ボルチモア 名称

ボルチモア

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/21 09:16 UTC 版)

名称

第2代ボルティモア男爵のシラス・カルバート

ボルチモアの名前はメリーランド植民地の建設の立役者であるアイルランド貴族院議員の第2代ボルティモア男爵のシラス・カルバートに由来する。爵位の名の由来のなった「ボルティモア」はアイルランドの南部にあるコーク県ボルティモアに由来し、これはアイルランド語で「大きな家の町」を意味する「バイレ・アン・ティー・モーイル(Baile an Tí Mhóir)」が英語風に変わったものである。

歴史

アメリカで最も古い都市の1つであり、1729年に誕生した。南北戦争の舞台にもなり、国歌星条旗もこの地で生まれた。1830年に全米で初めてボルチモア・オハイオ鉄道(B&O)が開通した。魚種の豊富な優れた漁港として知られたが、ペンシルベニア炭田の開発により工業が発展し、後に造船鉄鋼などで財政を潤し、また貿易港として発展し、ピークには人口100万人に迫る勢いを見せた。1904年2月7日10時23分頃、市街地火災が発生し、36時間にわたって延焼、1,500棟以上の家屋が焼失した[1]

治安

1960年代から施設の老朽化と主産業の構造不況によって中心地から人口が流出し、スラム街が発展し、治安の悪化が進んだ。そこで市は30年にもわたる再開発計画を実施、これはウォーターフロント開発の先駆ともいわれている。とりわけインナーハーバーの一新を図り、工業貿易とともに多数のレジャー施設を建設した。インナーハーバーには大型ショッピングセンターや全米屈指のボルチモア国立水族館、海洋博物館などがあり、活況を呈している。一方、肝心の中心地の空洞化は依然として深刻で、治安改善はさほど進んでいない。

2015年には合計344件の殺人事件が記録されており、この数字は最も多かった1993年の記録に次ぐ数字となっている他、2016年から2022年までの6年の間にはそれぞれ318件、342件、309件、348件、335件、338件、335件の殺人事件が発生した。

2019年7月にドナルド・トランプ大統領は、「(ボルチモアは)全米一危険で、どんな人間も住みたがらない」と批判した。これはボルチモアを地盤とするトランプ批判の急先鋒であるイライジャ・カミングス下院議員を罵倒する中の発言であったが、市の黒人の人口比率が50パーセントを超え、犯罪率も全米3位の高さを見せていた背景もあり、人種差別であるとして物議を醸すこととなった[2][3]

2023年2月6日まで、男女2人が共謀罪で訴追された。容疑は変電所を襲撃して送電線網を麻痺させ、ボルチモア市を「完全破壊」する計画を企てていたもの。男はネオナチ団体のリーダーだったと見られている[4]

2023年7月2日、地域住民らが野外パーティーを開いていたところに何者かが銃撃を加え、2人が死亡、28人が負傷した[5]

地理

ボルチモアはアメリカ東海岸チェサピーク湾から遠くないパタプスコ川英語版沿いに位置し、メリーランド州の北部中央部の一部である。

アメリカ合衆国統計局によると、この都市は総面積238.5km2(92.1mi2)である。このうち209.3km2(80.8mi2)が陸地で29.2km2(11.3mi2)が水地域である。総面積の12.240%が水地域となっている。


  1. ^ アメリカ・ボルチモア大火(1904年2月7日)”. Yahoo!天気・災害. 災害カレンダー. 2022年8月9日閲覧。
  2. ^ 反対派選挙区「ネズミだらけ」=トランプ氏、有力黒人議員中傷”. 時事通信 (2019年7月28日). 2019年7月27日閲覧。
  3. ^ 黒人下院委員長を攻撃 米大統領、人種問題再燃”. 日本経済新聞 (2019年7月29日). 2019年10月17日閲覧。
  4. ^ ボルティモアの「完全破壊」計画、変電所襲撃の共謀罪で男女を訴追 米司法省”. CNN (2023年2月7日). 2023年2月6日閲覧。
  5. ^ 野外パーティーで銃撃 2人死亡、28人負傷 米東部”. CNN (2023年7月3日). 2023年7月3日閲覧。
  6. ^ a b 加藤出 (2014年8月12日). “地区連銀候補だったボルティモア 米東海岸の港町に見る栄枯盛衰”. ダイヤモンド社. http://diamond.jp/articles/-/57480 2014年10月4日閲覧。 
  7. ^ American FactFinder, United States Census Bureau, http://factfinder.census.gov 2008年1月31日閲覧。 
  8. ^ https://www.baltimoresun.com/bs-mtblog-2010-04-top_20_moments_in_baltimore_wrestling_history_nos_110-story.html
  9. ^ a b c d e f g h i j k l Sister Cities” (英語). Visit Baltimore. 2011年10月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年2月6日閲覧。
  10. ^ a b c d e f g h i j Sister City Directory” (英語). Sister Cities International. 2012年2月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年2月6日閲覧。
  11. ^ 姉妹都市・友好都市のプロフィール”. 川崎市. 2012年1月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年2月6日閲覧。
    姉妹都市・友好都市のプロフィール”. 川崎市. 2017年9月27日閲覧。






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