繁体字 朝鮮漢字

繁体字

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/04 15:46 UTC 版)

朝鮮漢字

独立以来ハングル専用政策がとられた韓国では、漢字の簡略化は公式には行われていない。このことから朝鮮漢字朝鮮語で「한자〈漢字〉」)を「繁体字」と呼ぶことがある。Ken Lunde著『CJKV 日中韓越情報処理』(小松章・逆井克己訳、オライリー・ジャパン、2002年)は110ページで「KS X 1001:1992に規定されている漢字は繁体字と考えられる」と述べているほか、共同通信社編著『記者ハンドブック』(共同通信社)第6版(1990年、578ページ)以降第11版(2008年、714ページ)までのように、日本で当用漢字以後一般的には使われなくなった「旧字体」と同様の字体のものを「繁体字」と呼んだ例もある。ただし本項で扱う中国語における繁体字の規範とは用字法や字体に違いがある。字体については康熙字典体を基本としており、中国語の現行規範よりも日本の「旧字体」に近い。

中国大陸と繁体字

江沢民揮毫:「発展現代化郵政、満足社会需要」。「(発・發)」は簡体字で、「現(现)郵(邮)滿(满)會(会)澤(泽)」は繁体字である。

中華人民共和国統治下の中国大陸では、1955年以降「文字改革」政策の柱として漢字の簡化を進め、簡体字を「規範漢字」としている。例えば、天安門毛沢東の肖像画の両側に建国当初掲げられた有名な「中華人民共和國萬歲」「世界人民大團結萬歲」の文字は1964年に「中华人民共和国万岁」「世界人民大团结万岁」となった。2000年成立・2001年施行の「国家通用語言文字法中国語版」において、繁体字および異体字の使用が認められるのは、文物古跡、姓名中の異体字、書道・篆刻などの芸術作品、揮毫題辞・看板の手書き文字、出版・教育・研究上必要な場合、国務院の関係部門が認めた特別な場合に限定されている[2]

1980年、漢字の長所を科学的に見直すとする「漢字現代化研究会」が北京で発足し、数年後「北京国際漢字研究会」と改称した。メンバーに華僑が多く、漢字をおくれたものと見なす漢字落後論を基調とする従来の文字改革の流れに批判的な立場をとった。研究会は『漢字文化』誌を発行し、手書きは簡体字でよいが印刷は視認性に優れた繁体字により行うのがよいとする「識繁写簡」を主張した。これにより文字改革に肯定的な学者らとの論争が起こった[3]

2007年11月、中国の北京で開かれた第8回国際漢字会議で台湾・香港・マカオの繁体字を中心として一部のみ簡体字を認め、5000 - 6000字の字体を統一した「標準字」を定めていくことで中国・台湾・日本・韓国などが合意したと報じられた[4][5][信頼性要検証]。ただし、中華人民共和国教育部(教育省)は「そのような事実はない」と否定しているとも報道された[6][信頼性要検証]

2009年3月3日、中国人民政治協商会議全国委員会の潘慶林委員が、簡体字は中国の伝統文化の継承を妨げるとして、繁体字に段階的に戻すよう提案を行っている[7][8][信頼性要検証]

2009年6月19日、台湾の馬英九総統は中国にもっと繁体字を使用してほしいとする異例の提案を行っている[9]

脚注


  1. ^ 臺北市 正體字主題網 演講紀錄 正體字 是臺灣的寶貴資產,「繁體字」應正名為「 正體字 」(繁体字中国語)
  2. ^ 中华人民共和国国家通用语言文字法 第17条(簡体字中国語)
  3. ^ 武田雅哉 (1998). 蒼頡たちの宴. 筑摩書房(ちくま学芸文庫). p. 354-356. ISBN 4480084231 
  4. ^ “韓・中・日・台が漢字の字体統一へ”. 朝鮮日報. (2007年11月3日). オリジナルの2013年9月28日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20081120104604/http://www.chosunonline.com/article/20071103000035 2018年3月9日閲覧。 
  5. ^ “日・韓・中・台が漢字の字体統一を決定、主体は繁体字に―北京市”. Record China. (2007年11月12日). https://www.recordchina.co.jp/b12549-s0-c30-d0052.html 2018年3月9日閲覧。 
  6. ^ “「中・日・韓・台の漢字統一」報道を否定!簡体字使用の変更は不可能”. =Record China. (2007年11月11日). http://www.recordchina.co.jp/group/g12742.html 
  7. ^ 河崎真澄 (2009年4月20日). “中国で旧字体復活? 漢字の行き過ぎた簡略化めぐり論議”. 産経新聞. https://web.archive.org/web/20090423110631/http://sankei.jp.msn.com/world/china/090420/chn0904200928001-n1.htm 2009年7月21日閲覧。 
  8. ^ “<中台>漢字字体の統一を!繁体字の世界遺産化の動きも論議促進?…全国政協会議”. Record China. (2009年3月5日). https://www.recordchina.co.jp/b29134-s0-c70-d0000.html 2009年7月21日閲覧。 
  9. ^ “日本の漢字改革を手本に!中国と台湾の字体論争…香港メディア”. Record China. (2009年6月24日). https://www.recordchina.co.jp/b32777-s0-c70-d0000.html 2009年7月21日閲覧。 






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