内閣府職員変死事件 内閣府職員変死事件の概要

内閣府職員変死事件

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2015/07/31 06:34 UTC 版)

内閣府職員変死事件
場所 福岡県北九州市若松区響町の響新港西1号防波堤付近
日付 2014年1月20日
概要 内閣府の30歳職員とされる男性、遺体で発見
死亡者 1

第七管区海上保安本部(七管)によると、通報により1月18日響灘沖のゴムボート内に倒れている人影を確認。ボートが荒波で転覆したため捜索していたところ、1月20日朝防波堤直下の海中で遺体を発見した。遺体は、大韓民国(韓国)で開かれる経済セミナーに留学先のアメリカ合衆国から出席予定の内閣府職員と判明した、と報じられた[1][2][3]。発見時には韓国製の服を着用、日本円で2万4000円相当のウォン紙幣を所持しており、韓国からの出国記録はなかったという。

この職員は、2010年4月に内閣府に採用されたキャリア経済社会総合研究所に在籍しており、2013年7月から2年間の予定でミネソタ大学大学院に留学・研究していた。2013年末、1月7日から1月12日までの韓国行きを内閣府に事前申請し、承認されていた[4][5]

経緯

2013年
  • 12月9日 - 職員、韓国へ出張申請[6]。なお、留学先のミネソタ大学大学院では1月からの授業登録手続きをしていなかった[7]
2014年
  • 1月3日 - 職員、申請よりも早く韓国に渡航し、午後6時35分頃仁川国際空港に到着。ソウル特別市中区北倉洞のホテルにチェックイン、翌4日にパスポートとかばんを置いたままチェックアウト[8][9]
  • 1月4日 - 職員、ソウル龍山区のゲストハウスに1月11日までの予定でチェックイン。ただし財布やパソコンなどが入ったスーツケースは予約も入れていない別のホテルに預けた[8]。その後、最初のホテルに置いていたパスポートとかばんを取りに行く[9]
  • 1月5日 - 職員、ソウル駅付近のスーパーで作業用手袋を購入[9]
  • 1月6日 - 職員、ソウル東部の城東区聖水洞にあるボート販売会社の事務所を訪れ、ゴムボートと船外機の代金を現金で支払い、翌7日に釜山のホテルへ配達するようメールで依頼。なお、この時には「香港出身のアレックス・ポー」と名乗っていた[8][10]。また、旅券ケースを紛失したとして、午後4時頃、ホテルの従業員と共にソウル南大門警察署西小門派出所に本名で届出を行う[11][9]
  • 1月7日 - 職員、内閣府に電話連絡。これが最後の連絡となった[12]。なお、この日、職員は友人とされる韓国人男性とソウル市内を観光したとされる[13]
  • 1月8日 - 職員が参加するとしていた江南区のルネッサンス・ソウル・ホテルで2014年アジア太平洋社会科学会議が開会される(1月10日まで開催)。同日、職員は会議に参加せず、ゲストハウスをチェックアウトし、崇礼門付近の別のホテルにチェックイン。午後2時頃にソウル駅付近でコーヒーを飲み、午後6時頃に自転車用品店でバッテリー2つとケーブルを購入。タクシーで釜山に向かい、ホテルでゴムボートを受け取っている[8][9]
  • 1月10日 - ソウルの宿泊先の防犯カメラに職員とみられる男性の姿が捉えられる[8]
  • 1月18日 - 午前9時45分頃、若松区響町の響新港西1号防波堤付近で遊漁中だったプレジャーボートから「ゴムボートが漂流して中に1人倒れているようだ」と118番通報[14]。約30分後、巡視艇がボートの中で倒れている人影を確認。ボートが荒波で転覆したため捜索開始[3]
  • 1月20日 - 朝、防波堤直下の海中で男性の遺体を発見[3]。若松海上保安部、海中から男性の遺体を引き上げたと発表[14]。2枚の黒色ジャンパーと黒色ズボンを着用、外傷はなかった[15]。ジャンパーのポケットには本人名義のクレジットカードとウォン紙幣の入ったポーチが入っていた[16]
  • 2月3日 - 死因は低体温症水死とみられ[17]、死後1〜2週間経過している(死亡日は1月8日〜15日の間)と七管が発表[8][6]
  • 2月6日
  • 2月14日 - 韓国警察、職員の韓国国内での足取りの調査結果を日本側に通達[9]
  • 9月2日 - 第七管区海上保安本部により、「事件性なし」として捜査の終結が発表された。発表によれば、職員は1月8日、個人的な理由(プライバシーに関わるとして非公開)によりゴムボートで日本国内の特定の場所(同様に非公開)に向かう途中、氷点下の気温の中でボート上で意識を失って倒れ、海水を飲み込んで溺死したとされる[20][21][22]。週刊誌などでは当該職員に愛人の存在が示唆され、日本に居た妻との間で何らかのトラブルを抱えていたという関係者の証言が掲載された。

脚注

座標: 北緯33度57分11.72秒 東経130度46分4.3秒 / 北緯33.9532556度 東経130.767861度 / 33.9532556; 130.767861


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  1. ^ “内閣府職員、会議で米国から韓国入りか 遺体に外傷なし”. MSN産経ニュース. (2014年2月1日). http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/140201/crm14020122220015-n1.htm 2014年2月3日閲覧。 [リンク切れ]
  2. ^ “ゴムボートで漂流…遺体は内閣府の30歳職員”. 読売新聞. (2014年2月1日). http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20140201-OYT1T00733.htm 2014年2月3日閲覧。 [リンク切れ]
  3. ^ a b c “内閣府職員が変死、ゴムボートで漂流 韓国で消息絶つ”. 朝日新聞. (2014年2月1日). http://www.asahi.com/articles/ASG106G1TG10TIPE02J.html 2014年2月3日閲覧。 
  4. ^ “内閣府職員変死、韓国行きは事前申請済み 「捜査中」と菅長官”. MSN産経ニュース. (2014年2月3日). http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140203/plc14020312400009-n1.htm 2014年2月3日閲覧。 [リンク切れ]
  5. ^ “内閣府職員:韓国に先月渡航、出国記録なし…遺体発見”. 毎日新聞. (2014年2月2日). http://mainichi.jp/select/news/20140202k0000m040098000c.html 2014年2月3日閲覧。 [リンク切れ]
  6. ^ a b “内閣府職員変死:不可解な行動の痕跡…謎深まるばかり”. 毎日新聞. (2014年2月14日). http://mainichi.jp/select/news/20140215k0000m040075000c.html [リンク切れ]
  7. ^ “内閣府職員遺体 職員、留学先のアメリカの大学で授業登録せず”. FNNニュース. (2014年2月5日). http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00262483.html [リンク切れ]
  8. ^ a b c d e f “漂流の内閣府職員、変死前に謎の韓国行”. 読売新聞. (2014年2月8日). http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20140208-OYT1T00267.htm?from=ylist [リンク切れ]
  9. ^ a b c d e f “内閣府職員変死:韓国警察、スパイ疑惑を否定”. 朝鮮日報日本語版. (2014年2月15日). http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2014/02/15/2014021500916.html [リンク切れ]
  10. ^ ““アレックス”と名乗りボート購入 内閣府職員死亡”. テレ朝news. (2014年2月4日). http://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000020832.html [リンク切れ]
  11. ^ “変死した日本の内閣府職員、私的事情で密航試みた?”. 朝鮮日報日本語版. (2014年2月7日). http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2014/02/07/2014020700578.html [リンク切れ]
  12. ^ “内閣府職員死亡で情報収集=自民”. 時事通信. (2014年2月6日). http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2014020600814 [リンク切れ]
  13. ^ “友人に留学生活の悩み話す 遺体で発見の内閣府職員”. テレ朝news. (2014年2月6日). http://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000020956.html [リンク切れ]
  14. ^ a b 水難事故:ボート転覆事故、男性遺体を発見−−若松海保/福岡(毎日新聞 2014年1月21日)
  15. ^ “変死体:内閣府の職員、ボートで漂流か 北九州沖”. 毎日新聞. (2014年2月1日). http://mainichi.jp/select/news/20140201k0000e040264000c.html 2014年2月6日閲覧。 [リンク切れ]
  16. ^ “死因は溺死か低体温症=遺体の内閣府職員-北九州”. 時事通信. (2014年2月3日). http://www.jiji.com/jc/zc?k=201402/2014020300746 [リンク切れ]
  17. ^ “内閣府職員変死:死因は低体温症か水死 韓国での行動調査”. 毎日新聞. (2014年2月4日). http://mainichi.jp/select/news/m20140204k0000m040059000c.html 2014年2月6日閲覧。 [リンク切れ]
  18. ^ “内閣府職員変死:韓国、米国に捜査協力要請”. 毎日新聞. (2014年2月7日). http://mainichi.jp/select/news/20140208k0000m040043000c.html [リンク切れ]
  19. ^ “自民党、内閣府職員変死で調査チーム立ち上げ”. 朝日新聞. (2014年2月6日). http://www.asahi.com/articles/ASG266H8BG26UTFK011.html 
  20. ^ “韓国からボート、内閣府職員溺死「事件性なし」”. 読売新聞. (2014年9月2日). http://www.yomiuri.co.jp/national/20140902-OYT1T50136.html [リンク切れ]
  21. ^ “内閣府職員死亡は「沖合で遭難」 事件性なし”. 朝日新聞. (2014年9月2日). http://www.asahi.com/articles/ASG9262DCG92TIPE021.html 
  22. ^ “内閣府男性職員:第7海保「ボートで遭難、事件性なし」”. 毎日新聞. (2014年9月2日). http://mainichi.jp/select/news/20140903k0000m040072000c.html [リンク切れ]


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