大町 (仙台市) 概要

大町 (仙台市)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/01 10:17 UTC 版)

概要

道路としての大町通は、仙台駅の西口北端と西公園南東角を直線で結ぶ狭い道路の西半分にあたる。東半分は中央通というアーケード商店街である。大町通の一本南で並行する幅が広い道路が青葉通で、これは仙台駅前から西に伸びて、西公園の交差点で大町通と合流する。青葉通に対して大町通は鋭い角度で交わり、脇道のようになっている。

街区としての現在の大町一丁目は、東西南北をそれぞれ国分町通(かつての奥州街道)、晩翠通青葉通、大町通と肴町通との間にある細い道で区切られたブロックである。二丁目は、晩翠通、西公園通、青葉通、広瀬通で区切られる。21世紀現在では中心街に隣接する一街区にすぎないが、江戸時代にはもう少し東の東二番丁までが大町であった。

仙台の大町の起源は米沢にあり、そこの大町が伊達氏の転封とともに岩出山に移り、仙台の開府とともに仙台に移った。大町通は城下町を設計するときに東西の基線とされた。南北に通る奥州街道と交わる場所を芭蕉の辻といい、そこが城下町の中心であった。大町は西から東に五丁目まで丁目で分けられ、一二丁目と三四五丁目の二つを独立した町として組織した。三四五丁目は6つある御譜代町の筆頭であり、城下に24ある町人町の筆頭でもあった。江戸時代初期の大町は仙台藩から主要商品の専売特権を与えられ、中期以降も問屋機能について同様の特権を保ち、富み栄えた。

明治に入ると大町の特権はすべて失われ、他の町が台頭した。大町はなおも商業中心の一角であったが、賑わいの重心は仙台駅に近い大町五丁目に移った。三、四丁目にはしだいに銀行・保険会社の本店・支店が集まり、一、二丁目は商業地としての地位を低下させた。

第二次世界大戦後にすぐ南に並行して青葉通が作られ、そちらが自動車交通の要路となった。五丁目は1964年にアーケードを作り、やがてそれを歩行者専用にして、「マーブルロードおおまち」と称した。もう一つのアーケード街である東一番丁との交差点に接し、中心商店街の要地として21世紀現在も繁栄している。五丁目を除いて、大町は中心街そのものではなく、商業地としては中心街に隣接する一街区程度の重みに低下した。1970年には町名変更により、大町一から四丁目は今までの丁目と無関係の一丁目と二丁目にまとめられ、五丁目は一番町三丁目に入れられた。

旧五丁目は大町五丁目繁昌会という町内会を作り、クリスロード商店街振興組合、名掛丁繁栄会とともに中央通連合会という連合町内会に属する。その他は仙台市大町会で、広瀬川の両岸にまたがる立町地区町内会連合会に属する。

面積と年間商品販売額

人口・面積と年間商品販売額[5]
町名 面積 卸売 小売
大町1丁目 0.034km² 324億5021万円 71億2510万円
大町2丁目 0.116km² 679億4364万円 51億8481万円
一番町3丁目 0.090km² 1471億16931万円 783億6102万円

世帯数と人口

2022年(令和4年)1月1日現在の世帯数と人口は以下の通りである[1]

丁目 世帯数 人口
大町一丁目 103世帯 134人
大町二丁目 1,336世帯 1,822人
1,439世帯 1,956人

注釈

  1. ^ 1954年刊『仙台市史』第1巻53頁、54頁注1。仙台最古の地誌『仙台鹿の子』には慶長7年とあるが、『仙台萩』その他の伝えは慶長6年とする。
  2. ^ 明石治郎「米川家文書」116頁。この事実は一二丁目年行司の米川家に伝わる文書が世に知られて明らかになったことで、それ以前には、一二丁目の町列が低い理由は謎であった。1954年刊『仙台市史』第1巻198頁には、一二丁目の住民は伊達氏に従って移転したのでなく、新規の大商人がまとめられたものかという推測があり、1971年の『修正増補仙台地名考』131頁もこれに従っている。

出典

  1. ^ a b c 町名別年齢(各歳)別住民基本台帳人口”. 仙台市. 2022年3月15日閲覧。
  2. ^ a b 宮城県 仙台市青葉区 大町の郵便番号”. 日本郵政. 2022年3月15日閲覧。
  3. ^ 市外局番の一覧”. 総務省. 2017年5月29日閲覧。
  4. ^ 仙台市市民局戸籍住民課: “住居表示実施地区 町名一覧表(区毎・五十音順)”. 仙台市. 2022年3月14日閲覧。
  5. ^ 販売額は2001年4月から翌年3月で、『仙台市の商業(卸売・小売業)平成14年商業統計調査結果』による。面積は菊地勝之助『修正増補仙台地名考』による。
  6. ^ 1954年刊『仙台市史』第1巻50頁。
  7. ^ 1954年刊『仙台市史』第1巻61頁、第3巻388-389頁。
  8. ^ 1954年刊『仙台市史』第1巻60-63頁。
  9. ^ a b 2001年刊『仙台市史』通史編2(近世1)98頁。
  10. ^ 1954年刊『仙台市史』第1巻124頁。
  11. ^ a b 明石治郎「米川家文書」116頁。
  12. ^ 2001年刊『仙台市史』通史編2(近世1)98-99頁。
  13. ^ 2003年刊『仙台市史』通史編3(近世2)220-221頁。
  14. ^ 2003年刊『仙台市史』通史編3(近世2)219頁。
  15. ^ 明石治郎「米川家文書」112頁、119頁。
  16. ^ 1954年刊『仙台市史』第1巻227-230頁、241頁。2003年刊『仙台市史』通史編3(近世2)248-249頁。史料は1953年刊『仙台市史』第9巻5-6頁に資料番号530で「伊藤弥兵衛他一名連署状写」として収録。
  17. ^ 2003年刊『仙台市史』通史編3(近世2)243-244頁。「伊達政宗黒印状写」は1953年刊『仙台市史』第9巻3頁に資料番号526で収録。
  18. ^ 1953年刊『仙台市史』第9巻1-2頁、資料番号523に「関東棚売商人共願状」として収録。
  19. ^ 1954年刊『仙台市史』第1巻232-233頁。
  20. ^ 1954年刊『仙台市史』第1巻231-232頁、2001年刊『仙台市史』通史編3(近世1)99頁。
  21. ^ 2003年刊『仙台市史』通史編3(近世2)249-250頁。史料は1953年刊『仙台市史』第9巻6-9頁に資料番号531で「山崎平左衛門他一名連署申渡状写」として収録。
  22. ^ 1954年刊『仙台市史』第1巻250頁。
  23. ^ 1954年刊『仙台市史』第1巻、252-253頁。
  24. ^ 2003年刊『仙台市史』通史編3(近世2)252-253頁、2004年刊『仙台市史』通史編4(近世3)238頁。
  25. ^ 2004年刊『仙台市史』通史編4(近世3)224頁。
  26. ^ 『あきんどの町』39頁。
  27. ^ 1954年刊『仙台市史』第1巻202-205頁。
  28. ^ 2003年刊『仙台市史』通史編3(近世2)176-178頁、182頁。
  29. ^ 1954年刊『仙台市史』第1巻252頁。
  30. ^ 1955年刊『仙台市史』第2巻(本篇2)20頁。2008年刊『仙台市史』通史編6(近代1)58頁。
  31. ^ 2008年刊『仙台市史』通史編6(近代1)60-61頁。
  32. ^ 2008年刊『仙台市史』通史編6(近代1)64頁。
  33. ^ 2008年刊『仙台市史』通史編6(近代1)66頁。
  34. ^ 1954年刊『仙台市史』第1巻(本篇1)489-491頁、2004年刊『仙台市史』通史編4(近世3)243頁。
  35. ^ 渡辺信夫「明治初年における仙台の地価史料について」38-39頁。
  36. ^ 『あきんどの町』80-81頁。
  37. ^ 『あきんどの町』88-89頁。
  38. ^ 『あきんどの町』84-85頁。
  39. ^ 『あきんどの町』86頁。
  40. ^ 『あきんどの町』92頁。
  41. ^ 『あきんどの町』144-145頁、192頁。バス路線の詳しい変遷は、戦災による資料の焼失でたどれないようである。
  42. ^ 近江恵美子『仙台七夕 伝統と未来』42-43頁。
  43. ^ 近江恵美子『仙台七夕 伝統と未来』。
  44. ^ 『あきんどの町』99-101頁。
  45. ^ 『あきんどの町』118頁、123-124頁。
  46. ^ 『あきんどの町』90頁。
  47. ^ 菊地勝之助『修正増補仙台地名考』277-279頁。
  48. ^ 菊地勝之助『修正増補仙台地名考』294頁。
  49. ^ 『町名別世帯数及び人口 (住民基本台帳による)平成18年10月1日現在』。
  50. ^ 『仙台市の商業(卸売・小売業)平成14年商業統計調査結果』。
  51. ^ 「暴力団排除条例」の一部改正案の概要”. 宮城県警察 (2023年). 2024年2月1日閲覧。


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