タマゴテングタケモドキ タマゴテングタケモドキの概要

タマゴテングタケモドキ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/25 16:31 UTC 版)

タマゴテングタケモドキ
タマゴテングタケモドキ
分類
: 菌界 Fungi
亜界 : ディカリア亜界 Dikarya
: 担子菌門 Basidiomycota
亜門 : ハラタケ亜門 Agaricomycotina
: ハラタケ綱 Agaricomycetes
亜綱 : ハラタケ亜綱 Agaricomycetidae
: ハラタケ目 Agaricales
: テングタケ科 Amanitaceae
: テングタケ属 Amanita
亜属 : テングタケ亜属
Subgenus Amanita
: タマゴタケ節
Section Caesareae
: タマゴテングタケモドキ
A. longistriata
学名
Amanita longistriata S. Imai
和名
タマゴテングタケモドキ(卵天狗茸擬)

形態

ごく幼いつぼみは白い外被膜に全体が包まれて保護されており、卵状の塊として地中に形成されるが、後には外被膜の先端が裂開して柄が伸長しはじめ、じゅうぶんに成熟すれば全体の高さは5-10 cm程度に達する。かさは幼時は半球形ないし釣鐘形をなすが、次第に開いてほぼ平らとなり、老熟すれば浅い皿状にくぼむこともあり、僅かに粘性を有するが乾きやすく、径3-8 cm程度、淡い灰褐色または暗灰色であるが古くなると褪色して灰白色となることがあり、周縁部には放射状に配列した長いい条溝(かさの半径の三分の一程度に達する)を生じる。ひだは密あるいはやや密、柄に離生し、しばしば小ひだ(かさの周縁部から柄に到達しないひだ)をまじえ、特に幼時には美しいピンク色を帯び、縁は多少ざらつく。肉は薄くてもろく、白色で傷つけても変色することはなく、味やにおいは温和で特徴的なものはない。柄はほぼ上下同大で細長く、径5-10 mm程度、白色でいくぶん粉状をなし、中空で折れやすく、なかほどに白い膜質の「つば」(ひだを保護する内被膜のなごり)を備え、基部には「つぼ」(外被膜のなごり)を有している。外被膜の組織は密に絡まり合った菌糸からなるために断片化しにくく、かさの表面に破片を載せることは少ない。

胞子紋は白色を呈する。担子器は4個ずつ胞子を生じ、個々の胞子は広卵形ないし広楕円形、無色で薄壁、ヨウ素溶液にはほとんど染まらない(非アミロイド性)。シスチジアはないが、ひだの縁には無色かつ薄壁で卵状・類球状・こん棒状あるいは円筒状などの無性細胞(内被膜の組織断片)が多数存在する。かさの表皮は僅かにゼラチン化した細い菌糸で構成されている。担子器の基部あるいは菌糸の隔壁部には、しばしばかすがい連結を有する。

生態

夏から秋にかけて、広葉樹林(あるいは広葉樹と針葉樹との混交林内)の地上に孤生ないし点々と群生する。分類学的位置からして、おそらくは外生菌根を形成して生活しているものと考えられている。タマゴテングタケの名が付いているが本種とこちらのモドキとは全く似ていない(色が異なる)。


  1. ^ Imai, S. (1938). “STUDIES ON THE AGARICACEAE OF HOKKAIDO. I”. Journal of the Facluty of Agriculture (Hokkaido Imperial University) 43: 1-178 + 3 plates.. hdl:2115/12729. 
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  8. ^ a b Yang, Z.-L.; Doi, Y. (1999). “A contribution to the knowledge of Amanita (Amanitaceae, Agaricales) in Japan”. Bulletin of the National Science Museum. Series B, Botany 25 (3): 107-130. NAID 110000008481. https://www.kahaku.go.jp/research/publication/botany/download/25-3/Yang_Doi1999_B25_3_107-130.pdf. 
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  14. ^ 『キノコの世界』朝日新聞社〈朝日百科〉、1997年10月、31頁。ISBN 4-02-380011-2 


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