ノルム代数 ノルム代数の概要

ノルム代数

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/04/12 01:26 UTC 版)

劣乗法性:

を満たすものを言う[注釈 2]。加えて、A乗法単位元 1A を持つ(単位的多元環)ならば ‖ 1A ‖ = 1 も仮定することがある[注釈 3]

定義

ノルム代数は、ノルム体[注釈 1] K 上の K-代数 AA 上定義されたノルム ‖ • ‖: AR の組 (A, ‖ · ‖) で以下の性質を満たすものを言う[3]:

  • 独立性:
  • 斉次性:
  • 劣加法性 (三角不等式):
  • 劣乗法性:

上の三つの条件は A線型空間として K-ノルム空間を成すことを言うものである。最後の「乗法的」な条件は A の乗法に関するものだが、加法に関する三角不等式の乗法的対応物であり、文献によってはこれを乗法的三角不等式 (multiplicative triangle inequality) とも称する。この条件により A の乗法の連続性が保証され、ノルム代数 A位相線型環になる。

上記の劣乗法性がより強く等号で成り立つ(つまり、ノルムが乗法的となる)とき乗法的ノルム代数とも呼ぶが、乗法的ノルム代数は必ず可除となり、したがって乗法的ノルム代数とノルム多元体(さらに強く、バナッハ多元体)は等価な概念を定める[4]

  • もっとも重要なノルム代数の例はバナッハ代数、すなわちノルム完備なノルム代数である。
  • 絶対値をノルムに持つ位相体 K はそれ自身ノルム代数である。
  • 一変数多項式環 K[X]‖ p ‖ ≔ supx[0,1] |p(x)| で定義されるノルムのもと完備でないノルム代数をなす。

注釈

  1. ^ 文献によっては、適当な定数 C (≥ 0) によって劣乗法性を弱めた
    を条件とするものもある。しかしそれによって新たな内容が得られるわけではない: 実際 C = 0 ならば自明環であり、C > 0 に対してはもとのノルムを C で割って新たに同値なノルムを得れば、それは定数因子のない劣乗法性を満たす。
  2. ^ 実はノルム x ↦ ‖ x ‖同値なノルム x ↦ sup‖ y ‖ = 1 ‖ xy ‖ に取り換えて単位元のノルムを 1 にすることができる。

出典

  1. ^ 例えば normed ring in nLab
  2. ^ normed field in nLab
  3. ^ F. F. Bonsall, J. Duncan: Complete Normed Algebras. Springer-Verlag 1973, ISBN 3540063862, Kapitel I. Definition 10
  4. ^ normed division algebra in nLab 2. Definition
  5. ^ Bruce Blackadar: K-Theory for Operator Algebras, Springer Verlag (1986), ISBN 3-540-96391-X, Kapitel II, 3.1
  6. ^ J. Cuntz, R. Meyer, J. Rosenberg: Topological and Bivariant K-Theory, Birkhäuser Verlag (2007), ISBN 3-764-38398-4, Definition 2.11 und nachfolgender Text


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