概型 OX 加群

概型

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/26 20:45 UTC 版)

OX 加群

可換環 R を研究するときに可換環論において R 加群が中心的なのと同様に、構造層 OX を持つスキーム X の研究において OX 加群が中心的である。(OX 加群の定義については局所環付き空間を参照。)OX 加群の圏はアーベル圏である。特に重要なのは X 上の連接層であり、これは X のアフィン部分上の有限生成な(通常の)加群から生じるものである。X 上の連接層の圏もまたアーベル圏である。

スキーム X の構造層 OX の切断は正則函数と呼ばれ、これは X の各開集合 U 上で定義される。OX可逆部分層は、O 
X
 
と書かれるが、乗法について可逆な正則関数の芽のみからなる。ほとんどの場合、層 のアフィン開集合 上で 全商環 を対応させることで得られる。(しかし、定義がより込み入っている場合もある。)[36] の切断を の有理函数(rational function)と呼ぶ。その可逆な部分層を と書く。この可逆層の同型類全体 は、テンソル積によりアーベル群となり、ピカール群と呼ばれ、 に同型である。射影スキームの場合、大域切断が定数しかないが、この場合も を覆う各々の開集合上の断面を正則函数と言う。


注釈

  1. ^ Schappacher (2007, p. 10) によれば、ザリスキーは1938年から自分流の代数幾何学の基礎を考え始めている。
  2. ^ ただし、Chevalley (1955)Nagata (1956) でこの講演が参考文献としてあげられているわけではない。また Chevalley (1955) で考察されているのは体上の代数幾何学だけである。
  3. ^ Kk 上の自己同型群の意と思われる。
  4. ^ グロタンディークは永田の論文を知っていた。Dieudonné (1989, p. 305) 参照。
  5. ^ アンドレ・マルティノー英語版のことと思われる。

出典

  1. ^ Schappacher 2007, p. 248.
  2. ^ a b c McLarty 2003, p. 13.
  3. ^ Schappacher 2007, pp. 252–253.
  4. ^ Weil 1962.
  5. ^ Weil 1962, p. vii.
  6. ^ Serre, Jean-Pierre (1999). “André Weil. 6 May 1906 — 6 August 1998”. Biographical Memoirs of Fellows of the Royal Society 45: 524. doi:10.1098/rsbm.1999.0034. https://royalsocietypublishing.org/doi/10.1098/rsbm.1999.0034. 
  7. ^ 新訂版 数学用語 英和辞典, p. 90, - Google ブックス
  8. ^ Weil 1962, p. 68.
  9. ^ Dieudonné 1985, p. 65.
  10. ^ Weil 1962, p. xi.
  11. ^ Schappacher 2007, p. 276.
  12. ^ Weil 1949.
  13. ^ Weil 1949, p. 507.
  14. ^ The Grothendieck Festschrift, Volume I, p. 7, - Google ブックス
  15. ^ Serre 1955.
  16. ^ Dieudonné 1985, p. 102.
  17. ^ Serre 1955, p. 197.
  18. ^ Serre 1955, p. 233.
  19. ^ McLarty 2016, pp. 259–260.
  20. ^ Chevalley 1955.
  21. ^ Chevalley 1955, p. 3.
  22. ^ Nagata 1956.
  23. ^ Cartier 1956a, p. 1.
  24. ^ Cartier 1956a, p. 9.
  25. ^ McLarty 2003, p. 16.
  26. ^ Cartier 1956b.
  27. ^ Cartier 1956b, p. 18.
  28. ^ Grothendieck-Serre Correspondence, p. 25, - Google ブックス
  29. ^ Grothendieck 1960.
  30. ^ Grothendieck 1960, p. 106.
  31. ^ a b c McLarty 2003, p. 14.
  32. ^ McLarty 2003, p. 17.
  33. ^ Serre, Jean-Pierre (1989) (PDF), Rapport au comité Fields sur les travaux de A. Grothendieck (1965), p. 4, https://agrothendieck.github.io/divers/rapportserre.pdf 
  34. ^ Mumford, David (2009) (PDF), My Introduction to Schemes and Functors, p. 4, https://www.dam.brown.edu/people/mumford/beyond/papers/2014b--Recollections-AGroth.pdf 
  35. ^ Dieudonné 1989, p. 306.
  36. ^ Kleiman, Misconceptions about KX, L'Enseignement Mathematique.





英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「概型」の関連用語

概型のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



概型のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの概型 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS