ジュール・ヴェルヌ
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ヴェルヌの社会思想
ヴェルヌは平和主義者・進歩主義者として有名であった。目立った活動はしていないもののボナパルティズムを奉じるナポレオン3世に常に批判的であった。また被圧迫民族解放の擁護者で、彼の作品にはネモ船長をはじめとする「虐げられた民族」が登場する。
日本におけるヴェルヌ
ヴェルヌの日本への紹介は、1878年(明治11年)、川島忠之助が『八十日間世界一周』の前編を翻訳刊行したのが最初である(標題は『新説八十日間世界一周』。後編は1880年(明治13年)に刊行)。なお、本書は日本における最初のフランス語原典からの翻訳書である。
1883年(明治16年)には、黒岩涙香が『月世界旅行』を翻案(翻案途上で中絶し、出版もされていないという説がある[2])。
1896年(明治29年)、森田思軒が『二年間の休暇』の英訳版を「十五少年」という標題で翻訳し、雑誌『少年世界』に連載、単行書として刊行した。これは少年文学の傑作として評価され、多くの読者を獲得した。ヴェルヌの作品の翻訳は、翻訳文学史において大きな位置を占めた。
現代のヴェルヌ
ヴェルヌの作品の多くは、子供用の物語として書き直されたり、映画やアニメのような映像作品の原作になったりと、広い人気を誇る。これは21世紀にまで続いており、ヴェルヌ作品は一種の共通認識になっていると言っても良い。
そういった人気の一例として東京ディズニーシーのテーマポート「ミステリアスアイランド」がある。これは『海底二万里』『神秘の島』に登場するネモ船長が築いた秘密基地という設定である(かつてディズニーは『海底二万里』を映画化している)。
2008年3月に打ち上げられた欧州宇宙機関の欧州補給機の1号機には彼の名を冠している。生誕183年の2011年2月8日には、google検索のロゴが「海底二万里」をイメージしたものになった。
名言
人間が想像できることは、人間が必ず実現できる(仏: Tout ce qu'un homme est capable d'imaginer, d'autres hommes seront capables)
- この表現はヴェルヌの作品中にはなく、アロット・ド・ラ・フュイの伝記では、『海底二万里』執筆中のヴェルヌが父親に宛てた手紙の一節ということになっている(Allotte de la Fuye, Jules Verne : sa vie et son oeuvre, Paris, Kra, 1928, p.162)。「先日、本当とは思えないようなことが思い浮かぶと書いた。でも、そうじゃないんだ。人に想像できることはすべて、ほかの人が実現できるんだよ」この手紙は実物が発見されていない。また『蒸気で動く家』には「可能性の範囲内にあることはすべて実現されるべきだし、きっと実現される[注釈 1]」という台詞があり、ディズニーランドパリの園内で引用されている。また、鹿島建設のテレビCMにも引用されている[3]。
注釈
- ^ 原文(フランス語):Tout ce qui est dans la limite du possible doit etre et sera accompli
出典
- ^ “Château de la Fuye” (フランス語). Mouterre-Silly Vienne (86). 2023年8月28日閲覧。
- ^ 『明治・大正・昭和翻訳文学目録 国立国会図書館編』風間書房、『黒岩涙香集』黒岩涙香 筑摩書房、『黒岩涙香』伊藤秀雄 三一書房、『随筆明治文学1』柳田泉 平凡社、『改定増補黒岩涙香』伊藤秀雄 桃源社、などによる。
- ^ “広告・CMライブラリ”. 『ホタルが棲む渋谷』、『天の川が見える新宿』. 鹿島建設. 2020年11月13日閲覧。
- ^ 空中艇アルバトロス号. コトバンクより。
- ^ 講談社文庫BX『華麗なる幻想』巻末解説による。
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