ゴジラ (1984年の映画)
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登場人物
三田村 清輝 ()[76]- 内閣総理大臣[出典 25]。決断力に優れ、思慮深い人物。総理の任期を終えようとしていた矢先に突如ゴジラが出現し、パニックを避けるためにゴジラの存在を隠そうとする[77]。しかし、ゴジラによるソ連原子力潜水艦の襲撃を知ると戦争を避けるために公表し、その存在が認められたゴジラに対して非常緊急対策本部を立ち上げ、最高責任者となる[62]。アメリカとソ連がゴジラ抹殺のために核兵器の使用を要求した際、非核三原則を根拠に日本に二度と核は落とさせないと断固拒否する[出典 25]。
- 三原山の火口へ落下するゴジラを見届けた際には涙を流している。
牧 吾郎 ()[79]- 東都日報の新聞記者[79][62]。27歳[80][79]。
- 大島通信局に左遷中の身であったが[80][62]、ゴジラ取材のため本社に復帰する。休暇中、ヨットに乗っていたところで遭難した第五八幡丸を発見し、ただ一人の生存者である奥村を救ったことから今回の一件に関わる[80]。
- 得た情報は何でも記事にしたがる強引な姿勢を持ち、奥村の救出を記事にしようとしてデスク(上層部)に停められた時には激しく抗議し、さらにゴジラ出現の記事と共に奥村兄妹再会の写真まで載せたことで奥村兄妹から反感を買ってしまう[80][注釈 13]。その一方で林田たちの研究にも協力し、後にゴジラの猛威に脅える尚子を守る。
- 『怪獣島の決戦 ゴジラの息子』(1967年)の真城伍郎、『シン・ゴジラ』(2016年)の牧悟郎など、シリーズに同名のキャラクターが複数存在する[75]。
奥村 尚子 ()[81]- 大学生[82][62]。林田のゼミを受けている関係から、彼の研究所で資料整理などのアルバイトをしている[出典 26]。20歳[82][81]。
- 宏が唯一の親族であるため、行方不明と報道されていた兄が生きていると知らされると、居場所の病院へ乱入して再会を喜び合う。その際の姿を写真記事にされたことから一度は牧に失望するが、最終的には彼に救われる[82]。
奥村 宏 ()[81]- 尚子の兄[82]。ショッキラスに襲われた第五八幡丸唯一の生存者[57][62]。22歳[82][81][注釈 14]。
- 明法大学理学部3年生で[62]、専攻は電子工学[82]。自分たち兄妹の生活費や学費のために留年覚悟で漁船のアルバイトを続ける[82]。
- 第五八幡丸では、船長がロッカーに押し込んでくれたため、難を逃れた。ゴジラとの遭遇後に日本政府の手で関東第二警察病院に軟禁させられていたが、退院後には林田に協力して南教授の三原山調査に同行する。自分たちをひどい目に合わせたゴジラに対しては記者会見で「絶対に許せない」と発言し、井浜原発襲撃時には「化物」と呼ぶなど怒りをあらわにする。その後も三原山での超音波発信機の建設に携わり、最後はゴジラを火口へ落とすための人工爆破スイッチを押す[82]。
神崎 ()[83]- 大蔵大臣[77][83]。
- 林田のゴジラ三原山誘導作戦には反対のような立場を示したうえ[77][83]、米ソとの会談の事前に行われた会議でも「核兵器使用は止むを得ないのでは」と発言してしまう。
武上 弘隆 ()[84]- 内閣官房長官[出典 27]。三田村の側近で[84][62]、「武上くん」と呼ばれている。ゴジラ存在の確認やゴジラ東京湾出現の発表会見を行っている[出典 27]。
磯村 ()[86]- 自治大臣[86]。
- 神崎にゴジラへの核攻撃の有効性を激しく詰問する笠岡に対し、「やってみなければ誰にもわからない」と諌める。ソ連の核ミサイルが誤ってゴジラに発射されてしまった際には、住民の避難誘導の対応に当たった。
笠岡 ()[87]- 通産大臣。対ゴジラ攻撃のための核兵器使用に反対し、神崎と軽く口論となる。
江守 誠一 ()[88]- 外務大臣[77][88]。ソ連原潜の沈没や、ソ連の衛星から核ミサイルが誤射されてしまったことをいち早く三田村に報告する[77][88]。また、米ソの核兵器使用提案を拒否した場合に日本が外交的に孤立する危険性を指摘する[88]。
毛利 ()[89]- 防衛庁長官[77][89]。首都防衛戦闘機・スーパーXの開発を極秘に進めていた[77]。
加倉井 ()[87]- 自衛隊統合幕僚会議議長[77][87]。自衛隊によるゴジラ迎撃作戦を立案したほか[77]、米ソ特使が強硬に戦術核兵器の使用を要求する本当の理由を指摘する。
大河内 ()[90]- 国土庁長官[90]。自衛隊の現在の戦力でゴジラに太刀打ちできるのか加倉井に疑問を呈する[90]。
日高 ()[91]- 環境庁長官[91]。三原山爆破時の住民への影響を危惧する[91]。
梶田 ()[87]- 科学技術庁長官[87]。戦術核兵器の威力や、ソ連の核ミサイル爆発後に発生した電磁パルスについて三田村に解説する。
南 ()[92]- 地質学者[93][92]。林田の昔からの友人で、三原山の調査に赴き、後に林田と共に三原山を人工的に爆発させてゴジラを封印する作戦を、政府に提案する[93][92]。
辺見 昇 ()[94]- 内閣情報調査室室長[94]。林田と奥村の面会に立ち会った後、林田から大黒島からゴジラが出現したという仮説を聞く。
秋山 ()[95]- 航空幕僚監部幹部[33][95]。
- 自ら複数のパイロットと共にスーパーXに搭乗し、対ゴジラ戦の指揮を執る[33][95][注釈 15]。最初はカドミウム弾でゴジラを眠らせることに成功するが、電磁パルスで目覚めたゴジラに通常兵器は歯が立たずスーパーXは撃破されて墜落し、ゴジラが倒した新宿住友ビルディングの下敷きにされてしまう。その際、秋山以下搭乗員は墜落前に全員死亡している[33]。
- ローゼンバーグ[96][97]
- アメリカ特使[96][97]。三田村にゴジラ対策のための核兵器使用を主張する。原則論が通る状況ではないと三田村を説得するが、持論を曲げない彼に頭を抱える。
- チェフスキー[96][98]
- ソ連特使[96][98]。日本の次にゴジラが襲撃するのはウラジオストクだと、ゴジラに対する戦術核兵器の使用を三田村に強く主張する。非核三原則を日本のエゴイズムだと批判する。
- カシリン[99]
- ソ連政治工作員の大佐[99]。核兵器使用中止の命令に従い、車(三菱・デボネア)で東京湾内に停泊中のソ連貨物船「バラシェーボ号」に向かい、発射装置を停止する[99]。しかし、貨物船内でゴジラの襲撃に遭い、そのショックで再起動した装置を止めようとするものの計器の爆発に巻き込まれ、死亡する[99]。
- 小説版では、子供が生まれたばかりであった。
伍堂 ()[100]- 東都日報編集長[100]。牧に第五八幡丸遭難を公表できない理由がゴジラ出現にあることを伝える一方、政府と取引して取材続行の許可を取り、牧にそれを命じる強かさもある。
上条 ()[101]- 東都日報のカメラマン[101]。牧の同僚で、軽い感じの性格の男性。
- 奥村兄妹との再会シーンを撮った張本人であり、ゴジラによるソ連原子力潜水艦の襲撃を公表する場にも登場している。
- 森本毅郎[102]
- 本人役。テレビ番組のニュースキャスター。ソ連とアメリカの衝突の際と避難情報の時に登場。
- 浮浪者[103][26][注釈 16]
- 新宿を根城にしていたホームレス[103][104]。ほぼ無人となった超高層ビルのレストランで食事を楽しもうとしていたところでゴジラに遭遇し、腰を抜かす。「でっかい顔して歩くんじゃねぇ、この田舎もんが!」と捨て台詞を吐いた後、同ビルを脱出しようとする牧と尚子を救う。その後は1人で逃げるが、追い詰められて転んで頭を打ち、ゴジラに毒づきつつ失神する[注釈 17]。
林田 信 ()[107]- 生物学者[出典 28][注釈 18]。奥村兄妹の大学の恩師であり、「林田生物物理研究所」を主宰している[108]。ゴジラ研究の第一人者であり、その発言や見解で政府を動かすほどの立場である。
- 初代ゴジラの襲撃によって両親を失った憎悪からゴジラ研究を始めたが[57]、その過程の末、ゴジラに対しては愛着に近い複雑な感情を抱いている[108][107]。「ゴジラは人類滅亡の警告者である」という思想を持ち、今回出現したゴジラに対しても、偶然発見した帰巣本能を利用した超音波で三原山へ誘導し、マグマの中へ封印する(林田曰く「生まれ故郷に帰す」)という計画を政府に提案すると、牧たちの協力を得て成功させる。
- 橋本は、林田を本作品の主役と想定しており、リアリティのある演技を重視した[78]。
注釈
- ^ 資料によっては、「107分」と記述している[15]。
- ^ 資料によっては、「330万人[4]」「388万人[30][31]」と記述している。
- ^ 書籍『大ゴジラ図鑑』では、本作品のタイトルを『ゴジラ GODZILLA』と表記している[42]。
- ^ 決定稿の脚本による[45][46]。自衛隊が集結するシーンの撮影は大井埠頭で行われ[47][46]、『東宝SF特撮映画シリーズVOL.1 ゴジラ』では特撮セットについても大井埠頭と紹介しているが[48]、『ゴジラ大辞典』ではこのシーンを晴海埠頭と解説しており[49]、監督の橋本もインタビューではゴジラの上陸地点を晴海と想定していたと語っている[47]。
- ^ 資料によっては、「1メートル弱[54]」「150センチメートル[60]」「50センチメートル[17]」と記述している。
- ^ 資料によっては、「不明[54](?[60])」「600グラム[17]」と記述している。
- ^ 資料によっては「大黒島近海[54][59]」「ゴジラに付着[60]」と記述している。
- ^ 書籍『ゴジラ大百科』では、ショッキラスの命名者は不明だが、日本政府によって便宜的につけられたものと推測している[61]。
- ^ 現実のフナムシは獲物の身体を喰らう雑食性であり、体液を吸う習性はない。
- ^ 後年、『ゴジラの花嫁?』の手書きシナリオは、東宝スタジオのプロデューサー室が取り壊された際に、田中友幸が使用していたロッカーから本作品の資料とともに発見された[39]。
- ^ 資料によっては、井上泰幸と記述している[56]。
- ^ 資料によっては安丸信行と小林知己と記述しているものもあるが[73][56]、安丸自身は記憶にないと述べている[51]。
- ^ 小説版では、同業者のある行動を自分とダブらせ、この件を深く反省する。
- ^ 学生証に記された生年月日は「昭和41年11月30日」であるが、作品の年代設定と矛盾している[81]。
- ^ 書籍『ゴジラ大百科』では、メインパイロットと記述している[33]。
- ^ 書籍『ゴジラ大辞典』では、名称をホームレスと記述している[104]。
- ^ 書籍『ゴジラ大百科』では、「生死は不明」と記述している[103]。
- ^ 資料によっては、生物物理学者と記述している[57][62]。
- ^ 資料によっては「最高速度:時速100キロメートル、巡航速度:時速49キロメートル[115]」「最高時速140キロメートル[112]」と記述している。
- ^ このため、照準の有効範囲が射程になる。
- ^ 資料によっては「1名」と記述している[出典 33]。
- ^ 実在しない部隊名[111]。
- ^ 書籍『東宝特撮超兵器画報』では「1/30と1/50[109]」と記述している。書籍『東宝SF特撮映画シリーズVOL.1 ゴジラ』では、1/30スケールのみ明記している[121]。
- ^ 長沼は、次作『ゴジラvsビオランテ』でも92式メーサー戦車の部隊章として同じくオートバイクラブのむささびのイラストを用いている[117]。
- ^ 資料によっては、名称を旧ソ連戦略原潜シェラ級と記述している[134]。
- ^ 資料によっては、名称を戦略核ミサイル衛星と記述している[110]。
- ^ ミニチュアは、第1作『ゴジラ』で用いられたM24チャーフィー戦車のシャーシを用いている[117]。
- ^ ミニチュアは、市販のプラモデルをディテールアップしている[117]。実機の機内映像は、東宝映像が制作した自衛隊のPR映画『海・翼 そして明日』(1977年)でのP2-J対潜哨戒機の映像を流用している[157]。
- ^ ミニチュアは、2021年の時点で現存が確認されている[122][159]。
- ^ ミニチュアは、1/16スケールと1/40スケールの2種類が制作された[162]。
- ^ 陸上自衛隊の実機が撮影に用いられた[46]。
- ^ 石坂浩二が演じる原発職員のシーンは、東宝スタジオ旧本館の渡り廊下で撮影された[170]。
- ^ 書籍『ゴジラ1984コンプリーション』では、役名を内閣調査室長・辺見昇と記述している[172]。
- ^ 書籍『ゴジラ1984コンプリーション』では、渡辺の役名をゴジラ非常緊急対策本部オペレーター、布施の役名を陸上自衛隊オペレーターと記述している[172]。
- ^ 書籍『ゴジラ1984コンプリーション』では、役名をTRSテレビニュースキャスター・森本毅郎と記述している[172]。
- ^ 役名は、書籍『ゴジラ・デイズ』では男A[6]、書籍『平成ゴジラ大全』では男A(浮浪者)[13]、書籍『ゴジラ1984コンプリーション』では新宿の浮浪者[172]と記述している。
- ^ 浜岡原子力発電所をモデルとした架空の施設[181]。
- ^ 橋本は、セット全体を檻に見立ててゴジラの孤独感を出したと述べている[47]。資料によっては、結果としてゴジラを矮小に見せてしまっていたことを指摘している[41]。
- ^ 中西と村尾による『KING of MONSTERS ゴジラの復活』では1977年6月22日と表記しているが、田中文雄は中西への発注が1978年6月、村尾は1979年と証言しており、正確な時期は定かになっていない[39]。
- ^ 村尾による脚本『ゴジラの復活』(1980年)では、対戦相手として魔獣バガンが登場しており、後に『モスラVSバガン』にも転用されているが、こちらも実現には至らなかった[出典 66]。
- ^ アメリカ側で全面的に制作し、東宝は特撮を担当する方向で検討されていた[71][69]。
- ^ 書籍『ゴジラ大全集』では、田中友幸がゴジラには外国資本を入れないという方針であったためではないかと推測している[71]。
- ^ 『ゴジラ1983 復活フェスティバル』1983年8月6日 - 26日、名画座ミラノ(後のシネマミラノ→新宿ミラノ3)
- ^ 堀内は、東宝全体でゴジラを盛り上げるため、部署間の枠を取り払う意図から委員会を立ち上げたと述べている[186]。また、委員会は『のび太の恐竜』で堀内が立ち上げた製作委員会方式がモデルの一つになっている[186]。
- ^ 田中文雄は、ゴジラが何を目的にしているかわからないため、放射能に呼び寄せられる設定にしないと物語が作れなかったと述べている[188]。一方、中野によれば、スタッフから『ゴジラ対ヘドラ』のヘドラと同じことをするのかと揶揄する声もあったという[182]。
- ^ 永原も『さよならジュピター』の脚本を執筆していたが、採用されなかった[189]。
- ^ 「見学者」としては、本作品以前にも『さよならジュピター』や『零戦燃ゆ』にも参加していた[200]。
- ^ 当時、井上は特殊美術課(特美)で作業していたが、あくまで外部(アルファ企画)の人間であったため特美から助手をつけることはできず、正規のスタッフではなかった樋口が選ばれたという[200]。
- ^ 後年、3人はテレビドラマ『科捜研の女』season13(2013年)で再共演している[202]。
- ^ 1981年に解体された跡地へ建設されたのが、有楽町マリオンである。マリオンは撮影当時建設中であったため、実景カットは片側からのみ映したものとなっている[47]。
- ^ 新幹線を破壊するシーンについては、撮影開始前のテスト中に特技監督の中野昭慶が「ゴジラがしゃがんで足元の新幹線の車体を掴めるよう、スーツを改造してくれ」との旨を希望したが、造型の安丸信行に撮影開始までの日数のなさと改造によるスーツの体型の崩れを理由として当初は了承されなかったことから、怒った中野が台本を投げつけ、その光景をスーツ内の薩摩剣八郎が目撃していたという[208]。
- ^ 中野昭慶は、スタッフからは反対意見も多かったが、エンターテイメント性を持たせるためには必要であったと述べている[209]。
- ^ 後に東京都庁舎が建設された[166]。
- ^ 書籍『ゴジラ1984コンプリーション』では、制作期間3ヶ月、ビル総数180戸、費用は1億4,000万円と記述している[39]。
- ^ 美術助手の長沼孝は、自著で新宿のセットと記述していたが、美術助手の寺井雄二は数寄屋橋交差点のセットであったと証言している[138]。
- ^ 書籍『ゴジラ1984コンプリーション』では、8月9日から17日と記述している[132]。
- ^ 線路が破壊される前にできる限りの都民を避難させるべきという運転士の主張が認められたため。
- ^ ただし、現実世界に存在する同名俳優との混同を避けるため、作中では一貫して「ミスター・マーティン」と呼ばれている。
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