横浜事件 再審遅延に対する国家賠償請求

横浜事件

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/15 06:08 UTC 版)

再審遅延に対する国家賠償請求

免訴判断が示された後、元被告の遺族2人が「国側による裁判記録の処分により、再審請求が遅延して名誉回復に障害を来した」として、1億3800万円の損害賠償を求める国家賠償請求を東京地方裁判所に提訴した[17][18]。2016年6月30日、東京地裁は検察官や裁判官が元被告に対する拷問を認識しながら自白を前提に起訴・判決をおこなった点や、裁判資料を処分した点についてはいずれも違法と認めたものの、国家賠償法の制定以前の事案であるとして請求を棄却した[17][18]。7月11日に遺族側は判決を不服として東京高裁に控訴した[19]

2018年10月24日、東京高等裁判所は遺族側の控訴を棄却。一審判決を支持した[20]。原告側はこれを不服として上告する準備を進めたものの、東京高等裁判所の「上告提起通知書」送達から50日以内に「上告理由書」を高裁に送付する必要があったにもかかわらず弁護団のミスからこの期限を超過したため、2019年1月18日に高裁は上告を却下し、裁判は終結した[21]

文献

  • 美作太郎藤田親昌、渡辺潔(共著)『言論の敗北 横浜事件の真実』三一書房、1959年。 [1]
  • 青山憲三『横浜事件「改造」編集者の手記』弘文堂、1966年。 [2]
  • 黒田秀俊『横浜事件』学芸書林、1975年。 [3]
  • 中村智子『横浜事件の人びと(増補2版)』田畑書店、1989年。 [4]
  • 木村亨『横浜事件の真相 つくられた「泊会議」(増補2版)』筑摩書房、1986年。 [5]
  • 畑中繁雄(梅田正己編)『日本ファシズムの言論弾圧抄史』高文研、1986年。ISBN 4874980732 
  • 青山憲三『横浜事件 元『改造』編集者の手記』希林書房、1986年。ISBN 4879210579 
  • 笹下同志会『横浜事件資料集』東京ルリコール、1986年。ISBN 4924742023 
  • 海老原光義ほか『横浜事件 言論弾圧の構図(岩波ブックレット)』岩波書店、1987年。ISBN 4000030183 
  • 小野貞、気賀すみ子(共著)『横浜事件 妻と妹の手記』高文研、1987年。ISBN 4874980899 
  • 小泉文子『もうひとつの横浜事件 浅石晴世をめぐる証言とレクイエム』田畑書店、1992年。ISBN 4803802416 
  • アジアに対する日本の戦争責任を問う民衆法廷準備会『司法の戦争責任・戦後責任 内外の民衆抑圧を支えた司法の実態』樹花舎、1995年。ISBN 4795226709 
  • 小野貞、大川隆司(共著)『横浜事件・三つの裁判 十五年戦争下最大の言論・思想弾圧事件』高文研、1995年。ISBN 4874981534 
  • Janice Matsumura (1998). More Than a Momentary Nightmare: The Yokohama Incident and Wartime Japan. Cornell University East Asia Program. ISBN 1885445520 (hard cover), ISBN 188544592X (paperback)
  • 横浜事件の再審を実現しよう! 全国ネットワーク『世紀の人権裁判横浜事件の再審開始を!』樹花舎、1999年。ISBN 4795250448 
  • 鳥居民『第一部=8 横浜の壊滅(シリーズ 昭和二十年)』草思社、2001年。ISBN 4794210787 
  • 木村亨(松坂まき編)『横浜事件木村亨全発言』インパクト出版会、2002年。ISBN 4755401151 
  • 小野貞『谷間の時代・一つの青春』高文研、2003年。ISBN 4874983014 
  • 木村まき『空にまんまるの月』西田書店、2008年。ISBN 4888664927 

脚注


注釈

  1. ^ 9月2日に日本の降伏文書に調印、同時に昭和天皇が降伏を宣言しGHQの命令には無条件で服すべきこと、公有財産の毀棄を禁止する詔書を発布。10月5日に「政治的民事的及宗教的自由ニ対スル制限ノ撤廃ニ関スル覚書」が発されている
  2. ^ 降伏文書にも「軍用・非軍用を問わず公用財産の毀棄を禁止する。日本政府はこの措置を徹底させる」と明記されている。昭和天皇が詔書を以てこれを命じたのは記録が処分された後だった

出典

  1. ^ Japan Playwrights Association - ─── (1)「横浜事件」という事件はない”. 一般社団法人 日本劇作家協会. 2024年2月3日閲覧。
  2. ^ a b Japan Playwrights Association - ─── (2) 戦後の「冤罪究明・無罪獲得」のための再審裁判”. 一般社団法人 日本劇作家協会. 2024年2月3日閲覧。
  3. ^ a b c d e f g h i 金澤・向井・瀨谷・西村 2019, pp. 165–169.
  4. ^ 金澤・向井・瀨谷・西村 2019, p. 7.
  5. ^ 金澤・向井・瀨谷・西村 2019, p. 156.
  6. ^ 金澤・向井・瀨谷・西村 2019, pp. 143–145.
  7. ^ a b 金澤・向井・瀨谷・西村 2019, pp. 163–165.
  8. ^ 金澤・向井・瀨谷・西村 2019, pp. 165–168.
  9. ^ 金澤・向井・瀨谷・西村 2019, pp. 170–172.
  10. ^ 金澤・向井・瀨谷・西村 2019, p. 175.
  11. ^ 横浜事件第4次再審裁判、免訴判決に抗議する 日本国民救援会会長声明 2009年4月1日
  12. ^ 金澤・向井・瀨谷・西村 2019, pp. 183–184.
  13. ^ 金澤・向井・瀨谷・西村 2019, p. 185.
  14. ^ 金澤・向井・瀨谷・西村 2019, p. 163.
  15. ^ 読売新聞2009年3月30日付
  16. ^ 共同通信 2010年2月4日
  17. ^ a b “横浜事件 「記録廃棄は違法」国家賠償は認めず 東京地裁”. 毎日新聞. (2016年6月30日). オリジナルの2016年7月1日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20160701134538/http://mainichi.jp/articles/20160630/k00/00e/040/212000c 2016年7月13日閲覧。 
  18. ^ a b “横浜事件、国の賠償責任認めず 元被告遺族の請求棄却”. 朝日新聞. (2016年6月30日). https://www.asahi.com/articles/ASJ6X6JY8J6XUTIL065.html 2016年7月13日閲覧。 
  19. ^ 「横浜事件で遺族控訴」北日本新聞2016年7月12日朝刊31頁
  20. ^ 横浜事件 二審も遺族側敗訴 国賠法施行前の責任否定”. 東京新聞 (2018年10月24日). 2019年4月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年10月25日閲覧。
  21. ^ “横浜事件の国賠訴訟、「弁護団のミス」で上告却下”. 日本経済新聞. (2019年1月22日). https://www.nikkei.com/article/DGXMZO40322350S9A120C1CC1000/ 2019年1月27日閲覧。 


「横浜事件」の続きの解説一覧




横浜事件と同じ種類の言葉


固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「横浜事件」の関連用語

横浜事件のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



横浜事件のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの横浜事件 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS