官房 官房の呼称

官房

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/10/18 02:02 UTC 版)

官房の呼称

中央省庁再編に際し、新府省庁の官房は「内閣府大臣官房」、「総務省大臣官房」、「防衛庁長官官房」のように「府省庁名+大臣官房(長官官房)」へ表記が統一されたが、旧府省時代は「(頭に総理府を付けずに)内閣総理大臣官房」、「法務大臣官房」などのように「大臣職名+官房」つまり「府・省」の字を省いたものを正式呼称とするのが多数派であった(「庁」を省かないのは現在と同じ。)。

大蔵省、文部省、厚生省、運輸省の4省は「省」を挿入する表記が自省における正式呼称であったが、少数派のため、法令の条文あるいは議院事務局や他官庁の公文書上で「省」を省いた多数派式の表記(例:大蔵省大臣官房とすべきところを大蔵大臣官房)をされることもあった。

過去に設置されていた官房

局長官房

総理府特別調達庁特別調達局

特別調達庁は、1949年制定の特別調達庁設置法[2]で総理府の外局として設置され、地方支分部局として特別調達局が置かれた。設置時点では、経理部、契約部、技術部及び促進監督部の4部であったが、翌年の法改正[3]により、「局長官房」が置かれるとともに、管財部が増設された。1952年3月31日の特別調達庁設置法の改正[4]により、特別調達庁は、調達庁に、特別調達局は、調達局になったが引き続き局長官房が設置された。1952年7月31日の調達庁設置法の改正[5]により調達局の局長官房は総務部となった。なお、特別調達庁、調達庁は占領軍の要求により各種の調達を行う機関であり、後の防衛施設庁の前身である。

大蔵省印刷局

大蔵省印刷局は、1949年制定の大蔵省設置法[6]で外局である印刷庁になったがこのとき「長官官房」が置かれた。印刷庁は、1952年8月1日の大蔵省設置法の改正[7]により、大蔵省の付属機関である「大蔵省印刷局」となり、「局長官房」が置かれた。1961年11月1日の大蔵省設置法の改正[8]により、印刷局の局長官房は総務部となった。

大蔵省財務局

1949年制定の大蔵省設置法[6]の施行の際、地方支分部局として財務部が置かれた。内部組織は省令(大蔵省組織規程(昭和24年5月31日大蔵省令第37号))で定めるとされたが部制とらず課制であった。財務部は、1951年8月1日の大蔵省設置法の改正[9]により、財務局になった。1951年4月1日の大蔵省組織規程の改正[10]により財務局に部制が導入されるとともに局長官房(ただし関東財務局は、総務部)をおいた。1961年11月1日の大蔵省組織規程の改正[11]により、財務局の局長官房は総務部となった。

農林省農地事務局

農林省地方支分部局だった農地事務局には、1949年制定の農林省設置法[12]第38条により「局長官房」が置かれた。農林省農地事務局は、1963年(昭和38年)5月1日に地方農政局に改組され[13]このとき、局長官房は総務部となった。

郵政省地方郵政局

郵政省地方支分部局だった地方郵政局には、1952年の郵政省組織規程の改正[14]により「局長官房」が置かれた。1976年4月1日の郵政省組織規程の改正[15]により、地方郵政局の局長官房は総務部となった。

郵政省地方電波監理局

郵政省地方支分部局だった地方電波監理局には、1959年の郵政省組織規程の改正[14]により「局長官房」が置かれた。地方電波管理局の局長官房は、1962年7月25日の郵政省組織規程の改正[16]により、関東、近畿、九州、北海道の各電波監理局[17]の局長官房は総務部となり、1963年4月1日の郵政省組織規程の改正[18]により、東北、中国の各電波監理局の局長官房は総務部となり1964年4月1日の郵政省組織規程の改正[19]により、東海、北陸の各電波監理局の局長官房は総務部となり、1965年4月1日の郵政省組織規程の改正[20]により、残る信越、四国の各電波監理局の局長官房は総務部となった。

北海道開発庁北海道開発局

北海道開発庁地方支分部局だった北海道開発局には、1951年7月1日の設置[21]から2001年1月6日の中央省庁再編まで「局長官房」が置かれた。北海道開発庁は人員の大半が北海道開発局に配置されており、本庁は課制で長官官房を置かなかった。省庁再編により開発局は国土交通省の地方支分部局となり、局長官房は「開発監理部」と改称された。

税関長官房

1949年制定の大蔵省設置法[6]第22条により、税関に、税関長官房が置かれた。また大蔵省組織規程(昭和24年5月31日大蔵省令第37号)第72条第1項により税関長官房に官房主事を置いた。1961年11月1日の大蔵省設置法の改正[8]により、税関長の税関長官房は総務部となった。

地方長官官房

1947年地方自治法施行以前の地方行政官庁(府県東京都北海道庁樺太庁)にも官房が存在したが、府県の長の官房は知事官房、東京都・北海道庁・樺太庁の長は長官官房と称していた。これはそれぞれの機関の長が、知事であるか、長官であるかの違いによる。根拠規定は、東京都は、東京都官制(昭和18年6月19日勅令第504号)第9条及び第10条。府県は、地方官官制(大正15年6月4日勅令第147号)第12条及び第13条、北海道庁は、北海道庁官制(大正2年6月13日勅令第150号)第11条、樺太"庁は、樺太庁官制(昭和18年3月27日勅令第196号)第9条及び第10条であった。

総監官房

1948年警察法施行以前の警視庁にも官房が存在した。他の府県警察が、府県庁の警察部であったのが、東京府(後に東京都)の警察である警視庁は、内務大臣の直接の指揮下に置かれていた。警視庁の官房は総監官房と称していた。根拠規定は、警視庁官制(大正2年6月13日勅令第149号)第11条であった。

脚注


注釈

  1. ^ "secretariat"は、"secretary"(書記秘書)の集合名詞で、共産諸国に関しては「書記局」と訳されることが多い。なお、"the secretariat of the United Nations"の翻訳は国連事務局である。
  2. ^ 防衛省の前身である警察予備隊本部・保安庁・防衛庁にも長官官房が存在した。防衛装備庁長官官房は課制を取っていないが、いわゆる課長級として総務官・人事官・会計官などを置く。
  3. ^ 各局・各部内におけるいわゆる窓口・調整・渉外業務と庶務担当課の役割を担うことが多い。

出典

  1. ^ 日本法令外国語訳データベースシステム・国家行政組織法”. 法務省. 2021年2月9日閲覧。
  2. ^ 特別調達庁設置法(昭和24年5月31日法律第129号
  3. ^ 特別調達庁設置法の一部を改正する法律(昭和25年3月31日法律第46号)
  4. ^ 特別調達庁設置法の一部を改正する法律(昭和27年3月31日法律第37号)
  5. ^ 調達庁設置法の一部を改正する法律(昭和27年7月31日法律第259号)
  6. ^ a b c 大蔵省設置法(昭和24年5月31日法律第144号 )
  7. ^ 大蔵省設置法の一部を改正する法律(昭和27年7月31日法律第269号)
  8. ^ a b 大蔵省設置法の一部を改正する法律(昭和36年11月1日法律第168号)
  9. ^ 大蔵省設置法の一部を改正する法律(昭和25年5月4日法律第141号 )
  10. ^ 大蔵省組織規程の一部を改正する省令(1951年4月1日大蔵省令第22号)
  11. ^ 大蔵省組織規程の一部を改正する省令(昭和36年11月1日大蔵省令第68号)
  12. ^ 農林水産省設置法(昭和24年5月31日法律第153号)
  13. ^ 農林省設置法の一部を改正する法律(昭和38年1月16日法律第1号)による改正。
  14. ^ a b 郵政省組織規程の一部を改正する省令(昭和27年8月1日郵政省令第16号)]
  15. ^ 郵政省組織規程の一部を改正する省令(昭和51年3月29日郵政省令第9号)
  16. ^ 郵政省組織規程の一部を改正する省令(昭和37年7月25日郵政省令第12号)
  17. ^ 総称としては地方電波管理局と呼称するが、個別の局名称には地方を付さない
  18. ^ 郵政省組織規程の一部を改正する省令(昭和38年3月29日郵政省令第2号)
  19. ^ 郵政省組織規程の一部を改正する省令(昭和39年3月31日郵政省令第7号)
  20. ^ 郵政省組織規程の一部を改正する省令(昭和40年3月31日郵政省令第7号)
  21. ^ 北海道開発法の一部を改正する法律 (昭和26年6月13日法律第234号)による北海道開発法の改正による。


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