天皇陛下御在位六十年記念硬貨
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金貨大量偽造事件
1990年(平成2年)1月29日、在位60年金貨の大量偽造が発覚した。偽造された金貨の枚数は10万7946枚に上り、額面が10万円であったため被害額は107億9460万円という巨額であった。
発覚
1990年(平成2年)1月29日、日本国内最大手の貨幣商が、スイスから輸入した10万円金貨1000枚を東京の都市銀行に預けたところ、チェックをしていた銀行員がそのうち1枚の包装に違和感を覚えた。その為、日本銀行および警視庁科学捜査研究所で鑑定したところ、預けられた1000枚すべてが偽造であることが判明。その後の調査で偽造された金貨が2年前から日本に流入していたこと、しかも確認された偽造金貨10万7946枚のうち、8万5647枚が日本銀行に還流していたことが判明した。このように大量の金貨が日本に還流していたことが不審に思われなかったのは、発行当時に比べ為替レートが円高になっており、日本国外で購入した者が円高差益(額面保障のため、額面で日本に輸出しても為替差益を得られる)を狙って売り出していると見られていたからである。また、偽造された金貨は本物から鋳型をとって鋳造したもので、10万円金貨が純金製であったため、偽造が容易であり、このような大量の偽造硬貨が製造できたと見られる。
真相
これら大量の金貨を日本に輸出したのはスイスの貨幣商の男性であったが、その背景には国際的偽造グループが介在していた可能性が高い。しかし偽造グループは特定されず、日本円で約60億円という高額な金銭を懐に入れて消えてしまった。
なお、証拠品の偽造金貨は表面を圧延の上で、地金として関係者に返還された。
影響
その後、日本で発行された記念金貨については様々な偽造防止対策がなされるようになった。また近年では、偽造された金貨のように額面保証型のものから、金の地金価格をはるかに超える価格で販売されるが、その代わり額面をそれより低くする収集型金貨の形式で発行されるようになった。
注釈
出典
- ^ 翁邦雄 『金利と経済』 ダイヤモンド社、2017年、ISBN 978-4-478-10168-1
- ^ a b 石原幸一郎 『日本貨幣収集事典』 原点社、2003年
- ^ “偽造1万円銀貨46枚が見つかる 昭和天皇在位60年記念”. MSN産経ニュース (2013年12月3日). 2013年12月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年12月16日閲覧。
- ^ 偽造1万円銀貨:46枚見つかる 昭和天皇在位60年記念- 毎日新聞(2013年12月3日 共同通信配信)
- ^ 偽造銀貨46枚見つかる 昭和天皇在位60年記念 :日本経済新聞(2013年12月3日 共同通信配信)
- ^ 本物知ってる?偽の1万円記念銀貨見つかる : 社会 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)(2013年12月3日)
- ^ “偽造銀貨、46枚見つかる”. 朝日新聞デジタル (2013年12月4日). 2013年12月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年12月16日閲覧。
- ^ “また偽一万円銀貨、100枚見つかる”. 時事ドットコム (2013年12月20日). 2014年1月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年1月16日閲覧。
固有名詞の分類
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