特殊器台・特殊壺 特殊器台・特殊壺の変遷

特殊器台・特殊壺

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/02 14:24 UTC 版)

特殊器台・特殊壺の変遷

宮山墳墓群出土 特殊器台
(国の重要文化財
岡山県立博物館展示。

立坂(たちざか)型 (特殊器台前期)

最初に岡山県総社市立坂遺跡で注目されたのでこう呼ばれているが、倉敷市楯築遺跡の立坂型(楯築)、総社市立坂遺跡の立坂型(立坂)、真庭市(旧真庭郡落合町)中山遺跡の立坂型(中山)に分けることができる。

立坂型(楯築)

基本は、綾杉文、鋸歯文、綾杉文と三角形の組み合わせ、横に走る文様は見られない。弧帯文様は帯をぐるぐる巻きにしたり、帯を潜らしたり、帯を折って反転させたり、帯を結んだりしたようにみえる。この型には、横に走る弧帯文がまだ現れていない。口縁部は10センチメートルくらいの幅がある、そこに幾つもの突帯文がめぐり突帯と突帯の間に文様を施している。

立坂型(立坂)

毛糸の束を捻ったような、あるいは波を抽象的に描いたような弧帯文様で、この時期に付けられ始めた。

立坂型(中山)

弧帯文と縦に分割した綾杉文が交互に付けられている。広島県三次市矢谷墳丘墓。綾杉の文様は全く施されず、横に展開する弧帯文様のみ。

向木見(むこうぎみ)型 (特殊器台後期)

倉敷市向木見遺跡で初めて注目されたので、向木見型という名称が使われている。30数遺跡から出土しており、100個体を優に超えている。三次市矢谷墳丘墓の器台文様は、一つの遺跡に5つの異なる文様が使われている。特殊器台と特殊壺は周溝から検出された。他に、岡山県新見市(旧阿哲郡哲西町)西江遺跡から3個体5種類の文様、岡山県倉敷市(旧吉備郡真備町)西山遺跡から2個体2種類の文様が出土している。向木見型の文様は一つ一つ全部違い、立坂型と比べて線がやや太めで硬直している。この期のある時期から壺を焼く前から底には底に穴が開いていて酒などをいれないように作ってあった。

宮山型(終末型)

終末型には二つの型がある。矢藤治山型と宮山型の型式で、それぞれ一遺跡しか知られていない。両方から出土した特殊壺からほぼ同じ時期であることが分かる。この期の特殊壺は、二重口縁の土師器に似てきている。壺の底は焼く前から穴を開け、中には酒などが入らないように作られていた。

矢藤治山(やとうじやま)型

岡山市矢藤治山遺跡(古墳)。向木見型が崩れて、省略されて、ある程度の変遷をし、その最後に来る終末期の一つの形式であり、矢藤治山遺跡からしか出土していない。特殊壺の口縁帯には鋸歯文が描かれている。

宮山型

宮山型特殊器台は、吉備では総社市宮山遺跡の宮山遺跡(古墳)からしか出土していない。特殊器台の口縁は分厚く、先が内に傾いており、特別な口縁部をしている。文様は、立坂型や向木見型には見られず、矢藤治山型の文様を拡大したよう文様で、同じような弧帯文の線を2本、3本と平行に重ねて横へ展開させて、それを短い直線で結んでいる。文様が非常に複雑。新しい種類であり、新しく考え出された文様である。特殊壺の口縁帯や頸には刷毛目が施されている。


  1. ^ 近藤 & 春成 1967, pp. 13–35.





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