液体水素 オルト水素とパラ水素

液体水素

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/18 03:51 UTC 版)

オルト水素とパラ水素

水素分子は、それぞれの原子核プロトン)の核スピンの配向により、オルト(ortho)とパラ(para)の2種類の異性体が存在する[5]

常温以上では、オルト水素とパラ水素の存在比はおよそ3:1であるが、低温になるほどパラ水素の存在比が増し、絶対零度付近ではほぼ100パーセントパラ水素となる[5][6]。オルト水素からパラ水素への変化は523kJ/kgの発熱反応であり、蒸発潜熱446kJ/kgより多い。[7]また反応には数日かかるため、数日保管しておくと反応熱で液化水素が気化してしまう。これを水素のボイル・オフ問題という。[8]これを防止するには触媒を用いて発熱反応を済ませておくと良い。オルト‐パラ変換を起こす触媒は、活性炭や鉄などの金属の一部、常磁性物質またはイオンなどがある[5]

パラ水素をオルト水素に戻すには、1週間近く常温で放置するか、触媒を用いるか、800℃ 近くに加熱するとよい。[9]

出典

関連項目


  1. ^ 津江・中谷研究室研究紹介予冷ターボジェットエンジン
  2. ^ 極超音速旅客機技術 | 航空新分野創造プログラム(Sky Frontier) | JAXA航空技術部門
  3. ^ 水素ステーション一覧|トヨタ自動車WEBサイト
  4. ^ 次世代自動車振興センター 水素ステーション整備状況
  5. ^ a b c Lee 1982, pp. 119–123, 3. 元素の一般的性質: 水素.
  6. ^ オルト水素、パラ水素とは?液化水素プラントの設計で知っておくべき物性について”. yuruyuru-plantengineer.com. 2023年2月28日閲覧。
  7. ^ 用語解説 パラ水素とオルソ水素”. rdreview.jaea.go.jp. 2023年2月28日閲覧。
  8. ^ 〈研究例紹介〉液化水素用水素分子核スピン転換触媒の開発”. 北海道大学大学院工学研究院附属エネルギーマテリアル融合領域研究センター マルチスケール機能集積研究室. 2020年6月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年6月10日閲覧。
  9. ^ オルソ水素とパラ水素”. 川口液化ケミカル株式会社. 2023年2月28日閲覧。


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