付値
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/19 03:10 UTC 版)
近似定理
どのふたつも互いに同値ではない、体 K の非自明な乗法付値 |•|1, ... , |•|n[11] に対し、K の任意の元 a1, ... , an と正数 ε1, ... , εn に対して、K の元 b が存在して
が全ての i に対して成立する。これを乗法付値に対する近似定理という。
上記の乗法付値の組を相異なる素数 p からなる p-進付値とすれば、この定理は、中国剰余定理を表している。
独立性定理
どのふたつも互いに同値ではない、体 K の非自明な乗法賦値 |•|1, ... , |•|n にたいし、実数 c1, ... ,cn が存在して、K の 0 でない任意の元 a に対し
が成立するならば、c1 = … = cn = 0 である。これを乗法付値に対する独立性定理という。
積公式
V を体 K の自明な付値以外の互いに同値ではない乗法付値からなる集合とする。上述の独立性定理により、V が有限集合であれば、
となる K の元 a が必ず存在する。そこで、V を無限集合とし、K の元 a ごとに、積をとる乗法付値を V からうまく選ぶことにすれば
が 0 でない全ての元 a に対して成り立つ様にできる可能性がある。もし、この様なことができる場合、K と V に対して、積公式が成り立つという。
例えば K を有理数体とし、V を全ての素数に対する p-進付値と、絶対値からなる集合とすれば、積公式が成り立つ。
- ^ 一般に 1 を含む任意の環 R の加法付値に対して、Rv, が定義され、それぞれ R の部分環、Rv のイデアルとなるが、R が体以外の場合、一般には付値環の持つ多くの性質を有しないので、付値環を体上の加法付値の下で定義する。
- ^ 一般に、順序群 G に対して、この様な性質を満たす部分群を孤立部分群という
- ^ この n は加法付値の階数に等しい。
- ^ 文献によっては、値群が Z の部分群となるとき離散付値という場合がある。
- ^ 離散付値ではない加法付値に対する付値環は、ネーター環にはならない。
- ^ 乗法付値のことを単に付値という場合がある。また、加法付値のことを付値、乗法付値のことを絶対値と言う場合もある。
- ^ このことは乗法付値の条件3 と同値である。
- ^ アルキメデス付値 |•| および r ≥ 0 に対して、Rr = {α ∈ K | |α| ≤ r} とおくと、Rr が環になるのは、Rr = {0} の場合に限る。
- ^ 単に「付値」といった場合、加法付値か乗法付値かは問わないものとする。
- ^ しかしながら、C(t) にはアルキメデス付値が存在する。
- ^ 添字の 1, ... , n は単に区別のためのものであり、p-進付値を指しているわけではない。後述の独立性定理、積公式も同じ。
付値と同じ種類の言葉
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