加瀬さんシリーズ
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アニメ
2017年から、本シリーズを原作としたアニメがリリースされている。いずれの作品も佐藤卓哉が監督を務め、キャラクターデザインを坂井久太が担当している。また、アニメーション制作はZEXCSが担当している。
本シリーズのアニメ化企画は、佐藤の提案に端を発する[8]。佐藤曰く、2016年の春に本シリーズにハマり、その後、坂井にアニメ化の話を持ちかけたところ坂井もこれに応じたため、本格的にアニメ化に向けて動き出したという[17]。そして2017年5月にYouTubeでアニメーションクリップが公開され、2018年6月にはOVAが劇場公開されている。
アニメーションクリップ
2017年5月7日、アニメーションクリップ「キミノヒカリ」がYouTubeで公開された。ここで言う「アニメーションクリップ」とは楽曲に乗せてアニメーション映像を流すビデオクリップのことであり[17]、この動画では奥華子の「君の笑顔 (album ver.)」がイメージソングとして使用されている[8]。動画の長さは6分40秒で[18]、動画の公開時点で刊行されていたコミックス3巻分の要所が描かれた映像となっている[19][注釈 2]。
佐藤は、アニメーションクリップについて「光り輝くような場面だけを追体験するような」映像を目指した、と発言している[12]。制作に当たっては「いかに“光だけ”を描くか」というテーマがあったといい、光の描写についても通常のアニメーションとは異なる表現が試みられている[19]。具体的には、光を透過光のような特殊効果で表現するのではなく、光を作画し、それを「エフェクトのように動かす」手法が採られている[20]。
スタッフ(アニメーションクリップ)
映像外部リンク | |
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【あさがおと加瀬さん。】 アニメーションクリップ「キミノヒカリ」【Kase-san and Morning Glories】 - YouTube - ポニーキャニオンのアニメ関連動画チャンネルにアップロードされたビデオクリップ |
- 原作 - 高嶋ひろみ
- 監督・絵コンテ・演出 - 佐藤卓哉
- キャラクターデザイン・作画監督 - 坂井久太
- プロップ設定 - 郷津春奈
- 色彩設計 - 岩井田洋
- 美術監督 - 平間由香
- 美術設定 - 松本浩樹
- 撮影監督 - 口羽毅
- 編集 - 後藤正浩
- プロデューサー - 寺田悠輔
- 制作プロデューサー - 新宅潔
- アニメーション制作 - ZEXCS
(以上、ブックレット 2017, pp. 34–35より抜粋)
OVA
原作 | 高嶋ひろみ |
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監督・脚本・音響監督 | 佐藤卓哉 |
キャラクターデザイン 総作画監督 |
坂井久太 |
プロップデザイン | 濱田悠示、郷津春奈 |
色彩設計 | 岩井田洋 |
美術監督 | 橋本和幸 |
コンセプトボード | 平間由香、池田祐二 |
美術設定 | 緒川マミオ |
撮影監督 | 口羽毅 |
編集 | 後藤正浩 |
音楽 | rionos |
音楽プロデューサー | 中村伸一 |
プロデューサー | 寺田悠輔、熊谷文明 相島豪太、工藤雅世 |
アニメーションプロデューサー | 新宅潔 |
アニメーション制作 | ZEXCS |
音楽制作・配給 | ポニーキャニオン |
製作 | 「あさがおと加瀬さん。」製作委員会 |
2018年6月9日[22]、本シリーズを原作とするOVA『あさがおと加瀬さん。』が劇場公開された。上映時間は58分で[23]、結衣と友香が交際を開始した後の話が描かれている[20]。興行収入は5500万円[22]。
製作経緯
本シリーズのアニメ化企画が動き出した当初、プロデューサーの寺田悠輔は、本シリーズには「一気に見せられるフォーマットが合っている」と考え、佐藤に劇場OVA化を目指すことを提案している[12]。佐藤もその提案に賛成するが[12]、他方で佐藤には「できるだけ丁寧に作りたい」という思いもあった[24]。そのため、短い尺で純度の高い映像を作ることが検討され[24]、最終的に本シリーズ初のアニメ化は「アニメーションクリップ」というフォーマットに落ち着いている。
アニメーションクリップは映像の完成度の高さが話題となり[3]、YouTubeで公開されてから1週間で再生回数が10万回を超えた[8]。こうした反響を受けて、本シリーズの劇場OVA化は決定された[25]。
製作
美術・映像
OVAのキャラクターデザインはアニメーションクリップに引き続き坂井が担当しており[26]、スタジオ・ハードデラックスの小俣元から「可愛らしく魅力的」と評されている[8]。
佐藤によると、アニメーションクリップ制作当初のデザイン案では友香はよりボーイッシュな感じだったといい、そのため、可愛らしさを増させるよう坂井に依頼したという[19]。そしてOVAでもその方向性は維持されている[20]。
絵作りについても、アニメーションクリップの雰囲気を維持するよう意識して作業が行われている[23]。ただし、OVAではアニメーションクリップと違って様々な感情が描かれており、アニメーションクリップのときにはあまり用いられなかった「影の表現」もOVAでは用いられている[27]。
劇伴
OVAの劇伴はrionosが手掛けており、ピアノをメインに据えた楽曲となっている[28]。
ピアノがメインに据えられたのには、佐藤の意向が働いている。佐藤は、本シリーズについて「日常」を描いた作品だと語っており[23]、OVAの劇伴制作に当たっては「日常シーンで気持ちよく流れる音楽」とは何か考えたという[29]。その結果、学校の音楽室から流れてくるピアノの旋律にたどり着き、rionosにその意向を伝えたという[29]。
なお、劇伴の制作に使われたピアノはアップライトピアノである。rionosによると、アップライトピアノを使用したのは「温かい丸い音」を出す狙いがあったという[29]。また、本シリーズの「ピュアな世界観」を表現するため、チェレスタやハープといった楽器も使われている[29]。
キャスティング・演技
OVAの出演者のうち、結衣役と友香役についてはオーディションが実施された。オーディションはテープオーディションとスタジオオーディションの2段階に分けて実施され、友香役はテープオーディションの段階で佐倉綾音に決まった[20]。一方、結衣役はテープオーディションでは決まらず、スタジオオーディションを経て高橋未奈美に決まった[20]。
佐藤は、友香役にはカッコよさと可愛さの両方を表現できる人が良いと考えていたといい[23]、佐倉の芝居がイメージに一番近かったと語っている[20]。一方、結衣役については、オーディション参加者の間でキャラクターに対する解釈が異なっていたため、最終的には佐倉が演じる友香とのバランスを考慮して決定するという方針が採られた[23]。高橋はテープオーディションの段階で結衣のイメージに近いという評価を受けていたが、結衣役に決まった後、大袈裟な演技をしないよう意識したことで結衣が「より自分の中に入ってきた」感覚があったという[30]。
また、三河役の木戸衣吹も結衣役と友香役のオーディションを受けており[30]、結衣役ではスタジオオーディションまで残っていた[23]。しかし、スタジオオーディションに参加した際、結衣に加えて三河も演じたところ、彼女の演技が三河のイメージと合致するものだったのでそのまま三河役として起用されたという[23]。
主題歌
OVAの主題歌には、I WiSHの楽曲「明日への扉」をカバーしたものが使われている[31]。歌唱は、結衣役の高橋と友香役の佐倉の2人が担当している[20]。
主題歌については、はじめにキャラクターソングを使うという案が出され、そこからメインスタッフが協議した結果、「普通の女子高生がカラオケで実際に歌っていそうな恋愛J-POP」をカバーする、という方向性になったという[20]。その後、寺田から「明日への扉」を使うという提案があり[23]、その案が採用され、主題歌に決まった。佐藤は「明日への扉」を主題歌に選んだ理由として、誰も彼も共感できる「普遍性」を挙げている[20]。
BD / DVD
OVAを収録した映像ソフトは計3種リリースされている。はじめに、2018年6月9日に、OVAを上映する劇場限定でBDが発売された[32]。その後、同年11月21日にBDとDVDが一般販売されている[32]。
関連CD
2018年6月6日、主題歌を収録したシングルCD・カバーソングを収録したアルバムCD・サウンドトラックが同時にリリースされた。このうち、シングルCDとアルバムCDにはCDドラマも収録されている[33]。
注釈
出典
- ^ a b “百合系アンソロ「ひらり、」Vol.2に桑田乃梨子ら執筆”. コミックナタリー. ナターシャ (2010年8月26日). 2017年7月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年9月12日閲覧。
- ^ a b 百合の世界入門 2016, p. 31.
- ^ a b c d e f 北小路夜空「『加瀬さん。』シリーズ 高嶋ひろみインタビュー」『ダ・ヴィンチ』第25巻第3号、KADOKAWA、2018年3月6日、196-197頁。
- ^ 高嶋ひろみ (2011年4月15日). “今月のおしごと”. Takashimaya. 2018年5月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年7月25日閲覧。
- ^ “新書館の百合アンソロ「ひらり、」休刊”. コミックナタリー. ナターシャ (2014年7月30日). 2017年5月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年7月25日閲覧。
- ^ a b パンフレット 2018, p. 24.
- ^ 加山竜司 (2018年1月16日). “『ストリートファイター佐賀』発売へ……!? 【B級ニュース】”. このマンガがすごい!WEB. 宝島社. 2018年7月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年7月25日閲覧。
- ^ a b c d e 「Febri RECOMMEND」『Febri』VOL.49、一迅社、2018年7月1日、67頁。
- ^ パンフレット 2018, p. 30.
- ^ パンフレット 2018, p. 38.
- ^ a b c d e パンフレット 2018, pp. 12–15.
- ^ a b c d ブックレット 2017, pp. 16–25.
- ^ 和智永妙 (2014年8月17日). “【日刊マンガガイド】『おべんとうと加瀬さん。』 高嶋ひろみ”. このマンガがすごい!WEB. 宝島社. 2017年12月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年7月25日閲覧。
- ^ 百合の世界入門 2016, p. 123.
- ^ “JK同士の青春譚「加瀬さん」最新作が7月に、アニメ映像付き特装版も”. コミックナタリー. ナターシャ (2017年5月23日). 2017年7月8日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年7月25日閲覧。
- ^ “JK2人に春はやってくる? 高嶋ひろみの百合シリーズ最新作「さくらと加瀬さん。」”. コミックナタリー. ナターシャ (2018年5月19日). 2018年5月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年7月25日閲覧。
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- ^ パンフレット 2018, pp. 48–49.
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- ^ a b “【インタビュー】『あさがおと加瀬さん。』高橋未奈美・佐倉綾音・木戸衣吹がオーディション・アフレコ時の思い出を語る - 「いちゃいちゃシーンは誰もブースから出て行かなかった」”. 超!アニメディア. 学研プラス (2018年6月8日). 2018年7月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年7月25日閲覧。
- ^ “OVA「加瀬さん。」ビジュアル公開、主題歌はI WiSH「明日への扉」のカバー”. コミックナタリー. ナターシャ (2018年3月14日). 2018年6月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年7月25日閲覧。
- ^ a b “Blu-ray”. 「あさがおと加瀬さん。」アニメ公式サイト. 2018年11月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年11月25日閲覧。
- ^ “「あさがおと加瀬さん。」関連CD3枚が同時発売、2人の「小さな恋のうた」聴ける”. コミックナタリー. ナターシャ (2018年4月17日). 2018年7月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年7月25日閲覧。
- ^ “あさがおと加瀬さん。”. 2018年7月25日閲覧。
- ^ “おべんとうと加瀬さん。”. 2018年7月25日閲覧。
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- ^ “エプロンと加瀬さん。”. 2018年7月25日閲覧。
- ^ “さくらと加瀬さん。”. 2018年7月25日閲覧。
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- ^ “山田と加瀬さん。 (2)”. 2020年11月25日閲覧。
- ^ “山田と加瀬さん。 (3)”. 2022年6月27日閲覧。
- ^ “山田と加瀬さん。 (4)”. 2024年4月27日閲覧。
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