ロビンソン・クルーソー 正式なタイトル

ロビンソン・クルーソー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/30 03:19 UTC 版)

正式なタイトル

初版のタイトルは、正式には「自分以外の全員が犠牲になった難破で岸辺に投げ出され、アメリカの浜辺、オルーノクという大河の河口近くの無人島で28年もたった一人で暮らし、最後には奇跡的に海賊船に助けられたヨーク出身の船乗りロビンソン・クルーソーの生涯と不思議で驚きに満ちた冒険についての記述」(The Life and Strange Surprizing Adventures of Robinson Crusoe, of York, Mariner:Who lived Eight and Twenty Years, all alone in an un‐inhabited Island on the Coast of America, near the Mouth of the Great River of Oroonoque;Having been cast on Shore by Shipwreck, wherein all the Men perished but himself. With An Account how he was at last as strangely deliver’d by Pyrates)である。また「本人自筆による」(Written by Himself)と、あたかも主人公ロビンソン・クルーソー自身が執筆したかのように仮装されている。

受容

この作品は経済学的な視点からも注目を集めてきた。カール・マルクスは『資本論』の中でロビンソンを引き合いに出して論じており、シルビオ・ゲゼルは主要著書『自然的経済秩序』の中で独自のロビンソン・クルーソー物語を紡ぎ出している。また、マックス・ウェーバーは『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』の中でロビンソン物語を取上げ、主人公の中に合理主義的なプロテスタントの倫理観を読み取っている。経済学者大塚久雄も『社会科学の方法』『社会科学における人間』(ともに岩波新書)などで、ロビンソンが簿記をつけ始めることなど新興のイギリス中産階級の勤勉で信仰心に篤い起業家の姿を投影していると力説している。

同時代の文人ジョナサン・スウィフトが代表作『ガリヴァー旅行記』を執筆したのも、本作の影響が大きいと言われている[誰によって?]

同書は単なるキリスト教的な倫理ではなく、キリスト教書籍としても評価されている[5]

日本での最初期の刊行紹介は、幕末に黒田麹廬、横山保三、斎藤了庵によりオランダ語訳書から重訳されている。黒田訳は『漂荒紀事』の題で嘉永3年(1850年)までに訳され写本の形で流布、横山訳は安政4年(1857年)9月に川上冬崖の色刷木版挿絵をつけて『魯敏遜漂行紀略』として自費出版され、斎藤訳は明治5年(1872年)に『魯敏遜全伝』という題で刊行された。子供向けの冒険物語として編集されたダイジェスト版で親しんでいる読者も数多い。

主な日本語訳

増田義郎訳など一部の訳書は、原書にはない独自の章、改行、約物の追加などを行っている。

注釈

  1. ^ 出生名はロビンソン・クロイツネール(Robinson Kreutznaer)。

出典

  1. ^ a b 世界大百科事典内のアレクサンダー・セルカークの言及2017年3月18日閲覧
  2. ^ 増田義郎『図説 海賊』p87、河出書房新社、2006年
  3. ^ 調査記録は髙橋大輔『ロビンソン・クルーソーを探して』新潮社、1999年。新潮文庫、2002年
  4. ^ ロビンソン・クルーソー「実在神話」の真相2017年3月18日閲覧
  5. ^ ケネス・マクビーティ『「ロビンソン・クルーソー」に秘められた十字架』いのちのことば社


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