コルカタ 交通

コルカタ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/07 01:35 UTC 版)

交通

コルカタのリクシャー

鉄道バスなどでインド国内の他の都市と結ばれている他、近年は格安航空会社の航空便の使用が増えている。

空港

国際空港としてネタジ・スバス・チャンドラ・ボース国際空港(旧名ダムダム空港)があり、各国からの国際線やインド国内線はこの空港を使用する。日本からの直行便はないため、成田国際空港関西国際空港などからニューデリームンバイ、もしくはバンコクシンガポールクアラルンプール等の各国際空港で乗り継いでコルカタに入ることとなる。

鉄道

コルカタはイギリス東インド会社による植民地経営の中心地だった影響もありインド各地とは鉄道で結ばれている。特にコルカタと首都デリーをアサンソル(Asansol)、ビハール州の州都パトナー(Patna)、(ビハール州内の経路はパトナーの代わりに仏教聖地ブッダガヤ近郊のガヤー経由も多い)、ヒンドゥー教聖地であるヴァーラーナシープラヤグラージ(Prayagraj、旧称Allahabad)、工業都市カーンプル(Kanpur)経由で結ぶ幹線はインドの鉄道の中でも最も重要な路線の一つである。

また、コルカタと南部の大都市チェンナイまでをインド洋沿いにオリッサ州州都のブバネーシュワル(Bhubaneswar)、港湾都市ヴィシャーカパトナム(Visakhapatnam)、ヴィジャヤワーダ(Vijayawada)などを経由して結ぶ路線、チェンナイに向かう路線から分岐し工業都市ジャムシェードプル(Jamshedpur)、ビラースプル(Bilaspur)、ナーグプル(Nagpur)経由で内陸部を横断しアラビア海沿岸の大都市ムンバイまで行く路線も重要な幹線である。

コルカタ近郊で最大の駅は狭義のコルカタ市内ではなくフーグリ川右岸のハウラー市(Howrah)にあるハウラー・ジャンクション駅(Howrah Junction)である。同駅の長距離急行列車は近郊電車の合間を縫って設定されており、早朝、昼過ぎ、夕方以降の発車多い。目的地はインド各地にわたる。そのほかにも下記に挙げるようなターミナル駅がある。

ハウラー・ジャンクション駅(Howrah Junction、国鉄略称HWH)は1854年に作られたインドでも最も歴史のある駅の一つである。ホーム数は20面以上ありコルカタはもとよりインドでは最大の駅、世界的にも有数の規模を誇る巨大な駅である。前述のようにコルカタ市内とは川を挟んでおり、駅のすぐ脇に両市を結ぶハウラー橋が掛けられている。橋がボトルネックとなり周辺は渋滞しやすく、これを解消するために第2フーグリー橋が建設された。さらにコルカタ中心部からハウラー駅までを結ぶ地下鉄(メトロ)が2023年1月の開業を目標に建設中である。 シアルダー駅(Sealdah、国鉄略称SDAH)はコルカタ市街地の東側に位置する。開業は1862年。近郊電車の発着が多い駅であるが、電車の合間を縫ってハウラー駅と同じような時間に長距離の急行列車が何本か設定されている。インド洋沿いの都市と極東部を結ぶ列車などではターミナル駅となる両駅には乗り入れないような列車も設定されており、その場合は近郊のダンクニ・ジャンクション駅(Dankuni Junction、国鉄略称DKAE)に停車し利用者の利便性を確保している列車が多い。ターミナルの分散化が進められており、2006年にはコルカタ市街地にコルカタ駅(Kolkata、国鉄略称KOAA、旧称Chitpur)が開業した。また、ハウラー駅の南側数㎞のところにあるシャリマー駅(Shalimar、国鉄略称SHM)も長距離急行列車が発着する。

列車の行先によりターミナル駅が概ね分かれており、西ベンガル州北東部やアッサム州トリプラ州などのインド北東部へ向かう列車はシアルダー駅やコルカタ駅もしくはダンクニ駅発着が多い。中部から北西部に向かう列車はハウラー駅発着が多く一部がシアルダー駅発着、インド洋沿岸やアラビア海沿岸に向かう列車はハウラー駅もしくはシャリマー駅発着が多い。バングラデッシュに向かう国際列車マイツリーエクスプレス(Maitree Express)はコルカタ駅発着で運行される。ただし、例外も一部存在する。

なお、ハウラー駅とシアルダー駅はカナ表記でそれぞれハオラ、セアルダーなどと表記される場合がある。

コルカタは近郊電車(通勤電車 suburban railway)が発達しており、各方面に概ね50㎞-100kmの近郊電車路線が整備されている。

また、市内には1984年開業のインドで最も古い地下鉄であるコルカタ地下鉄がある。インドの大都市おける地下鉄はこのあと2002年にデリーで開業するまで作られなかった。デリーでの地下鉄網構築に成功して以降各地で地下鉄の建設が進んでいる。コルカタにおいても長らく一路線のみであったが、2010年代以降既存路線の延伸の他4本程度の新規路線計画が具体化しつつある。

インドでは唯一のトラム路面電車: CTC)が走っている

バス

地下鉄のエスプラネード駅(Esplanade)近くに長距離バス用のバスターミナルがあるほか、各ターミナル駅から市内各地へ路線バスが多数運行されており、安価に移動できる手段として市民に親しまれている。バスの運営会社は州の公社(West Bengal Surface Transport Corporation、略称WBSTC)のものと民間のものがある。

鉄道と同じく2020年代になっても非冷房車が残り、運賃にも差が付けられている。また、運転手だけのワンマン運転を行うバスは少なく、切符の販売と運賃回収、客の呼び込みを行う車掌が乗務しているバスが特に民間のものに多い。

コルカタの港湾機能はコルカタの50㎞南西に位置する外港であるハルディアが担っている。

その他

コルカタの市内交通としてはほかに、他のインド都市にもあるオートリクシャーやタクシー、バスなどもある。また、コルカタには現在インドで唯一の人力車(リクシャー)が残っているが、1997年に新規ライセンスの発給が停止されたため、やがて消滅する流れにある。ムンバイと同じく4厘のタクシーが比較的多く、また交差点では信号機による交通整理が行われることもほかのインドの都市とは違う点となっている。


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