翻訳教室 (柴田元幸) 翻訳教室 (柴田元幸)の概要

翻訳教室 (柴田元幸)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2016/01/28 14:30 UTC 版)

翻訳教室
Lectures on Literary Translation from English to Japanese
著者 柴田元幸
訳者 柴田元幸、ジェイ・ルービン、ウィリアム・ウィーヴァー、藤本和子
発行日 2006年2月20日
発行元 新書館
ジャンル 語学書、文学研究
日本
言語 日本語英語
形態 並製本
ページ数 334
コード ISBN 978-4403210884
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2004年10月から2005年1月にかけて東京大学文学部で行われた「西洋近代語学近代文学演習第1部 翻訳演習」の授業内容を、「ほとんどそのまま文字化したもの」[2]である。

内容

作者 作品 備考
スチュアート・ダイベック Hometown 小冊子『The Story of Mist』(State Street Press、1993年)に収められた作品。
バリー・ユアグロー Carp 『I-Mode Stories』(2004年)より。
レイモンド・カーヴァー Popular Mechanics 短編集『愛について語るときに我々の語ること』(クノップフ社、1981年4月)に収められた作品。
柴田の訳例のほかに、村上春樹のもともとの翻訳[注 2]も併せて授業で用いられた。
村上春樹 かえるくん、東京を救う 短編集『神の子どもたちはみな踊る』(新潮社、2000年2月)に収められた作品。英訳版 "Super-Frog Saves Tokyo" がテキスト[注 3][注 4]
作品を翻訳したジェイ・ルービンがゲストとして参加している。
特別講座 村上春樹さんを迎えて 本書に掲載された柴田の自筆メモによれば、村上春樹の参加日は2004年11月15日[注 5]
「僕は文章の書き方を誰にも習わなかった。だから、文章は音楽からしか学んでないです」と村上は述べている[3]
イタロ・カルヴィーノ Invisible Cities
(Le città invisibili)
イタリアの小説家イタロ・カルヴィーノの "Le città invisibili" の英訳版がテキスト。翻訳はWilliam Weaver
アーネスト・ヘミングウェイ In Our Time 1924年にパリで出版された、タイトルがすべて小文字の超短編 "in our time" がテキスト[注 6]。ヘミングウェイは1925年にこれを元に短編集『In Our Time』を刊行している。
ローレンス・ウェシュラー Inhaling the Spore ジャーナリストのローレンス・ウェシュラーが1995年に刊行した『Mr. Wilson's Cabinet of Wonder[注 7]の一節がテキスト。
リチャード・ブローティガン Pacific Radio Fire 短編集『Revenge of the Lawn』(Simon & Schuster、1971年)に収められた作品。
ブローティガンの作品のほとんどを訳した藤本和子について、柴田はこう述べている。「ブローティガンは、日本の翻訳史上でも大きな存在だと思います」「この藤本さんの翻訳がすごかった。とにかく翻訳でこんな活きた言葉があるのかと思いました。このあとに出てきたアメリカ文学の翻訳者というと、青山南さん、斎藤英治さん、岸本佐知子さん、それからもちろん村上春樹さんなどになると思います。そういった人たちがみんな、藤本さんの訳文の影響下にあると言って間違いないですね」[5]
レベッカ・ブラウン Heaven 短編集『The End of Youth』(City Lights、2003年)に収められた作品。

注釈

  1. ^ 新書館の公式サイトによる[1]。なお奥付の発行日は2006年3月5日となっている。
  2. ^ 村上は "Popular Mechanics" を「ある日常的力学」という題で訳した。『THE COMPLETE WORKS OF RAYMOND CARVER 2 愛について語るときに我々の語ること』(中央公論社、1990年8月)に収録されている。
  3. ^ 英訳版 "Super-Frog Saves Tokyo" は『GQ』2002年6月号に掲載され、それから間もなくして2002年8月刊行の短編小説集『after the quake』(Knopf)に収められた。
  4. ^ また、"Super-Frog Saves Tokyo"NHKラジオ第2の語学番組「英語で読む村上春樹」の教材に用いられた。
  5. ^ 村上春樹は、1996年11月に東京大学教養学部で行われた柴田の翻訳ワークショップにも参加している。このときの柴田と村上の対談は『翻訳夜話』(文藝春秋、2000年10月)に収録されている。
  6. ^ 柴田は2010年5月、"in our time"ヴィレッジブックスから翻訳出版した[4]
  7. ^ 同書は『ウィルソン氏の驚異の陳列室』(みすず書房、1998年11月、大神田丈二訳)という題で邦訳が出ている。

出典

  1. ^ 新書館 | 書籍 詳細ページ | 翻訳教室
  2. ^ 本書、単行本、5頁。
  3. ^ 本書、単行本、164頁。
  4. ^ in our time | ヴィレッジブックス
  5. ^ 本書、単行本、276-277頁。


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