平坦加群
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/03/24 02:14 UTC 版)
定義
A を環、M を右 A 加群とする。 A 加群からなる任意の短完全系列
に対して、M とのテンソル積をとった系列
が完全になるとき、M は A 上平坦である、または M は平坦 A 加群であるという。 M が左 A 加群のときも同様に定義される。
なお一般の加群 M に対しては、関手 M ⊗A – は右完全ゆえ
A 代数 B が平坦であるとは、B が A 加群として平坦であることをいう。
性質
- 射影加群は平坦である。特に自由加群も平坦である。
- (推移性) B が平坦 A 代数で、M が平坦 B 加群ならば、M は A 加群としても平坦である。
- (係数拡大) A 加群 M が平坦ならば、任意の A 代数 B に対し、B 加群 M ⊗A B も平坦である。
- AS を環 A の積閉集合 S による局所化とすると、AS は A 上平坦である。
- (局所性)上より、A の任意の素イデアル p に対し、Mp = M ⊗A Ap は平坦な Ap 加群となる。逆に、任意の p に対し Mp が Ap 上平坦ならば、M は A 上平坦である。
- I を A の自明でないイデアルとすると、A/I が AS の形に書ける場合を除き、A 加群 A/I は平坦でない。
- A 加群 M が平坦であることと、任意の A 加群 N に対し TorA
1 (M, N) = 0 となることとは同値である。
- ^ ただし、彼はなぜ平坦(flat)という語を用いたか覚えていないと言っている。“Why are flat morphisms “flat?””. 2015年9月28日閲覧。
- ^ Weibel 1994, Lemma 4.1.10.
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