ヘリウム 名称

ヘリウム

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名称

ノーマン・ロッキャーエドワード・フランクランドが名づけた。「ヘリウム」とは、ギリシャ語太陽ἥλιος)を意味する。当時、太陽を構成する元素だと考えられたためである[3][4][5]

特徴

無色、無臭、無味、無毒(酸欠を除く)で周期表の中で二番目に軽い貴ガス元素である。空気よりも軽く不燃性で、すべての元素の中でもっとも沸点が低く、加圧下でしか固体にならない。ヘリウムは不活性の単原子ガスとして存在する。また、存在量は水素に次いで宇宙で2番目に多い。ヘリウムは地球大気の0.0005 %を占め、鉱物ミネラルウォーターの中にも溶け込んでいる。天然ガスとともにごく微量に産出し、気球や小型飛行船浮揚ガスとして用いられたり、液体ヘリウム超伝導用の低温素材としたり、大深度へ潜る際の呼吸ガスとして用いられている。

標準状態において、ヘリウムは単原子ガスとして存在する。ヘリウムを固化するには非常に特殊な条件下に置かなければならない。元素の中で沸点がもっとも低く、標準圧力下では絶対零度近傍になっても液体のままであり、固化させるには高い圧力をかける必要がある。臨界温度は5.19 Kと非常に低い。固体ヘリウムはヘリウム3ヘリウム4で必要な圧力が異なり、圧力を調節して体積の30 %をコントロールすることができる。ヘリウムは比熱容量が非常に高く、密度の高い蒸気となり、部屋の温度が上昇すると同時に膨張する。

固体ヘリウムは1.5 K、2.5–3.5 MPa という非常に低い温度と高い圧力の下でしか存在できない。この程度の温度以上になると、相転移を起こしてしまう。これ以下の温度ではそれぞれ立方体型の分子を作っている。

ヘリウムレーザー

ヘリウム4の2つの液体状態、ヘリウムIとヘリウムIIは、量子力学の研究(超流動現象)において重要で、物質が超伝導を帯びるような絶対零度に近い超低温で発現する。

用途

以下に挙げるようなさまざまな用途に使用されている[6]

ヘリウムガス
ヘリウムは水素の92.64 %もの浮揚力があり、燃えないため、水素よりも安全なガスとして風船などの浮揚用ガスとして利用され、広告用バルーンや天体観測用気球、軍事用偵察気球などに使用されている。また、ヘリウム中では音速が空気中よりずっと速い(純粋ヘリウム中では約1000 m/s)ため[注 1]、ヘリウムを吸入してから発声すると、甲高い音色の奇妙な声が出る(ドナルドダック効果)。これに着目して、いわゆるパーティグッズとしても利用される。このような市販の「変声」用ガスには、酸欠などになるのを防ぐために酸素が20 %ほど含まれているが、風船用ガスとの誤用による事故[7]や吸い過ぎによって嘔吐や意識を失う事故がたびたび発生[7][注 2]しており、その大半は12歳以下の子どもによるものである[8]。ヘリウムに薬理作用はないが、酸素を混合していないガスの吸引による自殺に使用された例も報告されている[9]
低温工学
ヘリウムは沸点、融点ともにもっとも低い元素である。液体ヘリウムはほかの超低温物質よりも低温となり、超伝導低温物理学など、絶対零度に近い環境での研究が必要な分野で冷媒として使用されている。また、ヘリウム3とヘリウム4を使った希釈冷凍法がある。
労働産業
ヘリウムと酸素などとの混合ガステクニカルダイビングなど、大深度潜水用の呼吸ガスとして用いられる[10][11]。ヘリウムは窒素よりも麻酔作用が少ないため、窒素中毒などの中毒症状を起こしにくい。さらにヘリウムは粘度が低いため、高圧下でも呼吸抵抗が小さく、身体からの排泄速度が速い[12]とされている。しかし特定の条件下では気泡が生じやすく、いったん血管内に気泡が生じた場合は消失しにくいとの報告がある[13]。欠点として熱伝導率が高いため、体温調節が難しくなり低体温症になる危険がある[14]こと、また空気と比較してはるかに高価であることがある。ヘリウムと酸素の混合ガスであるヘリオックスと、ヘリウム、酸素、窒素を混合したトライミックスがある。
医療
  • 液体に溶けやすく人体に無害と言う特性もあり、血管内で素早く膨らませたり縮めたりすることで心臓の機能を補助するIABPのバルーンに吹き込む気体として採用されている。
  • 液体ヘリウムは核磁気共鳴分光法(NMR)や核磁気共鳴画像法(MRI)の測定装置で超伝導電磁石の冷却に使われている。
その他
  • ガスクロマトグラフィーなどのキャリヤーガスとしても使用される。
  • 液体ヘリウムはロケットの噴射口を守る冷却剤、シリコンゲルマニウム結晶の保護材、あるいは原子炉冷却材超音速風洞実験での充満ガス、タンデム加速器の超伝導ブースター[15]などに用いられている。
  • ヘリウムの同位体のひとつであるヘリウム3は核融合発電の燃料としての利用が考えられている。しかし、現在熱核融合炉で想定されている温度の領域では、三重水素(トリチウム)燃料の場合に比べて核融合反応が起こりにくいうえ、地球上で天然に採取することはほとんど不可能である。
  • ヘリウムは分子が小さく、きわめて微小な孔にも浸入可能であるため(ヘリウムを詰めた風船が時間が経つと小さくしぼみ、浮力が落ちるのはこのためである)、配管のリーク(漏れ)を高精度で非破壊検査するのに用いられることがある(配管に気体のヘリウムを流してヘリウムリークディテクタで漏れを検知する)。前述の特徴のほか、化学的に安定で人畜に無害、また大気中にほとんど存在しないため誤検出の心配がないなど、この用途には理想的な物質であるとされている。しかしわずかな隙間にも侵入するため、潜水艦や減圧室などヘリウムの混合ガスを使用する状態において、防水として設計された時計などの隙間にも侵入し、圧力変化によって腕時計のガラスを吹き飛ばしてしまうことがある。このため、一部のダイバーズ・ウォッチにはヘリウム・エスケープ・バルブがついており、この機構で内部のヘリウムを自動的に外へ逃がすことができる。水素に次いで軽い気体であるため、ポンプなどを使って移動させるときに少ないエネルギーで素早く移動させることができる。
  • 能美防災の民生用蓄圧式消火器には、窒素の代わりに圧力源として使われている。

注釈

  1. ^ 共鳴の起こる波長(喉頭腔の大きさに依存)を一定とすると、周波数はその媒質を伝わる波の速さに比例する。周波数#定義を参照。
  2. ^ 2015年1月には12歳の児童がテレビ番組の収録中にこのガスを一気に吸引したことによって意識不明となり、このようなケースでは日本で初めて「脳空気塞栓症」と診断された事故が起きている(後に回復した)。テレビ朝日#不祥事・事件・トラブル児童労働#児童労働の事例3B juniorの星くず商事も参照されたい。

出典

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