ブラジリアン柔術
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/07/02 02:00 UTC 版)
IBJJFルール
以下はIBJJFルールの抜粋である。
勝敗の決定
時間内に決着が付かなかった場合はポイント数の多い選手が勝利となる。ポイントが同数の場合アドバンテージ数が多い選手が、そしてアドバンテージも同数の場合、ネガティブの少ない選手が勝利となる。 全てが同数の場合は審判が判定する(レフェリー判定)ため引き分けはない。ただし両者失格はある。
ポジティブポイント
名称 | ポジティブポイント | 詳細 |
---|---|---|
テイクダウン | 2点 | 立っている相手を倒し、寝技に持ち込むこと。 |
スイープ | ガードポジションの選手が上の選手をひっくり返して上下逆になること。 | |
ニーオンベリー | 仰向けの相手の胴体に膝を乗せ、もう一方の膝を立て足を床についた体勢。 | |
パスガード | 3点 | インサイドガードポジションから脱し柔道の抑込技状態、ニーオンベリーもしくはマウントポジションをとる。 |
マウント | 4点 | 仰向け、腹ばいもしくは横向けの相手に馬乗りの体勢をとる。 |
バックコントロール | 背後から相手の鼠蹊部に両かかとを置く。 |
上記ポイントは3秒以上キープすることで付与される。またニーオンザベリー、パスガードは左右をスイッチしてもポイントは加算されない。
ネガティブポイント
相手と組むことを避ける。もしくは組んでも膠着を誘発する行為はストーリング(時間稼ぎ)とみなされペナルティーが与えられる。
主な反則行為
非常に重大な反則
即座に失格となる
- サブミッションが仕掛けられた状態で意図的に場外へ出る行為
- 噛みつき、サミング、髪を引っ張る、打撃行為、急所攻撃、指先で鼻孔に攻撃するなど
- その他常識、道徳的に反する行為や言動
重大な反則
2度目の警告より、ペナルティーに追加して相手に1ポイントのアドバンテージが与えられる。3度目は(アドバンテージより上位の)2ポイント、4度目で失格となる(ペナルティは累積)。
- 相手の道衣を掴まず膝やお尻を着く
- 膠着を誘発する行為
- 相手の道衣の袖口、裾口の中に指を入れる行為
- 道衣を掴まず拳でチョークを掛ける行為
禁止行為
以下は禁止行為の抜粋である。
階級 | 反則技 | 解説 |
---|---|---|
全階級 | ネックロック | 絞めを伴わない首関節技、頸椎への攻撃 |
蟹挟 | IBJJFルールやJJIFルールを採用しない大会では茶帯以上で使用可の場合がある | |
ヒールホールド | 踵固め | |
スラミング | ガード状態の相手を床に叩きつける行為。 バックコントロールしている相手を叩きつける行為も同様 | |
外掛け | 足関節技やスイープを仕掛ける際に相手の脚に外側から自らの脚を絡みつける行為 | |
ストレートフットロックを仕掛けた脚を、もう一方の脚の方向へねじる行為 | ||
ストレートフットロックで外から掛ける足が相手の中心線から超える | 片足挫腹足において | |
頭、頸を床に打ち付ける行為 | ドライバー、後ろ反り投げなど | |
指を反対側(甲側)に曲げる行為 | 指固め | |
膝をねじって決める行為 | 足緘など | |
外向きトーホールド | 外向き足首固め、足取緘 | |
すべての打撃 | ||
白帯青帯紫帯 | 内向きトーホールド | 内向き足首固め、足取緘 |
ストレートニーロック | ||
カーフスライサー | 相手のふくらはぎを潰す膝固めなど | |
バイセップスライサー | キーロックなど相手の上腕二頭筋潰し | |
白帯及びジュブナイル以下 | リストロック | 手首固め |
クローズドガードで肝臓や鋤骨を圧迫する行為 | クローズドガードポジションからの胴絞において | |
頭を対戦相手の体の外側に出して掛けるシングルレッグテイクダウン | ||
ティーン以下 | 三角絞めから頭を引きつける行為 | |
脊髄への攻撃を伴うチョーク | ノーギ・エゼキエル・チョーク | |
袖車絞め | 袖を使用した前腕による絞め(エゼキエル・チョーク) | |
ギロチンチョーク | ||
アームトライアングル | 肩固、アナコンダ・チョーク、ダースチョークなど | |
ストレートフットロック | アキレス腱固め | |
ジュニア以下 | 両脚を開脚させて極める関節技 |
柔術衣
柔術衣は柔道着と比べ細身で、メーカー名のパッチあるいは刺繍が目立つようにデザインされている。また柔道は白の柔道着で大会に出場することが一般的だが、柔術では上下同色の黒、白、青(紺色を含む)であれば公式大会に出場できる。また、袖の余り幅は6.8 cm以上必要である。
年齢カテゴリ
カテゴリ | 対象年齢 |
---|---|
4歳 - 6歳 | |
ピーウィーI~III | 7歳 - 9歳 |
ジュニアI~III | 10歳 - 12歳 |
ティーンI~III | 13歳 - 15歳 |
ジュブナイルI~II | 16歳 - 17歳 |
アダルト | 18歳 - 29歳 |
マスター1 | 30歳 - 35歳 |
マスター2 | 36歳 - 40歳 |
マスター3 | 41歳 - 45歳 |
マスター4 | 46歳 - 50歳 |
マスター5 | 51歳 - 55歳 |
マスター6 | 56歳以上 |
算出方法:(現在の西暦年)-(誕生年)
階級(着衣時)
体重 | 階級名称 |
---|---|
57.5 kg以下 | ルースター級 (Rooster) |
64.0 kg以下 | ライトフェザー級 (Light-Feather) |
70.0 kg以下 | フェザー級 (Feather) |
76.0 kg以下 | ライト級 (Light) |
82.3 kg以下 | ミドル級 (Middle) |
88.3 kg以下 | ミディアムヘビー級 (Medium-Heavy) |
94.3 kg以下 | ヘビー級 (Heavy) |
100.5 kg以下 | スーパーヘビー級 (Super-Heavy) |
100.6 kg以上 | ウルトラヘビー級 (Ultra-Heavy) |
制限なし | オープンクラス (Open-class) |
体重 | 階級名称 |
---|---|
48.5 kg以下 | ルースター級 (Rooster) |
53.5 kg以下 | ライトフェザー級 (Light-Feather) |
58.5 kg以下 | フェザー級 (Feather) |
64.0 kg以下 | ライト級 (Light) |
69.0 kg以下 | ミドル級 (Middle) |
74.0 kg以下 | ミディアムヘビー級 (Medium-Heavy) |
79.3 kg以下 | ヘビー級 (Heavy) |
制限なし | スーパーヘビー級 (Super-Heavy) |
制限なし | ウルトラヘビー級 (Ultra-Heavy) |
制限なし | オープンクラス (Open-class) |
試合時間
帯/階級 | プレミリン | ミリン | インファンティウ | インファント・ジュベニウ | ジュベニウ | アダルト | マスター | シニア以上 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
白帯 | 2分 | 3分 | 4分 | 4分 | 5分 | 5分 | 5分 | 5分 |
青帯 | - | - | - | - | 5分 | 6分 | 5分 | 5分 |
紫帯 | - | - | - | - | - | 7分 | 6分 | 5分 |
茶帯 | - | - | - | - | - | 8分 | 6分 | 5分 |
黒帯 | - | - | - | - | - | 10分 | 6分 | 5分 |
※空白はその帯を取得できる年齢でないことを示す
具体的な試合展開
柔道と異なり綺麗に投げても一本勝ちにはなら確かに柔道で言う効果。ADポイントとして別集計1ポイント)のみが与えられる。また、引き込みが認められている。そして、寝技で上側の選手が相手選手に組まない場合もそのまま試合は継続される。また寝技の攻防が膠着した場合にブレイク(待て)がかかるまでの時間は柔道と比較してかなり長い。そのため、寝技中心の試合展開になることが多い。
寝技は柔道と同様、下の者が相手と正対し、膝や脚を使って防御するガードポジションを取っていれば抑え込み、フォールやポイントが取られないのがレスリングやサンボと異なる大きな特徴である。ま た、抑え込みでは一本にならず、20秒以上同じ抑え込みを続けると反則を取られる。また、20世紀終盤の柔道では寝技で亀になって防御することが多かったが、柔術ではその態勢で背に乗られ、相手の両足を鼠径部に差し込まれると失点になる(4ポイント)ため、亀の姿勢のままでいることは少ない。下側の者はガードの状態にしようとするか、正対できずうつ伏せの場合は相手に頭を向け手で相手が背後に行けないようにがぶられながら防御する。
一本勝ちは、関節技や絞め技を極めた場合である。実力が拮抗している場合は一本を狙わず、ポジショニングによって与えられるポイントあるいはアドバンテージ等での判定勝利を狙う選手も多い。
注釈
出典
- ^ 厳密には今昔をとわず「柔道」とは武術の流儀名でも格闘技名でもなく、「道」の名の示すとおり、嘉納治五郎の創作した徳目プログラムを指す。現在「柔道」(講道館柔道)という名で知られまた呼ばれる格技種目は、本来その教材となる(嘉納流の)柔術流儀のことであった。[要出典]
- ^ a b 三宅タロー、谷幸雄『対訳「The Game of Ju-jitsu」柔術の勝負』内田賢次(監修)、創英社、三省堂書店、日本(原著2013年8月8日)、3-4頁。ISBN 978-4-88142-811-5。
- ^ 『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか』新潮社、日本(原著2011年9月30日)、330頁。ISBN 978-4-10-330071-7。
- ^ 『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか』新潮社、日本(原著2011年9月30日)、329-330頁。ISBN 978-4-10-330071-7。
- ^ 『黒帯三代 南米紀行・米洲を征覇して』石井機械製作所、日本。
- ^ a b 三宅タロー、谷幸雄『対訳「The Game of Ju-jitsu」柔術の勝負』内田賢次(監修)、創英社、三省堂書店、日本(原著2013年8月8日)、4頁。ISBN 978-4-88142-811-5。
- ^ 三宅タロー、谷幸雄『対訳「The Game of Ju-jitsu」柔術の勝負』内田賢次(監修)、創英社、三省堂書店、日本(原著2013年8月8日)、88-89頁。ISBN 978-4-88142-811-5。
- ^ “UAE Jiu-Jitsu Federation”. JJIF. 2020年1月11日閲覧。 “PO Box 110004”
- ^ “CONTACT OUR TEAM”. AJP. 2020年1月11日閲覧。 “PO BOX 110004”
固有名詞の分類
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