大倉山ジャンプ競技場
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/06/16 16:18 UTC 版)
概要
1923年に三角山に建設された国内初の固定スキージャンプ台「シルバーシャンツェ」を皮切りに、以後三角山では4年間で3基のジャンプ台が建設され、ジャンプ競技の中心地として用いられたが、三角山のジャンプ台は30m級にとどまっており、世界の潮流から遅れた状況にあった[4]。
1928年に秩父宮雍仁親王が来道した際に、将来の冬季五輪開催を見据え、札幌に国際級の大型ジャンプ台を造る必要性を大野精七らに訴え[5][6]、大倉喜七郎が私財を投じて建設計画を進めることとなった[4]。1929年にはノルウェーからジャンプ台造りの第一人者であるオラフ・ヘルセット中尉らが来札し、当時は無名の山に60m級のジャンプ台を造ることを決めた[6]。
1931年に大倉土木(現・大成建設)が4カ月間をかけ建設し、10月にジャンプ台は完成した[4]。建設費を賄い札幌市に寄贈した大倉喜七郎の厚意に報いて「大倉シャンツェ」と命名した(「シャンツェ」はドイツ語で「ジャンプ台」という意味)[7][8][6]。なお、無名の山に「大倉山」と名づけられると[9]、「大倉山シャンツェ」と呼ばれるようになった。
1957年、雪印乳業が当時の80m級ジャンプ台の北側に隣接して60m級の台(P点60m、K点69m)を設置し、札幌市に寄贈した。「雪印シャンツェ」と呼ばれ、雪印杯全日本ジャンプ大会が1958年から1969年まで開催されたほか、国民体育大会も開催された。
その後、1972年札幌オリンピックの会場として大改造され、「大倉山ジャンプ競技場」となった。
サマージャンプやナイタージャンプが可能な設備を整えており、国内大会や国際大会を数多く開催している。ジャンプ台とその周辺は観光地になっており、標高307mの展望ラウンジからは札幌の市街地や石狩平野、石狩湾を一望することができるほか、ジャンプ台の下には札幌オリンピックミュージアム、大倉山クリスタルハウスがある。公式キャラクターとしてエゾモモンガをモデルとした「くらやん」が誕生している[10]。
宮の森ジャンプ競技場に代わってノーマルヒルを設置する計画がある。
- ^ 札幌市ジャンプ競技場条例.
- ^ “指定管理者制度”. 札幌市. 2022年11月11日閲覧。
- ^ “札幌市ジャンプ競技場(大倉山、宮の森)”. 日本オリンピック委員会. 2022年11月11日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r 「時を訪ねて 1931 大倉山ジャンプ競技場 札幌 宮さまの言葉きっかけに」『北海道新聞朝刊日曜Navi』、2019年3月22日。
- ^ 冬のスポーツ, pp. 96–97.
- ^ a b c d e 歴史の散歩道.
- ^ 冬のスポーツ, pp. 51–52.
- ^ 冬のスポーツ, p. 101.
- ^ 札幌地名考, pp. 202–203.
- ^ 『大倉山ジャンプ競技場公式キャラクターをデザインしました。』(プレスリリース)札幌市立大学、2015年6月17日。 オリジナルの2016年11月24日時点におけるアーカイブ 。2016年11月15日閲覧。
- ^ a b “第9回「1972年冬季五輪〈3大競技場〉」”. 北海道建設新聞社 - e-kensin - (2018年12月22日). 2022年2月16日閲覧。
- ^ a b c “会社沿革”. 札幌振興公社. 2022年11月11日閲覧。
- ^ “大倉山ジャンプ競技場、札幌ウィンタースポーツミュージアム” (PDF). 行政視察の受入れに向けた先進施策情報 教育・文化. 北海道. 2016年11月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年11月15日閲覧。
- ^ “大倉山ジャンプ競技場ほかクリーングシステム整備工事”. 工成舎. 2016年11月16日閲覧。
- ^ “冬季五輪の魅力に触れる 大倉山「ミュージアム」内覧会”. 北海道新聞 (2017年2月19日). 2017年2月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年2月17日閲覧。
- ^ “2018サマージャンプ大会日程・入場料・交通アクセス”. 札幌スキー連盟. 2019年3月1日閲覧。[リンク切れ]
- ^ “「大倉山ジャンプ競技場」がリニューアル! 内覧会レポート”. LIVING札幌 (2020年6月8日). 2020年6月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年2月17日閲覧。
- ^ “【スキー・ジャンプ】国内2例目の新計測システムが大倉山でお披露目”. スポーツ報知 (2020年9月13日). 2020年11月2日閲覧。
- ^ “施設ガイド”. 札幌大倉山展望台. 札幌振興公社. 2016年11月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年11月15日閲覧。
- ^ “第52回HBC杯ジャンプ大会男子リザルト” (PDF). 札幌スキー連盟. p. 16 (2010年). 2016年11月15日閲覧。
- ^ 『北海道新聞』、1975年1月14日、11面。
- ^ “第53回HBCカップジャンプ競技会リザルト” (PDF). 札幌スキー連盟. p. 1 (2011年). 2016年11月15日閲覧。
- ^ “女子は伊藤優勝、高梨欠場 伊藤杯ナイター”. スポニチAnnex (スポーツニッポン新聞社). (2016年3月19日) 2016年11月15日閲覧。
- ^ “一般路線バス | 札幌市内”. ジェイ・アール北海道バス. 2020年4月5日閲覧。
固有名詞の分類
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