スイカ 品種

スイカ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/15 14:49 UTC 版)

品種

スイカの種類は、赤肉の大玉スイカが最も一般的であるが、品種改良が進み、ラグビーボールような形の枕形大玉種や、縞模様がない黒緑色の大玉種、果肉が黄色のもの[23]、あるいは種子をコルヒチン処理し倍化させることで一代雑種(F1)三倍体にして種を無くした種なしスイカがある。軟X線照射花粉の授粉による種なしスイカ作出[28]も行われている。アメリカでは種無しスイカが一般的であるが、種無しスイカは2021年現在、日本国内においてあまり普及しておらず、要因は2倍体スイカよりも種苗代が高額・栽培に技術が必要と2点が挙げられる。大玉スイカは約3 - 8キログラム (kg) になり、小玉スイカは1.5 - 3 kgで皮や甘味が強い[4]富山県入善町では「ジャンボスイカ(黒部スイカ)」とよばれる長形大玉種が栽培されていて、平均重量15 kg、最大30 kg程度に成長する。

日本の主な品種

  • 赤肉系大玉品種
    • 祭ばやし - 1995年に萩原農場が発表した日本全国で生産される人気の品種で、濃い緑色に黒い縞模様の大玉種。代表品種「祭ばやし777」、その後継品種「祭ばやしRG」、さらに大玉の「祭ばやし8」などがある[29]
    • 縞無双 - 神田育種農場が育成した縞模様がくっきりした赤肉の大玉品種。ふつう果重7 - 8kgほどであるが肥大性に富む[30]
    • 必勝
    • 竜宝
    • 暁ひかり
    • 日章
    • 翠章
    • 貴ひかり
    • 富士光
    • 朝ひかりSR
    • サマーキッズ
    • アイスクリーム - 1901年(明治34年)に奈良県でアメリカから導入(2021年時点では流通無し)。
    • 太陽 - 黄色い果皮に濃い縞模様が入る大玉種。果肉は赤く、糖度は高い。[4]
    • 縞王(しまおう) - 日本の代表的な縞皮・赤肉の果重7 - 8 kgになる大玉スイカのF1品種で、糖度は11 - 12度ほどある。山形県や鳥取県産が有名であるが、北海道から沖縄県までどの土地でも栽培しやすい。「縞王シリーズ」として品種が多数ある。[4][30]
  • 三倍体種なし赤肉系品種
    種なしスイカ
    • ひとつだね
    • 3xブラックジャック
    • ほお晴れ
  • ナノシード系品種(ナノシードとはマイクロシードよりタネサイズが小さいもの)
    • ぷちっと - 萩原農場が2021年に発売した品種で[18]、大玉〜中玉。種は通常の8分の1のサイズで、向上した食味に加え、種の食感も一緒に楽しめる[18]
    • ひとりじめナノ - 小玉
  • マイクロシード系品種
    マイクロシード種子と一般小玉スイカ種子
    • ピノ・ガール - ナント種苗が育成し、2020年に商業生産を開始した小玉・縞皮・赤肉の商標名。種はマイクロシードとよばれ、一般のスイカの4分の1の大きさでそのまま食べられる。[30]
    • ピノダディー - 大玉・黒皮・赤肉
  • 中玉系品種
    • 旭大和(あさひやまと) - 昭和初期に作られた「大和」系の品種で、果皮は薄い緑色で薄い縞模様が入るのが特徴。赤肉で、重さ6キログラムほどになる。[4][31]
  • 小玉系品種
    • ひとりじめ - 萩原農場が開発した小玉スイカのベストセラー品種で、シャリッとした食感、高い糖度、薄い果皮が特徴。代表品種「ひとりじめ7」のほか、高糖度や耐暑性・低温性に優れた特性を持つシリーズがある[29]
    • 金福 - 福井県福井市で育成し、2003年に農林水産省の品種登録を受けたオリジナル品種。種なし・赤肉の小玉スイカで、果皮が黄色いのが特徴。[30]
    • 黒子玉 - 熊本県で育成されたブランド品種で、品種名は「ひとりじめBonBon」。皮が黒い小玉スイカで、果肉が赤い。[30]
    • スウィートキッズ - 萩原農場が改良した甘い小玉スイカの品種で、糖度は13度に達することがある[30]
    • 紅こだま - 小玉スイカの代表的な品種。赤肉で糖度が高く、きめ細かな舌触りで食味がよい。[30]
    • 夢黒小玉 - 熊本県産の果皮が黒っぽい濃緑色で、果肉が赤い小玉種。糖度12度以上と甘く、歯ごたえもよい。[4]
  • 黒皮系品種
    • タヒチ - サカタのタネの黒皮、赤肉で果重7 - 8 kgになる大玉品種で、「ばくだんスイカ」「ダイナマイトスイカ」「でんすけすいか」などの商品名で流通。育ち始めの実は縞模様であるが、日光に当たると黒くなる。肉質はよく締まり、甘味は強い。[4][32][29]
    • ブラックジャック
    • 月美人(黄肉)
    • アジアン小町(黄肉)
  • 長形品種
    ギャンブルシティのマカオのスーパーに搬入された、スイカ(18.5kg)、カットされて陳列される。
    • マダーボール - ラグビーボール形の赤肉の小玉スイカ。「マダー」は果肉の茜色から。皮は薄く、果肉は甘みが強く果汁が多い。黄肉の「ゴールドマーダーボール」もある。[4][30]
    • 黒部スイカ - 明治時代に米国から導入された「ラットルスネーク種」。黒部川の扇状地に位置する富山県入善町では、明治から栽培されており「入善ジャンボスイカ」のブランドで特産物にしている。[30]
    • ゴールド小町 - 黄皮系
    • ひとりじめスマート
  • 黄肉系品種
    黄肉種
    • サンダーボルト
    • 黄太郎
    • こがね - ナント種苗が育成した果肉が黄色い「クリームスイカ」の大玉品種で、果重12 kgまで育つ。とろける食感と爽やかな甘みがある。[30]
    • イエローキッズ
    • 大和こだま
    • ニューこだま
    • ひまわり - 果皮は緑色に黒い縞模様、果肉は淡い黄色の小玉種。糖度11度で、すっきりした甘さがある。[4]
  • オレンジ色品種
    • サマーオレンジ - 果肉が鮮やかなオレンジ色になる品種で北海道や山形県、熊本県などで特産物として販売される。果皮は濃緑色で黒色の縞模様が入る。種は少ない方で、糖度12.5 - 13度と甘い。大玉・中玉・小玉の各サイズでシリーズ化されている。[4][30]
  • 白色品種
    • クールチャージ・潤
  • 花粉専用品種
    • SA-75
  • 漬物用品種
    • 源五兵衛(和歌山県)
  • 超小型品種
    韓国で栽培されているアップルスイカ
    • アップルスイカ - 現在韓国で栽培されているリンゴ大の品種、近く日本国内にも導入される見込み。

  1. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Citrullus lanatus (Thunb.) Matsum. et Nakai スイカ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年1月25日閲覧。
  2. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Citrullus battich Forssk. スイカ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年1月25日閲覧。
  3. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Citrullus vulgaris Schrad. ex Ecklon et Zeyher スイカ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年1月25日閲覧。
  4. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q 猪股慶子監修 成美堂出版編集部編 2012, p. 198.
  5. ^ 『あて字用例辞典:名作にみる日本語表記のたのしみ』雄山閣、1994年。 
  6. ^ a b すいか、メロン、いちごは野菜か果実か 農林水産省のQ&Aページ
  7. ^ 文部科学省『五訂増補日本食品標準成分表』果実類. 食品番号:07077 すいか (PDF) . p.6.
  8. ^ a b c d e f g 市川啓一郎 2021, p. 68.
  9. ^ a b 米国ボイス・トンプソン研究所、ミュンヘン大学(ドイツ)などの研究チームが『米国科学アカデミー紀要』に発表したゲノム分析による。「スーダンのスイカが祖先か 病害虫に強い特徴―国際チーム」時事通信(2021年6月2日配信)2021年6月26日閲覧。『日本農業新聞』2021年6月10日9面などに転載。
  10. ^ a b c d e f g 金子美登・野口勲監修 成美堂出版編集部編 2011, p. 48.
  11. ^ a b c d e f スイカ”. いわき市. 2019年10月19日閲覧。
  12. ^ 「スイカ、知られざる5000年の歴史」ナショナルジオグラフィック日本語サイト(2015年8月27日)
  13. ^ 西瓜の歴史【スイカにちゃれんじ!】”. www.suikachallenge.com. 2018年8月23日閲覧。
  14. ^ 西瓜(スイカ)の歴史 前編 - 東京スイカ研究会”. suicup.jp. 2018年8月23日閲覧。
  15. ^ a b c d e 竹下大学 2022, p. 144.
  16. ^ すいか(西瓜)の歴史・効能・レシピ”. www.yc.zennoh.or.jp. 2018年8月23日閲覧。
  17. ^ 戦後日本のイノベーション100選 高度経済成長期 接ぎ木(野菜)”. koueki.jiii.or.jp. 公益社団法人発明協会. 2020年4月15日閲覧。
  18. ^ a b c d e f 竹下大学 2022, p. 145.
  19. ^ 市川啓一郎 2021, p. 69.
  20. ^ 池谷和信『人間にとってスイカとは何か:カラハリ狩猟民と考える』(臨川書店 2014年、ISBN 9784653042358)pp.186-187
  21. ^ 文部科学省日本食品標準成分表2015年版(七訂)
  22. ^ 厚生労働省日本人の食事摂取基準(2015年版)
  23. ^ a b c d e f g h 主婦の友社編 2011, p. 210.
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  25. ^ a b カイチューブ KaiTube ー日本のイスラエル人ー (2 July 2022). 【外国人対策】日本の猛暑ヤバい!イスラエル流 夏対策!【kaitube カイチューブ】 (動画共有サービス). YouTube. 該当時間: 06分37秒~07分20秒. 2022年7月2日閲覧
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  28. ^ 軟X線照射花粉の授粉による種なしスイカ作出法”. 農林水産省 農林水産技術会議事務局筑波事務所. 2008年3月27日閲覧。
  29. ^ a b c 竹下大学 2022, p. 146.
  30. ^ a b c d e f g h i j k 竹下大学 2022, p. 147.
  31. ^ 金子美登・野口勲監修 成美堂出版編集部編 2011, p. 49.
  32. ^ a b c d 板木利隆 2020, p. 56.
  33. ^ a b c d e f g h i j k 主婦の友社編 2011, p. 211.
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  38. ^ 板木利隆 2020, p. 58.
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  40. ^ 笹原健夫, 佐藤ノリコ, 阿部利徳「スイカの健苗育成への鉱物粉末施用の効果」『日本作物学会東北支部会報』1996年 39巻 p.103-104, doi:10.20725/tjcs.39.0_103, 日本作物学会東北支部
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  64. ^ アグリパーク食彩村”. 2016年12月5日閲覧。
  65. ^ 90年代よ永遠に!「やまだかつてない」DVD-BOX発売”. お笑いナタリー (2009年10月15日). 2024年1月12日閲覧。
  66. ^ スイカバーとは Lotte land「海の家スイカバー」
  67. ^ Satoko Yasuda 安田 聡子 (2023年11月8日). “「スイカ」がパレスチナへの連帯で使われる理由。愛される食べ物が抵抗のシンボルになるまで”. ハフポスト日本版. BuzzFeed Japan株式会社. 2023年11月13日閲覧。
  68. ^ スイカのバトンで停戦を 抵抗の象徴、SNSで発信”. 共同通信社 (2023年11月10日). 2023年11月13日閲覧。





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