広告代理店 批判

広告代理店

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/04 03:35 UTC 版)

批判

一業種一社制の相対化

日本と海外の広告代理店を比較してよく批判されるのは、海外のほとんどの先進国で見られる「一業種一社制」の原則が日本には見られないことである[5]「一業種一社制」とは1つの広告代理店が同時に2つ以上の競合(同業種他社)会社の広告を担当しないという、社会的モラルも含んだ制度であり、これは「同広告代理店が競合他社の製品の購買も促進する」という矛盾の防止が目的である。

例えば日本の自動車会社の広告を見ると、電通は本田技研工業SUBARU、完全子会社のダイハツ工業を含むトヨタ自動車を始めとする大半の競合自動車メーカー、博報堂は日産自動車マツダスズキADK三菱自動車工業など、というように競合する他社同士の広告を同時に担当している。その結果、顧客企業が開発を進める新製品の機密情報の保守や、競合関係に当たるメーカーの商品購買も促進し、あえて顧客同士を互いに競わせる形にして自らは儲けている、などの観点からしばしば問題に上がる。

その結果、同業他社のいかんを問わず、様々な業種の大企業を一手に顧客に収める電通や博報堂、ADKなどの主要な広告代理店が強大な媒体力を保持してしまい[6]、自由競争が損なわれているため、広告代理店の売上げ順位どころか売上げの比率もほとんど変化しないこと。媒体露出量に依存し、「一業種一社制」の元で競争が激しい海外市場に目が向かなくなることが、日本の広告代理店の国際競争力が低い原因の一つに挙げられる。例えば電通は、単体で世界最大の広告代理店にもかかわらず、世界的な認知度はほとんどない[要出典]

ネット広告の取引が拡大することを機会として捉え、主としてアメリカではコンサルティング業界からの参入が相次ぎ、もはやアメリカのネット広告の取引額の上位会社の大部分は、従来からの広告会社ではない。それらコンサルティング業界では、もともと「一業種一社」の伝統がなく、コンサルティング業界ではそれが当然である、とする論理で広告取引も行う。したがって、21世紀には一業種一社制を巡る議論は、日本の特殊性批判とは違う次元に突入している。

業務体質

また、一部の広告代理店は、過労自殺した社員の親族が「社員の安全配慮義務を怠った」「残業手当が支払われていない」などで会社を相手に損害賠償を請求し裁判を起こしたことに象徴される、過酷な勤務状況でよく知られている[7][8]。現在は大手代理店は過大残業を見直し、アウトソーシングによって大幅に減らしていこうと努力しているが、これにより制作プロダクションは一層の激務を要求されることになり、本質的な問題の解決には至っていない[9]


  1. ^ a b c 楓セビル. “マディソン・アベニューをつくったアドマンとアドウーマンたち”. 公益財団法人吉田秀雄記念財団. 2019年4月29日閲覧。
  2. ^ : integrated marketing communications
  3. ^ 経済産業省文化情報関連産業課 『アニメーション産業の現状経済産業省、2003年6月。「4.テレビアニメーション番組ビジネス(例)」を参照のこと。
  4. ^ 嫌われたくない病
  5. ^ 広告業界一業種一社制の不採用問題
  6. ^ TBWAやG1単体で日本進出をしなかったのもそのため
  7. ^ 八木光恵 『さよならも言わないで』 双葉社〈双葉文庫〉、1993年。ISBN 4575710407 
  8. ^ ホイチョイプロダクションズ 『気まぐれコンセプトクロニクル : Big comic spirits presents』 小学館、2007年。ISBN 9784093590020 
  9. ^ Q.残業は多いのか。休日は休めるのか。


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