原木栽培
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/24 07:08 UTC 版)
栽培技術
伐根栽培
枯死した切り株を菌床として直接種菌を接種する方法で、既に雑菌が取り付き変色した切り株は利用しない。長木栽培と同じく山間部での栽培に適し、発生させるキノコが生育する条件を満たした環境であることが必須条件となる。ほとんどの広葉樹が利用でき、栽培可能な菌種も幅広く、キノコ発生の成功率は約60 %程度。条件が良ければナメコなどでは 3〜7年程度の収穫も行える。直径30 cm以上の切り株は長期間の発生が期待できる。「伏せ込み」作業を省くこともできる。
長木栽培
伐採した木を長いまま(但し、余分な枝を切り落とし)利用する方法。伐根栽培と同じく山間部での栽培に適し、発生させるキノコが生育する条件を満たした環境であることが必須条件となる。ほとんどの広葉樹が利用でき、栽培可能な菌種も幅広く、キノコ発生の成功率は60〜70 %程度。春先に接種した場合、早ければ翌年の春、普通は翌年秋にキノコが発生し収穫可能となる。 初期投資額を抑える温室栽培の研究も行われている[16]。
普通原木栽培
長さ 100 cm 程度に切断した原木に種菌を接種する方法。切断する長さと原木の太さは作業性を考え選定する。ナメコ、キクラゲでも利用される。主にシイタケ栽培に用いられる[17]。現在では、子実体の発生条件に対し積極的に関与し収量増を目指す「不時栽培」法が行われ、潅水と排水施設を備えた専用の発生場所で発生させる。
短木栽培
長さ 15〜20 cm程度に切断した原木に種菌を接種する方法。多くの場合、伏せ込みの際に木の9割程度を土に埋める。日除けのため、上には落ち葉や藁を被せたり木陰で栽培する。主にクリタケ、ヒラタケ、ナメコ、エノキタケで利用される。
- 殺菌栽培、
- 菌床栽培のように加熱殺菌した原木に種菌を接種する方法。蒸気で殺菌する方法もあるが、ドラム缶で原木を煮沸する方法もある。害菌に対する抵抗力の弱いマンネンタケ、ヤマブシタケ、マイタケ栽培などで利用される。
- ^ なお、シイタケの「原木栽培」について、日本では「しいたけ品質表示基準」(平成18年6月30日農林水産省告示第908号)第2条によって「クヌギ、コナラ等の原木に種菌を植え付ける栽培方法」と定義されている。
- ^ シイタケ栽培JAよこすか葉山 営農だより
- ^ 日本農林種菌(株)キノコ栽培と種菌:適した原木 鳥取県農林水産部林政課
- ^ 原木しいたけ栽培はじめませんか - 菌興椎茸協同組合
- ^ 数種の針葉樹原木に接種したシイタケ菌菌糸の初期生長 岐阜大学
- ^ シイタケ生産ピンチ 原木が足りない 掲載 2008/04/16日本農業新聞 閲覧 2008/4/21
- ^ 生長期に伐採したミズナラ原木によるシイタケ栽培北海道立林産試験場(pdf)
- ^ シイタケの歴史宮崎県諸塚村
- ^ きのこの栽培方法 Archived 2009年3月10日, at the Wayback Machine. 特許庁
- ^ 『増補・改訂版 栽培きのこ害菌・害虫ハンドブック』1986年2月1日初版発行、1996年3月29日増補改訂版発行。275頁。
- ^ 『増補・改訂版 栽培きのこ害菌・害虫ハンドブック』1986年2月1日初版発行、1996年3月29日増補改訂版発行。277頁。
- ^ 『るりぼし』第25号、2001年9月17日発行、25-29頁、小倉健夫「椎茸好きのアザミウマ 知っていますか?」(水戸昆虫研究会)
- ^ 『増補・改訂版 栽培きのこ害菌・害虫ハンドブック』1986年2月1日初版発行、1996年3月29日増補改訂版発行。278頁。
- ^ 『増補・改訂版 栽培きのこ害菌・害虫ハンドブック』1986年2月1日初版発行、1996年3月29日増補改訂版発行。277頁。
- ^ ほだ木と害菌 菌寄生菌類 鳥取県 菌興椎茸協同組合
- ^ 温室ハウスを利用したナラタケ属きのこの原木栽培試験北海道立林産試験場
- ^ 原木しいたけのつくり方 静岡県産業部 農林業局 林業振興室
原木栽培と同じ種類の言葉
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