ペットボトル 製造方法

ペットボトル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/05/08 16:46 UTC 版)

製造方法

射出成形機で、試験管状のプリフォーム(パリソン)を成形し、プリフォームを延伸ブロー成形機でボトル状に成形する。口部分が白いボトルは、プリフォーム成形後に口部分のみ熱をかけ、PETを結晶化させている。

射出成形機ではカナダのハスキー社や、延伸ブロー成形機ではフランスのシデル社等、日本国内のペットボトル製造でも海外メーカーのシェアが高い。

口部分を結晶化させる理由は、内容物充填時の殺菌時に高温になり、形状が変化しないようにするため。口部分が透明な物は無菌充填用。

プリフォーム成形とブロー成形を同一設備で一連の工程で行う方法を「ホットパリソン方式(1ステージ方式)」、別設備で行う方法を「コールドパリソン方式(2ステージ方式)」という。コールドパリソン方式は、あらかじめプリフォームを製造しておき、ボトルを使用する場所の近くでブロー成形を行う方法で、大量生産に向いている。

製造費用

ペットボトルの製造費用でかなりの割合を占めているのは、PET樹脂自体の費用である。この問題点は、飲料企業共通の課題点でもある。 ただし、PET樹脂の費用のうち原料ナフサが占める割合は1割程度(2006年平均レート)であるので、ペットボトルの製造費用に対して直接的に石油資源が占める割合は少ない。

ペットボトルには容器に加え、蓋、ラベルの製造費用が追加される。蓋は1ピースと2ピースの2種類あり、2ピースは蓋の裏側が青く、こちらの方が製造費用が高い。2ピースの蓋は充填後の加熱殺菌処理等によって生じるペットボトル内の圧力の上昇に対して優れた密閉性を保持する。また、ラベルはコカ・コーラやミネラルウォーターの小型ボトルに採用されている容器の一部分を覆う物より、お茶などに使われているボトル全面を覆う物の方が製造費用が高い。


以上から計算すると、ペットボトルの製造費用は10円 - 30円と推定される。

ペットボトルの製造費用を削減するためには、ボトル自体の重量を軽量化することが最も効果的である。2005年になって大手飲料企業が、PET使用量の多い大容量ボトルの軽量化に取り組み始めた。今後、容量の小さいボトルの軽量化も進むと思われる。

リサイクル

ペットボトルのリサイクルマーク(日本、リサイクル法による)
ペットボトルで作った手作りの色鮮やかな風車パークゴルフ場で風の強さや向きを知るのに使われている。(札幌市

ペットボトルの再利用には、以下のような種類がある。

リユース
生産量は少ないがリユース可能なペットボトルもある。
通常のペットボトルも、家庭で作った飲み物の保存や持ち運び用などの各種容器に使われる。ただし、使い捨てを前提とした容器なので長期間の使用には向かない。
ケミカルリサイクル
高分子モノマーに化学分解し完全に素材の状態に戻す。その後に再重合してペットtoペットのリサイクルを目指すものが代表例である。しかしモノマー化を現実に実施するには、コストや投入エネルギーの課題がある。帝人が2003年にペットボトルからペットボトルを製造する施設を実用化している。しかし、コスト面などの問題で2005年7月に工場の生産を停止した(詳細は#リサイクルの課題参照)。
マテリアルリサイクル
回収した廃ペットボトルを粉砕・洗浄し金属などの異物を取り除いた後、フレークやペレットの状態にする。このPET素材を、卵パックのシートやポリエステル繊維として再製品化する。
メカニカルリサイクル
ケミカルリサイクルのように分子レベルまで分解するのではなく、再縮合重合反応という化学反応で、高分子化合物のまま粘度(IV値)などの物性を回復させる手法。廃ペットボトルを粉砕・洗浄した後、フレークを200℃以上の高温、真空の状態で一定時間処理すると、紫外線や熱によって切断された分子の鎖が再結合し、本来の物性を回復する。[14]
サーマルリサイクル
回収した廃ペットボトルを燃やして熱源として利用する。熱回収発電、RDFやRPFといった廃棄物固形燃料がある。素材の再利用はしないが、火力発電などで消費される原油を間接的に減少させる効果がある。
国境を越えたリサイクル
ペットボトルリサイクル推進協議会は、推定海外輸出分も含めて実質回収率とし、再生品量には含めていないが日本から輸出された廃ペットボトルの中国でのリサイクル状況を年次報告に掲載し事実上、これもリサイクルであるとの立場をとっている。

家庭でできる二次利用

などの液体固体を再び入れ、容器として利用する。

ハサミカッターナイフなどを利用して細工をし、小物入れやとして利用することもできる。また、メガホンなどの応援用品の代わりとして、スポーツ応援時に叩いて大きな音を出す為に利用されることもあるが、この利用法は会場側から禁止とされることが多い。ペットボトルロケットとして、教材としても利用される。 最近では、ボトルキャップにはめ込むことにより、ハンガーとして利用するものも出てきている。[15]

また、水を入れ玄関先に置く事で避けになるとの情報が流通し流行したが、効果の程は確かではない。(後述:#ペットボトルに関する事件・事故参照)[16]

水筒の代替品としての使用

日本では2000年代以降、自動販売機コンビニエンスストアのシェア拡大や使い易さや手軽さなどの理由に伴い、全国どこでも容易に手に入るペットボトルが10~30代の若者を中心に、水筒の代替品としても使用されるようになった。

ペットボトルを携帯する際は、別売の専用ストラップに吊り下げて携帯したり、ペットボトルカバーやタオルなどに包ませて保温性(保冷性)を高めて使用することがあり、ペットボトルを水筒代わりとして利用する事を前提とした関連商品も各種開発されている。その反面、ボトルを裸つまり剥き出しの状態にして使用する人は少ない。

ただし、水筒の代替品としてもほとんどの人が一時的(概ね1日~1週間程度と短期間)な使用であり、長期間使用すると、ボトルが水垢やぬめりで傷み、カビや菌が繁殖し不衛生になってしまうことから、一つのボトルを何ヶ月から何年もの長期間にわたって使用する例はない。水筒に比べて洗いにくく容量が少ない上に、保冷・保温性にも欠けてしまい、口が直径2~5cmと小さく、氷や飲み物を入れにくいと言った欠点がある。

なお、2011年以降は多機能な水筒が登場し、再び水筒のシェアが拡大しつつある。国際環境NGOグリーンピース・ジャパンが実施した調査では、東京都民の、2人に1人がマイボトルを所有している。[17]


廃棄(排出)方法

リサイクルを前提とした廃棄(排出)方法

廃棄(排出)方法については、各地方自治体によって異なるものの、

  1. 中身を全て使用(飲用)する。
  2. 中を水で軽くすすぐ。
  3. キャップを外す。
  4. 自治体の方法に従って排出するか、スーパーコンビニエンスストアのペットボトル回収ボックスに入れる。

という点は共通している。

ラベルについては、外してから出す地域と外さずに出す地域[18]とで分かれており、又、手や足などで潰してから出す地域と潰さないで出す地域[19]とで分かれている。

汚れが残っていたり、タバコの吸殻が入れられると、リサイクルできない場合がある。キャップとラベルについては、それぞれ指定された廃棄(排出)方法をとる。

リサイクルを前提としない廃棄方法

全ての自治体でポリエチレンテレフタレート(本体)、ポリプロピレン(キャップ)をリサイクルしなくてはいけないという義務は無い為、燃えるごみとしても廃棄される。この場合、本体もキャップも同様に可燃物であるため、取り外す意味はない。その他の可燃物と共に、通常の家庭ごみとして捨てる。


  1. ^ pet | Definition of pet in English by Oxford Dictionaries”. 2018年9月11日閲覧。 Oxford Dictionary では前者の読みが採用されているが、そのまま読むと発音上、読めなかったり通りが悪い場合(塩化ビニル樹脂の PVC)や、要人を指す VIP(ヴイ・アイ・ピー)のようにそのまま読むと下品に聞こえる場合(そのまま読むと大戦中の日本人を指す "Jap" と同じ響き)、アルファベットのまま読むのが通例である。
  2. ^ 経済新語辞典”. 日本経済新聞社. 2014年3月7日閲覧。
  3. ^ 青木貞茂; マジか!. “文化の力: カルチュラル・マーケティングの方法”. NTT出版. 2014年3月7日閲覧。
  4. ^ http://www.petbottle-rec.gr.jp/guideline/hensen.html
  5. ^ 小島道一『リサイクルと世界経済』、57頁。
  6. ^ 小島道一『リサイクルと世界経済』、58 - 59頁。
  7. ^ ペットボトルで飲み口が白いものがありますが、材質は容器本体と同じものですか?また、飲み口が白いものと透明なものの違いは何ですか? ダイドードリンコ お客様相談室
  8. ^ Leonard Sax (2010). “Polyethylene Terephthalate May Yield Endocrine Disruptors”. Environmental Health Perspectives 118 (4): 445–8. doi:10.1289/ehp.0901253. PMC: 2854718. PMID 20368129. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2854718/. 
  9. ^ 国内初のバイオペットボトルでCO2削減!三ツ矢サイダー(1.5リットル)に注目 産経新聞社(2018年2月3日)2018年2月3日閲覧
  10. ^ 『ボージョレも価格競争、千円切るペットボトル登場』 - 読売新聞 2009年11月17日
  11. ^ 『ヌーボーに冷や水?「ペットボトル入り禁止を」と生産地代表者』 - 産経新聞 2009年11月19日
  12. ^ アサヒビール(株) 容器包装研究所 ガスバリア性と遮光性を飛躍的に高めた『ビール用PETボトル』を開発 年内にもPETボトルの特性を活かした新商品を発売 - アサヒビール ニュースリリース 2004年7月8日
  13. ^ 7月8日発表のPETボトル容器入りビール新商品に関するお知らせ - アサヒビール ニュースリリース 2004年9月30日
  14. ^ 『サントリーが挑む新リサイクル【2】』 - ECO JAPAN 2011年10月11日
  15. ^ ペットボトルを活用した衣類用エコハンガー『Rethink Hanger』を発売 - グリーンエージェント 2010年6月17日
  16. ^ a b (英語) 『PET bottles』 - The Japan Times 2005年5月19日
  17. ^ 東京都民2人に1人がマイボトルを所有、でも給水は? ーーマイボトル使用傾向と課題が明らかに” (日本語). 国際環境NGOグリーンピース. 2020年1月8日閲覧。
  18. ^ 外さないと定めている地域の例では「ラベルでもペットボトルであるかの判断ができるため。」としている。例:ペットボトルの出し方について。 - 福岡県筑紫野市ホームページ
  19. ^ 潰さないと定めている地域の例では「潰さない方が異物の選別が簡単で、またはじめから潰れていると圧縮されにくくなるため。」としている。例:鳥取県八頭町ホームページ
  20. ^ 日経BP記事「“100億円工場”操業停止に、帝人ペットボトル再生事業が映す容リ法の綻び」
  21. ^ 帝人株式会社プレスリリース
  22. ^ 日本容器包装リサイクル協会 (2019年6月28日). “再商品化事業者への委託料(総額) 詳細データ”. 2020年2月5日閲覧。
  23. ^ 日本容器包装リサイクル協会 (2019年11月11日). “令和2年度「再商品化実施委託単価」、令和元年度「拠出委託単価」、令和2年度「算定係数(暫定値)」ならびに令和2年度「特定事業者申込期間および申込書類発送の遅延」のご連絡について”. 2020年2月5日閲覧。
  24. ^ 日本容器包装リサイクル協会 (2019年6月28日). “落札単価の経年推移 詳細データ”. 2020年2月5日閲覧。
  25. ^ 日本容器包装リサイクル協会 (2018年). “引き取り市町村数 経年データ”. 2020年2月5日閲覧。
  26. ^ 日本容器包装リサイクル協会 (2017年3月31日). “再商品化可能量の推移 PETボトル”. 2020年2月5日閲覧。
  27. ^ a b 日本容器包装リサイクル協会 (2019年7月3日). “PETボトル”. 2020年2月5日閲覧。
  28. ^ 中谷隼, 藤井実, 森口祐一 ほか、「使用済ペットボトルの国内リサイクルと日中間リサイクルのライフサイクル評価」 『日本LCA学会誌』 2008年 4巻 4号 p.324-333, doi:10.3370/lca.4.324
  29. ^ 環境省 廃棄物処理等科学研究費補助金 総合研究報告書概要版
  30. ^ a b PETボトルリサイクル協議会 (2019年4月). “ボトル用PET樹脂需要実績推移”. 2020年2月5日閲覧。
  31. ^ PETボトルリサイクル協議会 (2018年). “PET樹脂のマテリアルフロー(2018年度)”. 2020年2月5日閲覧。
  32. ^ PETボトルリサイクル協議会 (2018年). “国内用途別再生フレーク量”. 2020年2月5日閲覧。
  33. ^ 日本ミネラルウォーター協会 (2019年3月22日). “統計資料 (PDF)”. 2020年2月5日閲覧。
  34. ^ a b PETボトルリサイクル協議会 (2018年). “PETボトルの回収率(従来指標)の推移”. 2020年2月5日閲覧。
  35. ^ a b PETボトルリサイクル協議会 (2018年). “日米欧のリサイクル状況比較”. 2020年2月5日閲覧。
  36. ^ PETボトルリサイクル協議会 (2018年). “リサイクル率の算出”. 2020年3月3日閲覧。
  37. ^ Japan streets ahead in global plastic recycling race
  38. ^ http://www.hindustantimes.com/mumbai-news/india-recycles-90-of-its-pet-waste-outperforms-japan-europe-and-us-study/story-yqphS1w2GdlwMYPgPtyb2L.html NCL and PET Packaging Association for Clean Environment (PACE) 2017年2月に公開した1年にわたる調査結果、インドの顕著に高く見える数値の理由は屑拾いのおかげだと思われて、同国では₹32億の産業だとされる。
  39. ^ プラスチック循環利用協会 (2019-12) (PDF). 2018年 プラスチック製品の生産・廃棄・再資源化・処理処分の状況 マテリアルフロー図 (Report). http://www.pwmi.or.jp/pdf/panf2.pdf 2020年2月5日閲覧。. 
  40. ^ 夫馬賢治 (2019年1月10日). “世界基準からズレた日本の「プラごみリサイクル率84%」の実態” (日本語). フォーブスジャパン: pp. 2-3. https://forbesjapan.com/articles/detail/24796/2/1/1 2020年2月5日閲覧。 
  41. ^ サントリーニュースリリース - 2011年4月13日
  42. ^ サントリーHP 『日本初。使用済みペットボトルをボトルに再生するメカニカルリサイクル法の実現』
  43. ^ 『環境問題はなぜウソがまかり通るのか』p.18武田邦彦、洋泉社、2007年、ISBN 978-4-86248-122-1
  44. ^ PETボトルリサイクル推進協議会プレス[1]
  45. ^ Wikipediaの記述について”. 2008年1月23日閲覧。 追記事項は『環境問題はなぜウソがまかり通るのか』2007年10月29日11刷の図1-1で確認済み。
  46. ^ PETボトルリサイクル推進協議会 - リサイクル率の算出
  47. ^ FIFA U-20 女子ワールドカップ ジャパン2012スタジアム観戦される皆様へ
  48. ^ 東日本大震災について~ミネラルウォーターの需要増加に伴うペットボトル用樹脂キャップの共通化(白無地)について~農林水産省ニュースリリース、2011年4月13日
  49. ^ Section1 PETボトルの基礎知識 | PETボトルQ&A | PETボトルリサイクル推進協議会”. www.petbottle-rec.gr.jp. 2020年2月2日閲覧。





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