トーラス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/02/15 04:45 UTC 版)
位相的トーラス
位相幾何学的には、トーラスはどれだけ伸縮してもいい。有名な例は、ドーナツとコーヒーカップは同相である、というものである。つまり、コーヒーカップ(の表面)もトーラスである。
また、結び目状になっているトーラスを考えることもできる。全ての結び目が円周に同相なように、結び目状になっているトーラスも標準的なトーラスと同相になる。ただし中心曲線の結び目が異なれば3次元空間上ではそれらは同位にならない。
性質
- トーラスの基本群は ⟨x, y : xyx−1y−1⟩ である。
多孔トーラス
トーラスは、2次元球面から2つの円板を除去し、その境界に円柱面 S1×I の両端を貼り付けることによってつくることもできる。トーラスに対してさらにもう1つシリンダーをつけた曲面は二つ穴トーラス (double torus) と呼ぶことがある。これを繰り返してさらに多くの穴を持ったトーラスを考えることができ、穴の個数のことを種数という。また、シリンダーをつける操作は、新たなトーラスを連結和によって加えていることに相当する。
トーラス形多面体
位相的にトーラス(あるいは多孔トーラス)である多面体はトーラス形多面体 (toroidal polyhedra) または穿孔多面体(穴のある多面体)と呼ばれる。
n次元トーラス
円周あるいは単純閉曲線 S1 を 1 次元トーラスという。冒頭で述べた意味でのトーラスは S1 × S1 とあらわすことができる(片方の S1 をメリディアン、もう片方の S1 をロンジチュードと考えればよい)。一般に、n 次元トーラスあるいは簡単に n-トーラス Tn とは S1 の n 個の直積
のことである。この語法に従えば、冒頭で述べた意味でのトーラスは 2-トーラスということになる。
代数トーラス
代数学においては、絶対値が 1 に等しい複素数が複素数平面上で描く軌跡はしばしば S1 = T1 とみなされる。また、T1 は線分 [0, 1] の両端を同一視したもの、あるいは同じことだが実数体 R を有理整数環 Z で割った剰余環 R / Z とも同一視される。このとき、1-トーラス T1 は積に関してコンパクト位相群となる。
これをさらに一般化して、位相体のコンパクトな乗法群の直積に同型となるコンパクト群をトーラスと呼ぶことがある。たとえば、位相体上の n 次一般線型群 GLn に属する対角行列全体の作る群は n 次元トーラス(分裂トーラス)である。
フーリエ級数とは、コンパクト群としての 1-トーラス T1 上で定義される、ハール測度に関して自乗可積分な関数の、T1 の指標(1 次元表現)による展開であると解釈することができる。
- ^ 江田康和の著作『空想科学大学』において、ドラゴンクエストの世界はドーナツ型地球であるという指摘がある。江田康和『空想科学大学』宝島社(宝島社文庫)、2003年、73-74頁。ISBN 4-7966-3357-X。
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