ザクI
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/17 15:23 UTC 版)
原型機
プロトタイプザク
プロトタイプザク PROTOTYPE ZAKU | |
---|---|
型式番号 | MS-04 |
頭頂高 | 17.5m[30] |
本体重量 | 57.4t[30] / 31.2t[31] |
全備重量 | 72.5t[30] |
装甲材質 | 超硬スチール合金[32] (超高張力鋼[30]) |
出力 | 953kW[30](6100馬力)[31] |
推力 | 43,000kg[30] |
センサー 有効半径 |
2,950m[30] |
武装 | 100mmマシンガン[30] |
搭乗者 | エリオット・レム ミオン・ホシオカ |
ムック『ガンダムセンチュリー』の文字設定が初出で、メカニックデザイン企画『M-MSV』でデザインと追加設定がなされた。
ザクIのベースとなった機体[33]。MS-03試作3号機の改良型で[30]、小型熱核反応炉ZAS-X7が搭載され、MS-03の2倍以上の機動力をもつ[31]。装甲も強化され[30]、ようやく実戦に耐えうるMSとなる[34][30]。
武装はジオニック社が[35]既存の100ミリ速射砲を改造した試製マシンガン(型式番号:ZXM-1)で[20][36]、「ザク・マシンガン」とも呼ばれる[30]。しかし、操作性や信頼性などすべての点において関係者を満足させることができず[20]、またシミュレーションの結果、対艦戦闘における効果が低いことが指摘され、バズーカ砲の開発が進められる[30]。しかし実用化はのちのザクI用からである。
ザクに繋がる「人型」としてのスタイルは本機でほぼ完全となり[37]、マニピュレーターも人間と同様の5本指のものが採用されるが、装甲によりマニピュレーターの作業半径が小さくなっていることが指摘される[37]。当時の軍部では本機を実戦型MSとして採用するか否かで真っ二つに割れるが[37]、コストが非常に高いこともあり、いくつかの装備を簡略化し[30]、「無駄の排除」をおこなった[34]ザクIへ開発順位を進めることで落ち着いている[37]。
漫画『Developers 機動戦士ガンダム Before One Year War』では、宇宙世紀0073年12月に試作機4機による社内コンペティション(ジオン公国軍関係者らも出席)が開催されるが、うち2号機は試作型MS-04を建造したホシオカ社が秘密裏に造り上げたものである。最終選考は2号機と、エリオット・レムが搭乗する1号機との宇宙での競争となり、ミノフスキー粒子の障害をも超えて2号機が勝利する。
後日譚「Project.ex 潜入!ホシオカの秘密」では、0082年にはホシオカに返還されており、スクラップの中に紛れていた核ミサイルをコロニーの外に運び出して処分する際に使用されるが、その際に頭部を失う。なお、ミオンはザクシリーズ(内装火器の無いザクIIまで)は連邦のガンダムを始めとした軍用MSと違って、あくまで作業機であると言い張っている。
雑誌『G20 volume.2』には、「アーリー・ザク」の名称で上記と異なるMS-04の型式番号をもつ機体が掲載された。腕部はプロトタイプザクを基本としているが、そのほかの外観は異なる。ZAS-X7を動力源とする点は同一。全高および頭頂高14.0メートル、ジェネレーター出力962キロワットとされる[38]。また、雑誌『週刊ガンダム・ファクトファイル』ではこれとは別に、『G20』版MS-01とザクIの中間的なデザインの、MS-04の型式番号をもつ機体のイラストが掲載された(イラスト:木下ともたけ)。また、同書の解説ではMS-04の型式番号をもつとされる機体は「アーリー・ザク」と「プロトタイプザク」の2種類が知られているが、どちらが本当のMS-04なのか、あるいは両機にMS-04の型式番号が与えられたのかははっきりしないとしている[39]。
試作型MS-04
試作型MS-04 PROTOTYPE MOBILE SUIT | |
---|---|
型式番号 | MS-04 |
頭頂高 | 17.5m |
本体重量 | 31.2t / 57.4t(湿潤重量) |
全備重量 | 72.5t |
装甲材質 | 超高張力鋼 |
動力源 | 熱核反応炉 |
出力 | 953kW(6100馬力) |
推力 | 43,000kg |
最高速度 | 120km/h |
搭乗者 | ミオン・ホシオカ テオ・パジトノフ |
漫画『Developers 機動戦士ガンダム Before One Year War』に登場。名称と型式番号は巻末付録の年表による。
作業機器建造会社「ホシオカ」が、宇宙世紀0073年4月に[40]ジオニック社の依頼のもと製造した機体で、新型汎用作業機の試作機とされるが、外観は異なるものの内部の基本構造はプロトタイプザクと同じである(ただしマニピュレーターは三本指)。本機からミノフスキー物理学を応用した小型熱核反応炉[41][注 8]を搭載しており、これの安全性を含めて中小企業であるホシオカ社に依頼されている。2機が製造されるが、起動試験で機体の駆動部分が最新のOSに追従できていないことが判明、駆動部の微調整とともにOSの改善が進められる。しかし8月の納品後、情報漏洩問題によりホシオカ社の手を離れる。
後日譚「Project.ex 潜入!ホシオカの秘密」では、0082年には1機がホシオカにあり、テオの操縦でミオンのプロトタイプザクとともに核ミサイルの処分をおこなう。アランから無登録のホビーMSかと問われた際にテオは「MS-04は完全な人型汎用作業機。兵器ではありません」と語っている。
注釈
- ^ ジオン公国軍はアナハイム・エレクトロニクスの協力によってMS開発を開始したとする資料もある[6]。
- ^ OVA『機動戦士ガンダム MS IGLOO -1年戦争秘録-』第3話の劇中では、この決定にはジオニック社の政治的な働きもあったとの主張が台詞として語られている。
- ^ 一年戦争開戦時に配備されているザクIの数を820機としている資料もある[17]。
- ^ のちのザク・マシンガン(ザクII用)では、ドラム・マガジンが上部に水平に配置されている。
- ^ OVA『機動戦士ガンダム MS IGLOO2 重力戦線』第1話では、ザクII J型が「Sマイン」という名称の同様の兵器を使用している。
- ^ ザクIIのシールドにハンドルとスパイクを増設し、手持ち装備にしたとする資料もある[24]。
- ^ 特殊部隊の戦果であるため、公式記録としてカウントされていない。
- ^ スペック表ではプロトタイプザクと同じZAS-X7となっているが、作中の反応炉にはZAS-MI8と記されている(ザクIに搭載されたのがZAS-MI8B)。
- ^ 「教導機動大隊の特別演習」は『マスターグレード MS-05B ザクI 黒い三連星仕様』の取扱説明書が初出。
- ^ 『MSV』での設定。
- ^ 本作の冒頭に「EPISODE・1 U.C.0015~U.C.0080」とある。
- ^ サブ・アームの位置は漫画版ではバックパックの下面、OVA版では上面(ザクIIのものと同型)になっている。
出典
- ^ 『機動戦士ガンダム ガンダムアーカイブ』メディアワークス、1999年6月、135頁。ISBN 978-4840212113
- ^ “HG 1/144 ザクI “旧ザク”(GUNDAM THUNDERBOLT Ver.)”. バンダイホビーサイト. バンダイ. 2019年4月30日閲覧。
- ^ 『アニメック16号 機動戦士ガンダム大事典』ラポート、1981年3月、103頁。
- ^ a b c d e 『ガンダムセンチュリー』みのり書房、1981年9月、銀河出版、2000年3月(復刻版)、34-37頁。ISBN 4-87777-028-3
- ^ a b 『機動戦士ガンダム モビルスーツバリエーション1 ザク編』講談社、1984年4月2日、2006年7月(復刻版)、80-84頁。ISBN 978-4063721751
- ^ a b c 『ENTERTAINMENT BIBLE .1 機動戦士ガンダム MS大図鑑【PART.1 一年戦争編】』バンダイ、1989年2月20日、36-39頁。ISBN 4-89189-006-1
- ^ 『機動戦士ガンダム 公式百科事典 GUNDAM OFFICIALS』310, 313頁。
- ^ 機動戦士ガンダム公式Web | MECHA
- ^ a b c d e f 『ENTERTAINMENT BIBLE .1 機動戦士ガンダム MS大図鑑【PART.1 一年戦争編】』バンダイ、1989年2月20日、52-53頁。ISBN 4-89189-006-1
- ^ a b c 『機動戦士ガンダム大事典』上巻、『テレビマガジン』1981年2月号付録、講談社、94頁。
- ^ a b c 「8 ザク(旧タイプ)」『講談社のポケットカード8 機動戦士ガンダム モビルスーツコレクション』1982年1月。
- ^ a b 『B-CLUB VISUAL COMIC 機動戦士0080 ポケットの中の戦争 VOL 2』バンダイ、1989年10月、108頁。
- ^ 『機動戦士ガンダム MS IGLOO 完全設定資料集』エンターブレイン、2007年5月、22頁。ISBN 978-4757734081
- ^ 『機動戦士ガンダム モビルスーツバリエーション(2) ジオン軍MS・MA編』講談社、1984年4月30日、2006年7月(復刻版)、180頁。ISBN 978-4063721768
- ^ 漫画『Developers 機動戦士ガンダム Before One Year War』より。
- ^ a b c d 『マスターグレードモデル 1/100 MS-05B「ザクI」』付属説明書、バンダイ、1999年5月、2-4頁。
- ^ a b 『ENTERTAINMENT BIBLE .39 機動戦士ガンダム 戦略戦術大図鑑 1年戦争全記録』バンダイ、1991年2月、33頁。ISBN 4-89189-177-7
- ^ a b c d e 機動戦士ガンダム第08MS小隊WEB「MS-ジオン軍-ザクI」
- ^ a b c d e f g 『マスターグレードモデル 1/100 MS-05B「ザクI」』付属説明書、バンダイ、1999年5月、13頁。
- ^ a b c d e f g UC ARMS GALLERY01-2 2005.
- ^ a b 『機動戦士ガンダム モビルスーツバリエーション1 ザク編』講談社、1984年4月2日、2006年7月(復刻版)、69頁。ISBN 978-4063721751
- ^ 『ガンダムセンチュリー』みのり書房、1981年9月、銀河出版、2000年3月(復刻版)、45頁。ISBN 4-87777-028-3
- ^ a b Ark Performance『機動戦士ガンダム MSV-R ジョニー・ライデンの帰還』第1巻、角川書店、59頁。
- ^ a b c 『HGUC ザクI』付属説明書、バンダイ、2006年5月。
- ^ a b 『NEO COMICS 機動戦士ガンダム第08MS小隊フィルムコミック 7 再会』辰巳出版、1998年9月、106-107頁。ISBN 4-88641-333-1
- ^ 『機動戦士ガンダム 第08MS小隊 オフィシャルアーカイブス』一迅社、2014年1月、52頁。(ISBN 978-4758013499)
- ^ a b 『データコレクション9 機動戦士ガンダム 一年戦争外伝2』メディアワークス、1999年5月、4-5頁。ISBN 978-4840212205
- ^ a b 『機動戦士ガンダム 第08MS小隊 オフィシャルアーカイブス』一迅社、2014年1月、46頁。(ISBN 978-4758013499)
- ^ File:Mitrailleuse_mle_31.jpg
- ^ a b c d e f g h i j k l m n SD CLUB8 1990, p. 31.
- ^ a b c センチュリー 1981, p. 34-36.
- ^ MS大全集2003 2003, p. 183.
- ^ 『MSV The Second-Generation 1986-1993』双葉社、2019年、34頁。ISBN 978-4-575-46518-1。
- ^ a b 『模型情報・別冊 MSバリエーション・ハンドブック1』バンダイ、1983年3月、1頁。
- ^ 岡崎昭行『データガンダム キャラクター列伝[宇宙世紀編 I]』角川書店、2010年4月26日、21頁。ISBN 978-4-04-715445-2。
- ^ 『機動戦士ガンダム モビルスーツ開発秘録』竹書房、2009年7月2日、49頁。ISBN 978-4-8124-3869-5。
- ^ a b c d プラモデル『1/144 MS-06FザクII マインレイヤー』解説書、バンダイ、1984年3月。
- ^ G20 vol2 1998, p. 14-17.
- ^ ファクトファイル21 2005, p. 23-24.
- ^ 『Developers 機動戦士ガンダム Before One Year War』巻末付録。
- ^ 『GUNDAM CENTURY 宇宙翔ける戦士達』みのり書房、1981年9月、36頁。
- ^ 『模型情報・別冊 MSバリエーション・ハンドブック1』バンダイ、1983年、3頁。
- ^ a b c d e f 『機動戦士ガンダム モビルスーツバリエーション1 ザク編』講談社、1984年4月、74頁。
- ^ 『MSVコレクションファイル[地球編]』講談社、2000年6月。
- ^ 『模型情報・別冊 MSバリエーション・ハンドブック1』バンダイ、1983年、1頁。
- ^ a b c d e 『機動戦士ガンダム モビルスーツバリエーション1 ザク編』講談社、1984年4月、69頁。
- ^ 『ENTERTAINMENT BIBLE .1 機動戦士ガンダム MS大図鑑【PART.1 一年戦争編】』バンダイ、1989年2月、37頁。
- ^ 『模型情報・別冊 MSバリエーション・ハンドブック1』バンダイ、1983年、9頁。
- ^ 『機動戦士Ζガンダムを10倍楽しむ本』講談社、1985年5月、130頁。
- ^ 『機動戦士ガンダム MSV コレクションファイル[地球編]』講談社、2000年6月。
- ^ a b MS開発秘録ザクI 2022.
- ^ a b 『機動戦士ガンダム モビルスーツバリエーション2 ジオン軍MS・MA編』講談社、1984年4月、190頁。
- ^ 玩具『SDガンダム ガシャポン戦士』第20弾付属シール。
- ^ 36頁。
- ^ 37頁。
- ^ 『ENTERTAINMENT BIBLE .1 機動戦士ガンダム MS大図鑑【PART.1 一年戦争編】』バンダイ、1989年2月、62頁。
- ^ 『ENTERTAINMENT BIBLE .1 機動戦士ガンダム MS大図鑑【PART.1 一年戦争編】』バンダイ、1989年2月、37頁。
- ^ a b c 『MG 1/100 MS-05B「ザクI」ランバ・ラル専用機』バンダイ、2000年9月。
- ^ a b c d e 『電撃ホビーマガジン』1999年10月号、メディアワークス、79頁。
- ^ a b c d e “MS/MECHANIC”. アニメ版『機動戦士ガンダムUC』公式サイト. 創通・サンライズ. 2022年6月5日閲覧。
- ^ 『機動戦士ガンダム MSV-R グラフィックドキュメント』角川書店、2012年1月、47頁。
- ^ a b 『ガンダムエース』2011年11月号、角川書店、469頁。
- ^ 『ガンダムエース』2011年11月号、角川書店、470-471頁。
- ^ 第9巻、154頁。
- ^ 『B-クラブスペシャル15 機動戦士ガンダム MS大全集』バンダイ、1988年、129頁。ISBN 978-4-89189-336-1。
- ^ 『サイバーコミックス01.』バンダイ、1988年4月、2-3頁。
- ^ a b “MECHANICAL-第1話 U.C.0079、『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』公式サイト”. サンライズ. 2018年2月5日閲覧。
- ^ a b 『HG MS-05 ザクI(黒い三連星機)』プレミアムバンダイ
- ^ a b プラモデル『ザクI(シャア・アズナブル機)』付属説明書, 1/144スケールモデル HG ORIGIN, No.015, バンダイ, (2017年)
- ^ a b c d プラモデル「シャア専用ザクI」組立説明書, 1/144スケールモデル HG ORIGIN, No.013, バンダイ, (2017年)
- ^ a b c プラモデル『ザクI(キシリア部隊機)』付属説明書, 1/144スケールモデル HG ORIGIN, No.018, バンダイ, (2017年)
- ^ 『アニメーション「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」キャラクター&メカニカルワークス 上巻』KADOKAWA、2018年3月、79頁。
- ^ 太田垣康男『機動戦士ガンダム サンダーボルト』第1巻、第4話。
- ^ 『HG1/144 ザクI“旧ザク”(ガンダム サンダーボルト版)』ボックスアート。
- ^ OVA『機動戦士ガンダム サンダーボルト』第2話。
- ^ OVA『機動戦士ガンダム サンダーボルト』第4話。
- ^ 『HG1/144 ザクI“旧ザク”(ガンダム サンダーボルト版)』説明書では、従来の設定通り試作量産機をA型、実戦に投入された機体をB型としている。
固有名詞の分類
- ザクIのページへのリンク