マグロ 生物濃縮による汚染

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マグロ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/11/14 05:54 UTC 版)

生物濃縮による汚染

食物連鎖の頂点にある生物には様々な物質が生物濃縮により蓄積することは以前から知られており、海洋生物のトップであるクジラやマグロも例外ではない。マグロは小型の魚より汚染物質の濃度が高いことも同様に知られている。問題視されることがある汚染物質は、有機水銀(メチル水銀)、ダイオキシン類放射性物質などである[19]が、通常の食事においてはドコサヘキサエン酸 (DHA) などの不飽和脂肪酸など利が多く忌避する理由はない。

有機水銀

メチル水銀の場合アメリカのアメリカ食品医薬品局 (FDA) は、2003年に妊婦や授乳中の女性および子供のマグロ摂取量制限の勧告を行っている(6オンス=約170 g/週[20])。ニューヨーク市では、2007年、幾つかの寿司料理店において基準値を超す水銀が検出された[21]が、世界で水銀汚染が進んでいるということではなく、健康被害はないものの調査研究を行うこととなっている[22]

それらの騒ぎが発生する前に、厚生労働省による見解が2003年と2005年に示されている。2003年の発表において海外の調査報告が行われ、2005年の発表では妊婦の摂取に関して言及している。そこでは便宜的にメチル水銀を単に水銀と表記している[23]

欧州食品安全機関 (EFSA) は、2014年12月19日『魚介類/水産物中のメチル水銀 (methylmercury) のリスクと比較した魚介類/水産物摂取の便益に関する声明書』を採択し[24]、その声明のなかで「出生前の神経発達の毒性に基づき、メチル水銀のTWIである1.3μg/kg体重/週を設定した。また、幼児、小児及び妊娠可能年齢の女性については、メチル水銀含有量の少ない魚種の摂取を増やすことによって魚食の便益を得ることが望ましい」などとした[24]

放射性物質

主に軟組織に広く取り込まれて分布し、生物濃縮により魚食性の高い魚種(カツオマグロタラスズキなど)での高い濃縮度を示すデータが得られているが、底生生物を主な餌とする魚種(カレイハタハタ甲殻類頭足類貝類)では比較的濃縮度は低い。また大型の魚種ほど、濃縮度が高くなることが示唆されている。若い魚や高水温域に生息する魚ほど、代謝が良く排出量が多くなるため蓄積量は少ないと考えられている。体内に取り込まれる経路は、餌がほとんどであるが、鰓を通じて直接取り込まれる経路もあり、それぞれの経路の比率についてのデータは不足している[25]


注釈

  1. ^ 大プリニウス『博物誌』にも用例がある。この語自体は古典ギリシア語 θύννος欧字転写:thýnnos、仮名転写例:テュンノス)からの不規則な借用。

出典

  1. ^ a b Sepkoski, Jack (2002). “A compendium of fossil marine animal genera”. Bulletins of American Paleontology 364: p.560. オリジナルの2013-02-26時点におけるアーカイブ。. https://archive.is/cYGWq 2010年4月6日閲覧。. 
  2. ^ Wardle, CS and Videler, JJ and Arimoto, T and Franco, JM and He, P (1989). “The muscle twitch and the maximum swimming speed of giant bluefin tuna, Thunnus thynnus L.”. Journal of fish biology 35 (1): 129-137. 
  3. ^ a b 「大間のマグロ3億3360万円 豊洲初セリで史上最高値」朝日新聞デジタル(2019年1月5日)2020年1月19日閲覧
  4. ^ Richard Thomas Lowe (1802-1874, British botanist, ichthyologist, malacologist, and clergyman) or Percy Lowe (1870–1948, English surgeon and ornithologist)
  5. ^ 「マグロ、48時間熟成でうまみ増加 くら寿司と東大院」日本経済新聞ニュースサイト(2019年11月7日)2020年1月19日閲覧
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  13. ^ 読売新聞政治部『検証 国家戦略なき日本』新潮社 ISBN 410136771X 145-146頁
  14. ^ 近畿大学水産研究所 世界初、完全養殖クロマグロ養殖用稚魚を出荷 「近大マグロ」普及、天然資源保全へ大きな一歩”. 近畿大学. 2011年11月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年3月31日閲覧。
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  17. ^ TAFCOの事業(クオリティー)まぐろ養殖”. 大洋エーアンドエフ. 2016年3月5日時点のオリジナル[リンク切れ]よりアーカイブ。2010年10月12日閲覧。
  18. ^ “「近大マグロ」いよいよ世界へ”. ニュースイッチ (日刊工業新聞社). (2017年10月8日). https://newswitch.jp/p/10655 
  19. ^ 川上宏之、天倉吉章、堤智昭、佐々木久美子、池津鮎美、稲崎端恵、久保田恵美、豊田正武「マグロ肉における脂質含有量とダイオキシン類,総水銀およびメチル水銀レベルの関係について」『食品衛生学雑誌』第51巻第5号、日本食品衛生学会、2010年、 258-263頁、 doi:10.3358/shokueishi.51.258NAID 130000454952
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  21. ^ “High Mercury Levels Are Found in Tuna Sushi”. The New York Times. (2008年1月23日). http://www.nytimes.com/2008/01/23/dining/23sushi.html 2008年2月22日閲覧。 
  22. ^ 2008/02/01熊本日日新聞記事「進むマグロの水銀汚染」について”. 国立水俣病総合研究センター. 2012年5月17日時点のオリジナル[リンク切れ]よりアーカイブ。2011年12月11日閲覧。
  23. ^ 厚生労働省の公開文書:2003年6月2005年6月
  24. ^ a b 欧州食品安全機関(EFSA)、水産物中のメチル水銀のリスクと比較した魚介類/水産物摂取の便益に関する声明書を公表 食品安全委員会 2015年(平成27年)1月22日
  25. ^ 笠松不二男「海産生物と放射能 -特に海産魚中の137Cs濃度に影響を与える要因について-」『Radioisotopes』第48巻第4号、日本アイソト-プ協会、1999年4月15日、 266-282頁、 doi:10.3769/radioisotopes.48.266NAID 10002684756
  26. ^ 文部科学省日本食品標準成分表2015年版(七訂)
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  28. ^ USDA Food Composition Databases”. United States Department of Agriculture. 2019年3月31日閲覧。
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  30. ^ 佐々木広治「マグロの照り焼きによるヒスタミン食中毒」『食品衛生学雑誌』1989年 30巻 5号 p.454-455, doi:10.3358/shokueishi.30.454
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  34. ^ 東京都内で発生したクドアが原因と考えられる下痢症について 国立感染症研究所
  35. ^ 生鮮「マグロに広がる寄生虫汚染の実態 全国で食中毒多発、メジマグロは67%が汚染」ビジネスジャーナル 記事:2015.02.12
  36. ^ 食中毒疑い事例で収去された魚からのクドア属粘液胞子虫の検出状況 東京都健康安全研究センター
  37. ^ 川瀬雅雄、吉岡丹、細谷美佳子 ほか「【原著】Kudoa hexapunctata 寄生メジマグロが原因と疑われる有症事例と患者便検査に関する検討」『日本食品微生物学会雑誌』2015年 32巻 1号 p.48-53, doi:10.5803/jsfm.32.48


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