愛情物語 (1984年の映画)
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スタッフ
- 監督:角川春樹
- 原作:赤川次郎
- 脚本:剣持亘
- 撮影:仙元誠三
- 編集:鈴木晄
- 美術:今村力
- 照明:渡辺三雄
- 録音:瀬川徹夫
- 音楽:甲斐正人
- ダンス・コーディネーター:小林英六郎
- 主題歌:原田知世「愛情物語」(作詞:康珍化、作曲:林哲司、編曲:萩田光雄)
製作
企画
映画監督の大林宣彦によれば、プロデューサーでもある角川春樹が大林に対し、「大林さんで、(原田知世の主演映画を)最低2、3本続けて撮ってください」と当初言っていたが、尾道での『時をかける少女』のロケ撮影を見学した角川が、カメラの前で大林にすべてを委ねる原田に嫉妬し、「自分の方を向かせたい」「2本目の知世の映画は(略)僕が自分で演出したい」として、角川自身が監督をすることになったという[2]。一方の角川は、『時をかける少女』の陣中見舞いで尾道を訪れた際、原田が2週間前のにっかつ撮影所クランクイン時と比べて、芝居が見違えるほど成長し、大林から「原田知世は天才です」という文面の手紙をもらったことで、「私がこの天才女優を第2作で本物の女優に育て上げよう」と思い立ち、「映画監督はアイドル映画を通過して、時代の息吹を肉体に吹き込むことが必要だ」という自身の信条にのっとった結果でもあったと述べている[3]。
赤川次郎の原作は、映画化を前提に角川春樹の依頼で、角川書店の雑誌『小説 野性時代』に『カーテン・コール』という題名で連載され、連載終了後に『愛情物語』に改題されてカドカワノベルズから新書版が出版された[4]。「あしながおじさん」の設定は、原作の段階で設定された。これは原田主演の第1回マクドナルドミュージカル『あしながおじさん』を観劇した角川が赤川へテーマとして盛り込むよう指示したことによる[5]。
撮影
角川は本作を「原田知世のプロモーションフィルム」と位置づけ、上映時間100分を100シーンのアルバム映画として構成した。これは当時新鋭のビデオメディアだったレーザーディスクでの視聴を念頭に置いた構成だった。作中のミュージカルの上演場面は当時のミュージックビデオを参考に編集と画質調整が行われた。
本作公開の前年に洋画『フラッシュダンス』がヒットし、角川は打倒『フラッシュダンス』を目標に、主演の原田を吹き替えなしで踊らせようと、米国から振付師のミゲール・ガドリューを招き、ダンサーもニューヨークから35名を招致した。原田は上記のミュージカル『あしながおじさん』に出演するために、ブロードウェイのダンサー兼インストラクターだったデビッド・ストーリーに師事しており、ダンスシーンの撮影は問題なく進められた。
角川は、渡瀬恒彦が演じる篠崎拓次に自身を仮託し、津田ゆかりが演じる拓次の妹・真理を、自殺した実妹の眞理への鎮魂と贖罪として演出した。物語中で真理が自殺する場面は、眞理の実母である角川照子がショックを受けないよう、「務めて綺麗に」撮影した。また本作の色調は赤で統一され、赤いトゥーシューズに始まり、赤いバンダナで終わる構成となった[6]。
音楽
- 詳細は「愛情物語 オリジナル・サウンドトラック」を参照
『愛情物語 オリジナル・サウンドトラック』(EASTWORLD WTP-60487~88)収録曲は以下の通り。
- ジル・コルッチ「Dancing in the Night (Long Version)」
- 「〜タイス〜より瞑想曲」
- カルメン・グリロ「Trouble」
- ヘザー・ハフマン「You Could Be the One」
- 原田知世「地下鉄のザジ (Zazie dans le métro)」
- 「忘れ雪』
- ローズマリー・バトラー「Chotto Matte Kudasai」
- 「真理のテーマ」
- カレン・トビン「I Dream of Loving You」
- 原田知世「ダンデライオン〜遅咲きのたんぽぽ」
- 「青春の証明」
- Kathi Pinto「What Can I Do」
- ローズマリー・バトラー「ウイニングラン (Call of the Wild)」
- 「壺の里」
- 「坂のある町」
- ローズマリー・バトラー「男が女を愛する時 (When a Man Loves a Woman)」
- 「黒い森の記憶~黒い木馬」
- 原田知世「愛情物語」
- 「Too Young」
- 「マジカル・ダンス」
- Kathi Pinto「Love's the Answer」
- 「お父さんって呼んでいいですか」
- ジル・コルッチ「Dancing in the Night (Short Version)」
- 原田知世「Curtain Call」
評価
興行成績
『メイン・テーマ』との二本立て興行で約18億5000万円の配給収入を得て、1984年度の邦画作品で2位となった[1]。
受賞歴
- 第2回ゴールデングロス賞優秀銀賞
批評
文芸評論家の山本健吉や劇作家のつかこうへいは評価したが、多くの映画評論家は本作を黙殺した。また映画監督の森田芳光は、拓次の妹の自殺場面の演出について、「そういう拘りは気をつけて下さい。それが一番落とし穴ですから」「ダメですよ。情念を持ち込んで受けようというのは。映画のデザインとして面白ければ良いですけど」と角川に忠告したとされる。一方で俳優の松田優作は「自分が拓次をやったら、もっとぎゅっと美帆を抱きしめる」と語ったという[7]。
- ^ a b 1984年配給収入10億円以上番組 - 日本映画製作者連盟
- ^ 大林宣彦『映画、この指とまれ』徳間書店〈アニメージュ#アニメージュ文庫〉、1990年、89-90頁。ISBN -4-19-669627-9。
- ^ 『最後の角川春樹』、2021年11月発行、伊藤彰彦、毎日新聞出版、P221
- ^ 『最後の角川春樹』、2021年11月発行、伊藤彰彦、毎日新聞出版、P202
- ^ 『最後の角川春樹』、2021年11月発行、伊藤彰彦、毎日新聞出版、P203~204
- ^ 『最後の角川春樹』、2021年11月発行、伊藤彰彦、毎日新聞出版、P206~207
- ^ 『最後の角川春樹』、2021年11月発行、伊藤彰彦、毎日新聞出版、P206~208
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