フルート 補遺

フルート

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/30 06:30 UTC 版)

補遺

アルト・フルート使用曲
バス・フルート使用曲
フルート・ダモーレ使用曲
アイリッシュ・フルート
アイルランド民族音楽(いわゆるケルト音楽)で用いられるフルート。といっても民族楽器といえるほど歴史あるものではなく、ベーム式フルートが普及する以前に用いられていたフルートの生き残りである。木製でD管、6孔でキーなしかシンプルなキーのものが多く、あまり多くの半音を奏でるのは困難であるが、クラシカル・フルートのような多キーのものも作られている。
キングマシステム
微分音を用いた音楽を演奏することに特化した特殊なシステム。オランダの楽器製作者であるE・キングマによって開発され、キーの上に更に小型のキーをとりつけた「キー・オン・キーシステム」の採用と、リングキーのリング部分の内径を見直すことにより、通常のフルートと演奏方法をまったく変えることなく正確な微分音程を容易に演奏することを可能としている。
ビービーフルート
正式名称は「Bee-modeフルート」。フルートの管体に開けた横穴に薄い特殊フィルムを貼って共振させ独特の音を出す楽器。中国の民族楽器の横笛の構造にインスピレーションを得たもので、通常のフルートの音質よりも倍音を多く含んだ特異な音色になる。
MIDIフルート
キーシステムにMIDI機構を取り付けた楽器。発音原理は通常のフルートと同じであり特に電子的な発音機構によるものではないが、MIDIの出力機構を備えており、奏者の演奏情報をリアルタイムに別のMIDI機器やコンピュータに伝えることができる。同一の指使いで複数のオクターヴの可能性のある音や演奏上の強弱(ヴェロシティ)の検知のためのセンサーも備わっている。
尺ルート
太平尺八工房が開発した尺八型の頭部管。通常のフルートの胴体に付け替える。尺八特有のむら息などの奏法をフルートの運指法を使い演奏できる。昭和初期に考案されたオークラウロと同様の発想に基づくものである。

注釈

  1. ^ バロック・フルートも左側に構えることができ、その場合は左手小指でキーを操作する。
  2. ^ 常時閉のこのキーは、形状が少し変わったものの現代のフルートにも「Esキー」として生き残っており、楽器を安定に支える上でも役立っている。
  3. ^ 例えばA4の音を出すとき、クラシカル・フルートに設けられたGisトーンホールのキーは閉じているが、ベーム式メカニズムのフルートでは開いている。
  4. ^ クローズドキーとも。ベームが1847年に発表したモデルがこのタイプだったので、ジャーマンモデル、ジャーマンスタイルともいう。
  5. ^ オープンキー、オープンホールシステムとも。ベームのフルートを元にフランスで開発されたので、フレンチモデル、フレンチスタイルともいう。
  6. ^ 旧くは魚の浮き袋から作られていたのでこのように呼ばれるが、今日では豚の内臓などから作られている。
  7. ^ 従って、2つのGisトーンホールを両方閉じた状態で、Aトーンホールだけを開けることはできない。これが後述のEメカニズムの必要性につながっている。
  8. ^ WEBサイトは2022年10月末現在、イワオフルートのまま更新されていない。
  9. ^ 当時日本に1本しか無かったというのが本当なら、バス・フルートの可能性が高い。

出典

  1. ^ a b 下中直也(編) 『音楽大事典』 全6巻、平凡社、1981年
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  3. ^ YAMAHA楽器解体全書
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  5. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r 前田りり子 『フルートの肖像(その歴史的変遷)』 東京書籍、2006年、ISBN 4-487-80138-9
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  7. ^ 青木和夫 『日本の歴史(3) 奈良の都』 中公文庫、2004年、ISBN 4-12-204401-4 (初版:1973年)
  8. ^ 『図解 世界楽器大事典【第六版】』p174
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  11. ^ https://imslp.org/wiki/Musica_instrumentalis_deudsch_(Agricola%2C_Martin)
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  21. ^ フルートの選び方:材質から選ぶ - 楽器解体全書 - ヤマハによる解説。
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  24. ^ File:Principes de la flute traversiere 1728.jpg - IMSLP/ペトルッチ楽譜ライブラリー: パブリックドメインの無料楽譜”. imslp.org. 2021年10月27日閲覧。
  25. ^ Versuch einer Anweisung die Flöte traversiere zu spielen (Quantz, Johann Joachim) - IMSLP/ペトルッチ楽譜ライブラリー: パブリックドメインの無料楽譜”. imslp.org. 2021年10月27日閲覧。
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  27. ^ Bret Newton (2015-09-14), G Treble Flute, Bandestration, https://bandestration.com/2015/09/14/g-treble-flute/ 
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  29. ^ Bret Newton (2015-09-14), E-flat Soprano Flute, Bandestration, https://bandestration.com/tag/soprano-flute/ 
  30. ^ Contr’alto Flute, Eva Kingsma, http://www.kingmaflutes.com/mySite/contralto.html 
  31. ^ contr’alto, Hogenhuis flutes, http://www.hogenhuis-flutes.com/contralto 
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  34. ^ Subcontrabass flute in F』古田土フルート工房https://www.kotatoandfukushima.com/subcontrabass-flute-in-f 
  35. ^ 古田土フルート工房 沿革https://www.kotatoandfukushima.com/about-us 
  36. ^ Subcontrabass flute, Hogenhuis flutes, http://www.hogenhuis-flutes.com/subcontrabassflute 
  37. ^ Susan J. Maclagan (2001). A Dictionary for the Modern Flutist. The Scarecrow Press. p. 92. ISBN 0810867281 
  38. ^ Peter Sheridan, The Deepest Flute Voice: The Hyperbass Flute, Low Flutes, http://www.lowflutes.com/news/the_deepest_voiceexplorations_into_the_hyperbass/ 
  39. ^ クロサワ楽器店管楽器ブランドサイト 製品カタログ | Import Wind.com PRODUCT CATALOG”. www.importwind.com. 2022年10月29日閲覧。
  40. ^ マテキフルート廃業のお知らせ”. - Flutist - Sawako (2020年1月12日). 2020年11月19日閲覧。
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