、1人の裁判官で行う単独制の場合はその裁判官である。

決定と命令は、訴訟手続上の付随的な事項について判断を示す場合や、民事執行、民事保全、破産等の厳重な事前の手続保障よりも迅速性が求められる手続において判断を示す場合に行われる[7]。そのうち「決定」は裁判所が行うもの、「命令」は裁判官(裁判長や受命裁判官、受託裁判官)が行うものである。判事補が単独ですることもできる(民事訴訟法123条)。

決定と命令は、判決と異なり、口頭弁論を経るかは裁量に委ねられており(民事訴訟法87条1項ただし書参照)、相当と認める方法で告知すれば足り(民事訴訟法119条参照)、書面による必要もない(民事訴訟規則67条1項7号参照)。上訴は、抗告再抗告準抗告といった簡易な方法によるが、必ずしも独立の上訴ができるとは限らない。刑事訴訟法上は、上訴を許さない決定や命令には、理由をつけないでもよいとされている(刑事訴訟法44条2項)。

なお、個々の裁判の法律上の名称は、その内容に基づいて定められていることがあり、裁判形式と一致しないことがある。例えば、差押命令、転付命令、仮処分命令などは、「命令」という名がついているが、形式としては「決定」である[8]

その他、家事審判手続においては、家庭裁判所がする裁判は「審判」という形式でなされる。ただし、家事事件手続法(かつては家事審判法)に規定された、裁判所の行為としての「審判」には、裁判としての性質を有しないもの(例えば、限定承認の申述の受理等)も含まれている[9]

裁判の分類

刑事訴訟において、事件の実体そのものの判断、すなわち有罪または無罪の判決を、実体的裁判といい、管轄違いや公訴棄却、免訴等のように、実体を判断しないで手続を打ち切る裁判を形式的裁判という[10]

裁判の内容では、「確認的裁判」「形成的裁判」「命令的裁判」に分類することができる。確認的裁判は、現存を確認するものであり、民事の確認判決や、刑事の無罪判決などがこれに当たる[11]。形成的裁判は、既存の権利関係を変更したり、新たな法律状態を作り出す裁判であり、民事の離婚判決や刑事の有罪判決などがこれに当たる[11]。命令的判決は、一定の行為を命じるものであり、民事における給付判決がこれに当たる[11]

実質的意義の裁判

「社会紛争を解決する拘束力ある第三者の判断」という実質的な定義と、司法機関と行政機関(あるいは立法機関)の権限区分とは必ずしも一致しないため、この実質的な裁判の定義に該当する判断を裁判所以外が行うこともある。

日本国憲法は、「行政機関は、終審として裁判を行ふことができない」(憲法76条2項)と規定するが、これは逆に終審でなければ行政機関も「裁判」を行うことができることを意味する。このような、行政機関が準司法的手続に基づいて行う「裁判」を、行政審判という。

また、日本国憲法は、国会の両議院が行う「議員資格争訟の裁判」と、国会議員で構成される裁判官弾劾裁判所が行う「弾劾裁判」のように、立法府が裁判を行う場合も存在する。

なお、裁判官弾劾裁判にて、過去に7度の訴追例があり、5人が罷免されている。


注釈

  1. ^ たとえば「証人の証言拒絶に対する当否の裁判」(ある証人がこの裁判において証言を拒絶することが妥当か妥当でないか、を判断すること)など。
  2. ^ なお、ここでいう「形式的意義の裁判」と、「実体的裁判」と対比される概念である「形式的裁判」とは異なる。

出典

  1. ^ 兼子一 1959, p. 1.
  2. ^ a b c d e f 『日本大百科全書』小学館。「裁判」【裁判の種類】内田武吉、加藤哲夫 執筆担当。
  3. ^ 日本弁護士連合会『2008年版弁護士白書』45頁、2009年。日本弁護士連合会(2014年10月18日アーカイブ)
  4. ^ 日本弁護士連合会『「弁護士報酬敗訴者負担の取扱い」に関する日本弁護士連合会の意見』、2003年。首相官邸(2013年1月29日アーカイブ)。日本の人口当たりの民事一審訴訟件数は「訴訟社会として知られるアメリカとは比べるべくもなく、ドイツの5分の1、フランスの7分の1にすぎない」。
  5. ^ J. Mark Ramseyer & Eric B. Rasmusen, Comparative Litigation Rates, 2010年。5頁、9頁。
  6. ^ 兼子一 1959, p. 4.
  7. ^ 裁判所職員総合研修所 2010, p. 259.
  8. ^ 裁判所職員総合研修所 2010, p. 258.
  9. ^ 梶村太市 & 徳田和幸 2007, pp. 409-.
  10. ^ 裁判所職員総合研修所 2011, p. 458.
  11. ^ a b c 兼子一 1959, p. 220.
  12. ^ 難波美緒 2014, pp. 147–148.
  13. ^ 公事上聴一件 4巻国立国会図書館デジタルコレクション
  14. ^ 君津市立久留里城址資料館 平成24年企画展「争いと仲直りの江戸時代」より。河川の流形が変わって自村の耕作地が川の対岸となってしまった場合は、立毛(たちげ)と呼ばれる生育中の農作物の存在が認められれば、飛び地として自村の土地として認定される。
  15. ^ a b 中川裕 2019年 p.81
  16. ^ a b c 中川裕 2019年 p.82
  17. ^ ナチスの96歳女性被告、公判前に逃亡図る 強制収容所の元秘書”. AFP (2021年10月8日). 2021年9月30日閲覧。
  18. ^ 100歳の元ナチス看守、公判で証言拒否”. AFP (2021年10月8日). 2021年10月7日閲覧。


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