結晶学 歴史

結晶学

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/26 03:46 UTC 版)

歴史

水晶などの結晶の特異な形は古くから注目され、結晶学はそれらの形態を調べるところから始まった(すなわち鉱物学の一分野であった)。17世紀に、デンマークのニコラウス・ステノが、結晶の各面のなす角度は種類によって決まっているという「面角一定の法則」を見出した。18世紀後半になると結晶学は進展を見せはじめ、1780年にはカランジョー(Arnould Carangeot)が結晶面の角度を測る装置(ゴニオメーター)を発明した。同じ頃フランスのルネ=ジュスト・アユイ(René-Just Haüy、結晶学の祖と呼ばれる)が、結晶面の寸法に整数比が成り立つという「有理指数の法則」を発見し、結晶は小さなユニット(原子または分子が並んで作る)の繰り返しでできていると考えた。これに基づいて19世紀初めにイギリスのウィリアム・ハロウズ・ミラー(1801-1880)が結晶面を「ミラー指数」で表現することを始めた。方解石などの複屈折は古くから知られていたが、これを応用してスコットランドのウィリアム・ニコル(William Nicol、1768-1851)が偏光顕微鏡を発明し、以後結晶の観察に偏光顕微鏡が多く用いられた。

結晶は形態的対称性から7晶系に分類されていたが、フランスの数学者オーギュスト・ブラヴェ(Auguste Bravais、1811-1863)が詳しい幾何学的研究を行い、すべての結晶が14種の空間格子(ブラヴェ格子、結晶格子)に分類されることを1848年に明らかにした。さらに対称性に群論を応用した研究が進められ、32晶族(単位格子の対称性に関する32種の点群に対応する)が明らかにされた。19世紀末になるとドイツの物理学者アーサー・モーリッツ・シェーンフリースArthur Schoenflies、1853-1928)らにより結晶全体の対称性が研究され、230種の空間群による細かい分類が完成した。

20世紀に入ってX線が発見されると、X線が結晶で回折されて特有のパターン(ラウエの斑点)を示すことが明らかにされた。これを研究したブラッグ父子によって1912年ブラッグの反射条件(ブラッグの法則)が見出され、回折パターンから具体的な原子の空間配置を求める道が開かれた。

この方法は分子結晶分子構造を求めるのにも応用され、1930年代以降ドロシー・ホジキンらによりペニシリンビタミンB12の構造が解明された。さらに第二次大戦後は蛋白質やDNAなど生体高分子の構造解析にも応用が広がった。

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