加瀬さんシリーズ 制作背景

加瀬さんシリーズ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/27 02:15 UTC 版)

制作背景

本シリーズは、2009年、新書館の編集者が高嶋に『ひらり、』に載せる漫画を描くよう依頼したことがきっかけで始まった[11]。当時の高嶋は百合というジャンルには明るくなく、百合漫画も描いたことがなかった[3]。その高嶋に執筆の依頼をした理由について、依頼をした編集者は、高嶋の漫画『未満れんあい』における恋愛描写の巧さを評価したと発言しており[11]、依頼に際しても「女の子2人の関係性をテーマにしたお話」という条件以外は全て高嶋に任せる方針が採られていた[12]

一方、依頼を受けた高嶋は「男の子じゃないのに、ドキッとしてしまうかっこいい先輩」を描きたいという思いから本シリーズを生み出した[3]。一方、結衣には特定のモデルはおらず、友香と対になるキャラクターとして創造された[11]

作風

本シリーズは女の子同士の恋愛をテーマにしており、恋や青春における「きらきらしたピュアさ」が特徴である[3]。ライターの和智永妙は、本シリーズの魅力について「女の子同士だからこそできる恋やドキドキ感がとても初々しく、キュートな絵柄で描かれている」点を挙げている[13]。そのほか、電子書籍ストア「BookLive!」の書店員であり、同サイトにて書評を紹介するサイト「ぶくまる」の編集長を務めるおにぎりは、「カッコいい女子」が登場する百合作品のベスト1に「加瀬さんシリーズ」を挙げ、本作では「百合初心者にもオススメのボーイッシュなカッコよさ」が表現されているとした[14]

なお、本シリーズの初出作品が掲載された『ひらり、』は「ピュア百合」をテーマとしていた[11]。高嶋は「学生時代の『好きでたまらない』『歯止めがきかない』感じ」がピュア百合だという考えを披露しており、本シリーズではそれを表現しようとしている、と語っている[11]

書誌情報

なお、『エプロンと加瀬さん。』と『さくらと加瀬さん。』については、通常版に加えて特装版がリリースされている。『エプロンと加瀬さん。』の特装版にはBDやブックレットが同梱されており、このうちBDにはアニメーションクリップ「キミノヒカリ」とそのライカリールが収録されている[15]。『さくらと加瀬さん。』の特装版にはドラマCDが同梱されている[16]


注釈

  1. ^ 高校から帰宅するときも友香と一緒だったため、その光景を目撃した三河から「友香の元恋人」と勘違いされていたが、実際には友香との交際経験はない。
  2. ^ 「キミノヒカリ」がYouTubeで公開された時点で刊行されていたコミックスは、『あさがおと加瀬さん。』『おべんとうと加瀬さん。』『ショートケーキと加瀬さん。』の計3巻である。

出典

  1. ^ a b 百合系アンソロ「ひらり、」Vol.2に桑田乃梨子ら執筆”. コミックナタリー. ナターシャ (2010年8月26日). 2017年7月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年9月12日閲覧。
  2. ^ a b 百合の世界入門 2016, p. 31.
  3. ^ a b c d e f 北小路夜空「『加瀬さん。』シリーズ 高嶋ひろみインタビュー」『ダ・ヴィンチ』第25巻第3号、KADOKAWA、2018年3月6日、196-197頁。 
  4. ^ 高嶋ひろみ (2011年4月15日). “今月のおしごと”. Takashimaya. 2018年5月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年7月25日閲覧。
  5. ^ 新書館の百合アンソロ「ひらり、」休刊”. コミックナタリー. ナターシャ (2014年7月30日). 2017年5月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年7月25日閲覧。
  6. ^ a b パンフレット 2018, p. 24.
  7. ^ 加山竜司 (2018年1月16日). “『ストリートファイター佐賀』発売へ……!? 【B級ニュース】”. このマンガがすごい!WEB. 宝島社. 2018年7月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年7月25日閲覧。
  8. ^ a b c d e 「Febri RECOMMEND」『Febri』VOL.49、一迅社、2018年7月1日、67頁。 
  9. ^ パンフレット 2018, p. 30.
  10. ^ パンフレット 2018, p. 38.
  11. ^ a b c d e パンフレット 2018, pp. 12–15.
  12. ^ a b c d ブックレット 2017, pp. 16–25.
  13. ^ 和智永妙 (2014年8月17日). “【日刊マンガガイド】『おべんとうと加瀬さん。』 高嶋ひろみ”. このマンガがすごい!WEB. 宝島社. 2017年12月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年7月25日閲覧。
  14. ^ 百合の世界入門 2016, p. 123.
  15. ^ JK同士の青春譚「加瀬さん」最新作が7月に、アニメ映像付き特装版も”. コミックナタリー. ナターシャ (2017年5月23日). 2017年7月8日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年7月25日閲覧。
  16. ^ JK2人に春はやってくる? 高嶋ひろみの百合シリーズ最新作「さくらと加瀬さん。」”. コミックナタリー. ナターシャ (2018年5月19日). 2018年5月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年7月25日閲覧。
  17. ^ a b 西村萌. “女子高生2人の青春劇、“光だけ”詰め込んで映像化”. コミックナタリー. ナターシャ. p. 1. 2018年6月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年7月25日閲覧。
  18. ^ 「あさがおと加瀬さん。」アニメーション映像解禁! JK同士の青春がさわやかに”. コミックナタリー. ナターシャ (2017年5月8日). 2017年10月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年7月25日閲覧。
  19. ^ a b c 西村萌. “女子高生2人の青春劇、“光だけ”詰め込んで映像化”. コミックナタリー. ナターシャ. p. 2. 2018年6月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年7月25日閲覧。
  20. ^ a b c d e f g h i パンフレット 2018, pp. 4–9.
  21. ^ パンフレット 2018, pp. 48–49.
  22. ^ a b 「各社2018年の動向を見る」『キネマ旬報』No.1805、キネマ旬報社、2019年3月15日、63頁。 
  23. ^ a b c d e f g h 【インタビュー】「『あさがおと加瀬さん。』は青春作品」 – 佐藤卓哉監督が伝えたい想い”. 超!アニメディア. 学研プラス (2018年6月7日). 2018年7月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年11月24日閲覧。
  24. ^ a b 西村萌. “女子高生2人の青春劇、“光だけ”詰め込んで映像化”. コミックナタリー. ナターシャ. p. 3. 2018年7月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年7月25日閲覧。
  25. ^ 増田桃子. “ただまっすぐに恋してる、女子高生2人の青春譚”. コミックナタリー. ナターシャ. p. 1. 2018年7月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年7月25日閲覧。
  26. ^ 「あさがおと加瀬さん。」山田は高橋未奈美、加瀬さん役に佐倉綾音”. コミックナタリー. ナターシャ (2017年12月7日). 2018年6月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年7月25日閲覧。
  27. ^ 「私とずっと一緒に」『月刊ニュータイプ』第34巻第7号、KADOKAWA、2018年6月10日、46-49頁。 
  28. ^ 『「フラグタイム」公式パンフレット』2019年、14-15頁。 
  29. ^ a b c d パンフレット 2018, pp. 18–21.
  30. ^ a b 【インタビュー】『あさがおと加瀬さん。』高橋未奈美・佐倉綾音・木戸衣吹がオーディション・アフレコ時の思い出を語る - 「いちゃいちゃシーンは誰もブースから出て行かなかった」”. 超!アニメディア. 学研プラス (2018年6月8日). 2018年7月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年7月25日閲覧。
  31. ^ OVA「加瀬さん。」ビジュアル公開、主題歌はI WiSH「明日への扉」のカバー”. コミックナタリー. ナターシャ (2018年3月14日). 2018年6月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年7月25日閲覧。
  32. ^ a b Blu-ray”. 「あさがおと加瀬さん。」アニメ公式サイト. 2018年11月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年11月25日閲覧。
  33. ^ 「あさがおと加瀬さん。」関連CD3枚が同時発売、2人の「小さな恋のうた」聴ける”. コミックナタリー. ナターシャ (2018年4月17日). 2018年7月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年7月25日閲覧。
  1. ^ あさがおと加瀬さん。”. 2018年7月25日閲覧。
  2. ^ おべんとうと加瀬さん。”. 2018年7月25日閲覧。
  3. ^ ショートケーキと加瀬さん。”. 2018年7月25日閲覧。
  4. ^ エプロンと加瀬さん。”. 2018年7月25日閲覧。
  5. ^ さくらと加瀬さん。”. 2018年7月25日閲覧。
  6. ^ 山田と加瀬さん。 (1)”. 2019年11月24日閲覧。
  7. ^ 山田と加瀬さん。 (2)”. 2020年11月25日閲覧。
  8. ^ 山田と加瀬さん。 (3)”. 2022年6月27日閲覧。
  9. ^ 山田と加瀬さん。 (4)”. 2024年4月27日閲覧。


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