ザカリー・テイラー 大統領職

ザカリー・テイラー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/29 18:22 UTC 版)

大統領職

米墨戦争の英雄として、ホイッグ党の誘いで大統領に立候補する。政治的な野心はなく、大統領選挙人名簿にも登録せず自らに投票さえしなかった。

戦後、メキシコから奪還したカリフォルニア州ゴールドラッシュがおき人口が増加したため、カリフォルニアを奴隷制度のない自由州としての州への昇格を望んだ。これに対し、南部奴隷州は当時の連邦議会における「奴隷州」と「自由州」のバランス15:15の比率が破られることを恐れ、反対した。これに対しテイラーは、仮に南部が反乱を起こした場合は武力鎮圧も辞さずという姿勢で応じた。これは後に、南北戦争の伏線ともなった。

外交面では国務長官ジョン・ミドルトン・クレイトンが商業のグローバル化を主張し、特に東アジア地域との交易に関心を示した。テイラー政権下でクレイトンは中央アメリカをめぐる米英間の対立を解消するため、イギリス公使ヘンリー・ブルワー卿と協議を行い、1850年、イギリスとの間でパナマ地峡地帯の中立をうたったクレイトン・ブルワー条約を締結し、米英両国が将来パナマ運河を取得したり、独占管理権を持たないことを宣言した。

1850年7月4日ワシントン・モニュメントでの式典参加後に、テイラーは病気になった。当日は猛暑で、テイラーはキュウリさくらんぼとの説もあり)と牛乳を摂りすぎて体調を崩した。

発病から5日後となる7月9日朝、テイラーは妻のマーガレットに次のように語って慰めた。

私は常に義務を果たし、死ぬ準備ができている。私の唯一の後悔は友達のもとを去ることだ[12]

テイラーはその日の午後10時35分ごろに重度の消化不良で亡くなった[13]。大統領就任の16か月後であった。彼はケンタッキー州ルイビルに埋葬された。

当初、その死については砒素による毒殺説が根強く、もしもこれが事実であれば、テイラーはエイブラハム・リンカーンに先んじること15年、アメリカ史上初の暗殺された大統領となるところであったが、遥か後年、1991年に至り遺体の学術調査が行なわれた結果、コレラ説が有力となり、その可能性は否定された。


注釈

出典

  1. ^ Taylor's term of service was scheduled to begin on March 4, 1849, but as this day fell on a Sunday, Taylor refused to be sworn in until the following day. Vice President Millard Fillmore was also not sworn in on that day. Most scholars believe that according to the U.S. Constitution, Taylor's term began on March 4, regardless of whether he had taken the oath or not.
  2. ^ a b c d e Whitney, David C; Robin Vaughn Whitney (1993). The American Presidents. The Reader's Digest Association. p. 101. ISBN 1-56865-031-0 
  3. ^ a b Connor, Seymour V. “Grolier Multimedia Encyclopedia: Taylor, Zachary”. Grolier Multimedia Encyclopedia. 2010年10月20日閲覧。
  4. ^ a b c d e Zachary Taylor: Life Before the Presidency”. Miller Center of Public Affairs. 2009年1月12日閲覧。
  5. ^ Joyce, C. Alan (2009). The World Almanac and Book of Facts. NY: World Almanac Books. p. 520. ISBN 978-1-60057-105-3 
  6. ^ Jones, 251
  7. ^ Jones, 252
  8. ^ Jones, 253
  9. ^ Johnson, Caleb (2007年). “Famous Descendants of Mayflower Passengers – Mayflower Ancestry of Zachary Taylor”. 2010年3月10日閲覧。
  10. ^ Hamilton, Holman. “Encyclopedia Americana: Taylor, Zachary”. Encyclopedia Americana. 2008年2月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2009年1月12日閲覧。
  11. ^ Allison, Harold (©1986, Harold Allison). The Tragic Saga of the Indiana Indians. Turner Publishing Company, Paducah. pp. 89–90. ISBN 0-9380-2107-9 
  12. ^ Holt, Michael. “Zachary Taylor: Death of the President”. millercenter.org. Charlottesville, Virginia: Miller Center of Public Affairs, University of Virginia. 2021年10月18日閲覧。
  13. ^ Bauer, pp. 314–316.
  14. ^ a b c 『アメリカ大統領を読む事典』宇佐美滋著、講談社+α文庫 pp282-285。
  15. ^ 『アメリカ大統領を読む事典』宇佐美滋著、講談社+α文庫、p225、p285。
  16. ^ The height differences between all the US presidents and first ladies ビジネス・インサイダー
  17. ^ 『アメリカ大統領を読む事典』宇佐美滋著、講談社+α文庫 pp284-285。


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